41:萌えゲーアワードって実際どうなん?

 エロゲユーザーなら一度は思ったことがあるんじゃないだろうか。


「萌えゲーアワードって実際どうなん?」


 今回はそのあたりを話してみようと思う。

 割とマジで怒られるかもしれないので、急に記事が消えていたら、まあ察してくれ。


 不要だろうが、まず萌えゲーアワードの説明からしていこう。

 公式HPによると、

 

 業界審査団体の審査を経て発売された全PCゲームタイトル(「18禁」「E15」「E12」「全年齢」問わず)から、毎年優れたゲームタイトルを選定・表彰するものです。


 とある。(引用元:http://moe-gameaward.com/about/index.html)


 毎月「先月に発売したエロゲ」を対象に投票が行われ(投票期間が4月中だったら、3月発売のゲームが対象)、ユーザーは「1日に1票」投票することができる。

 得票数が最も高かった作品が月間大賞となる。


 そして1年の最後に、月間の得票数を持ち越した上で「その年に発売されたすべてのエロゲ」を対象に改めて投票を行い、年間ランキングを決定する。


 そのランキングをもとに選考委員が評定を行い、大賞やら準大賞やら○○賞とやらを決定する。


 概要はこんなところだろう。

 そして、おそらくユーザーのほとんどが感じていることだろうからあえて厳しいというか、若干悪意を交えた表現をすると、こんな感じになる。


「工作が非常に容易で、おもしろい作品や話題になった作品ではなく熱心なファン――いわゆる信者――が多いゲームが1位になる可能性が非常に高く、そうやってがんばって投票して年間ランキング1位になったところで謎の選考委員が最終的なジャッジをするため、大賞をとれるかどうかわからない意味不明な企画」


 結論から言うと業界側でもそう思っている人は多く、大手メーカーほど萌えゲーアワードを重要視していない。

 現に、ここ数年はノミネートを辞退するメーカーが増えている。

 言い忘れたが、ノミネート自体は自動でされる。なので、「勝手にノミネートして勝手に順位つけてんじゃねーよ」と怒っている業界人さえいる。


 元々萌えゲーアワードは、売り上げ不振が見え始めていたころに、エロゲの売り上げを伸ばすために始められた企画だ。

 当時はエロゲを買うと投票コードがもらえ、エロゲをたくさん買っている人ほど多くの投票権を得られる、というシステムだった。

 今の「誰でも一日一票投票できる」というシステムと比べると不平等に感じられるかもしれないが、エロゲを買っているユーザーのみしか投票できなかったため、「企画に参加している」という実感や、ちょっとしたお祭り感があった。

 投票コードのおかげで、今よりはランキングに信頼性もあった。(もっとも、昔からランキングに関わる不審な動きというのはたびたびあって、完全には信頼できなかったのだが)

 投票制度が変わる前は、ユーザーもそこそこ楽しんでいたのではないだろうか。

 業界側としても、忌避感はそんなになかったし、賞に選ばれたら素直に喜んでいたように記憶している。


 とはいえ、「全PCゲームタイトル」と標榜しながらも、実際は「運営サイドのとある流通のゲーム」を優遇する傾向……というか、そういう運営方針になっており、他の流通から発売されたゲームがぶっちぎりの人気を獲得してしまうと、運営的には都合が悪かったようだ。


 今はそういったあからさまな贔屓は是正されつつあるような気がしないでもない、が。

 順当に行けば年間ランキング1位が大賞、2位と3位が準大賞、となるはずだ。しかし、1位が大賞、2位が準大賞、3位はよくわからない賞を与えられ、もう一つの準大賞はランキング4位か5位あたりの作品に与えられる、ということが結構ある。

 通常準大賞は2作品だが、なぜか3つ目の準大賞が設けられ、4位や5位を飛ばして6位に与えられることもある。

 せめて「5位以内から大賞・準大賞を決定する」と明示してくれていればわからなくもないが、FAQには「投票結果をもとに、審査委員会で受賞作品を決定します。」としか書いてないし、同じくFAQで「大賞」(1タイトル)、「準大賞」(2タイトル)と書いてあるのに運営のさじ加減で「準大賞」(2タイトル)(ただし3タイトルになるときもある)なんてことになるんだから、あまりにもガバガバすぎないかという感想しか出てこない。


 加えて、先ほどよくわからない賞という表現をしたが、その言葉通りの「とりあえずなんか賞与えなきゃいけないから適当に考えておくか」的な名前の賞が毎年あるのだ。

 毎年の恒例となっているシナリオ賞なども、選考基準がさっぱりなので、「え、なんでこれが?」とユーザーの予想と乖離していることが多い。

 まあこればかりは個々人によって受け取り方も変わるだろうから仕方ないが、部門別に投票してもらうとか、やり方はいろいろあるだろうにと思わざるをえない。


 ちなみに、月間大賞の意味もほとんどない。

 せめて「月間大賞のみで決選投票をして年間大賞を決める」とかならわかるが、そんなルールはない。

 繰り返すが、他にやり方はいくらでもあるだろうに。


 ここまで読んでくれたらわかるだろうが、ユーザー投票に信頼性がない上に軽視され、選考基準が曖昧で、選考委員の都合によって受賞作が増え、なおかつ意味のわからない賞を濫造するアワードなど、誰が重要視するだろうか。


 さらに内情をバラすと、大賞や準大賞を獲得すると、「トロフィー欲しかったら○万円払ってね」と運営から通達があるそうだ。

 勝手にノミネートさせて勝手に表彰したくせに、授与するトロフィーの代金はメーカー持ち。

 そりゃ大賞最有力候補のメーカーこぞって辞退するわと。


 エロゲ業界を盛り上げたいなら選考基準はもっと明確に、厳正にすべきだし、投票の信頼性を上げるシステム構築を目指すべきである。

 完璧に工作を排除できないとしても、正直、純粋にユーザー投票でランキングを決定しているGetchu.com(http://www.getchu.com/top.html)の美少女ゲーム大賞の方が参考になる。

 Getchu.comはユーザーのコメントも掲載してくれるから、なおさら参考になる。


 受賞作になにかしらの付加価値を与えて売り上げを伸ばしたい、というのはわかるのだが、それなら既に売れている作品ではなく、ユーザーからの評判はいいけど売り上げが伸びなかった作品こそを大賞にすべきではないか、と常々感じている。

 運営側の損得勘定が透けて見えれば、ユーザーがしらけるのも当然だろう。


 今となっては手遅れかもしれないが、もっとユーザー目線に立って、ユーザーが楽しめるよう尽力してもらいたいものである。

 今のままではユーザーも業界側も心から楽しめない。そんな悲しい企画になってしまっている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー