現在、和服の礼装はかなりかき乱されています。
本来、男性も女性も黒紋付で良かったものが黒留袖が生まれて以降、女性は慶事に黒留袖・弔事に黒紋付となりました。
そして、色留袖が生まれて「結婚式では両親以外黒留袖は着ない」などとしたり顔で言う人も居ます。
はっきりイイます。
嘘です!!
それはルールはありません。
持っている人の配慮であり、黒留袖でいいんです。
なんだったら黒紋付でも失礼に当たりませんよ。元々礼装ですし(知らない人に何か言われる可能性が高いのでおすすめしませんが)。
留袖というのは、振袖に対して生まれた言葉で、振袖は若年層が着る着物であるのに対して、既婚者が袖を切って身八つ口を縫い留めることから「留袖」と言われるようになったものです。
で、この時代にはいろいろな「留袖」があったんですね。
ただし、これは「現在の色留袖ではない」ことに注意してください。
明治時代にブラックフォーマルの考え方が輸入されて、留袖は振袖の袖を切ったものではなく、黒の裾に柄のある着物へと変化していきます。
現在留袖と呼ばれているものは、化政年間に流行し始めて定着した「江戸褄」と呼ばれる「裾に絵羽で柄の入った着物」です。
江戸時代は上半身に柄の入った留袖も存在していたようです。
現在の色留袖は黒留袖から生まれたもので、単に黒江戸褄をカラフルな地色に発展させたものです。
ですから、本来は黒留袖に格として及びません。
この辺りから、礼装が複雑になります。
ちなみに黒留袖に締める帯は1970年代に「丸帯は大げさなので袋帯や格調高い名古屋帯でもよい」と婦人雑誌『主婦の友』が書いた記事により、この根拠は明示されていません(つまり理由がない)。
この記事の理由を知りたいと考えています。