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あたしの可愛いモン娘たち 作者:クロべぇ
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01.勇者募集中?

序盤が長かったため一部カットしましたが、すでに読んだ方には問題ないです。

なお、1話~3話は無駄に長い上に盛り上がりに欠けるため、4話のあらすじから読んでいただいてもおそらく問題ありません。

――勇者募集中。凶悪な魔物を倒して英雄になりませんか?――


 あたしはスマホでゲームか何かの広告を見ていた。

 そこには魔物のイラストが描かれていて、とっても可愛いんだ。

 猫耳や犬耳のついた子、人魚っぽい子、悪魔っぽい子。ありとあらゆる動物や架空の魔物がとっても可愛いらしく描かれている。

 あたしは可愛い物や生き物が何でもかんでも好きなんだ。


――魔物は倒すだけでなく、捕えることもできるよ。捕えた魔物からは魔力を吸い取ろう――


 うん、こんな可愛い魔物たちは倒しちゃだめ。

 捕えて可愛がらなくっちゃね。

 魔力を吸い取るってのはエッチなことでもしちゃうの?

 でもこのゲーム、18禁とは書いてない。

 ちょっと残念だけどまあいいか。


――勇者初心者でも大丈夫。あなただけの特殊な能力が身に付くよ――


 あたしだけのかー、魔物を魅了する能力とかほしいな。

 こんな可愛い子たちとあんなことやこんなこと……。

 うふふふふ。にやにやしちゃう。


――活躍した勇者はモテモテになれる!――


 そっかぁ、魔物だけでなく人間ともラブラブになれるのかな。

 この世界ファンタジーっぽいからエルフとかいたらいいな。


――簡単なプロフィールを入力するだけ。簡単審査ですぐ勇者になれます――


 審査なんてあるの?

 ま、そういう設定なのかな。

 とりあえずやってみよう。


 まず名前からか。青井優奈(あおいゆうな)

 性別は女と。

 年齢は16歳。

 職業?女子高生だよ。2年生ね。

 特技?マッサージかな。女の子に触るために覚えたんだ。

 好きなものは、かわいいものと。

 嫌いなものは、男の子かな?いや、かわいくないものにしよ。


 こんなところかな?送信っと。

 あ、メールが来た。勇者のご案内か。


――勇者へのご応募ありがとうございました――

――準備が良ければ、これより勇者となっていただきます――

――準備が出来次第、下のボタンを押してください――


 うん、今は暇だから始めよう。ぽちっと。


――本当によろしいですか?――


 ん?またボタンが……。

 準備出来てるよ。ぽちっ。


――最終確認です。本当によろしいですね?――


 もうしつこいなあ。早く始めさせてよ。

 ぽちっと。


 ボタンを押した瞬間、あたしの頭の中になにか声が……?

 そして意識をひっぱられるような感覚?

 え?なにこれ?


――勇者召喚プログラム発動します――


 え?え?これゲームじゃないの?

 な、なんかやばい?

 そう考えながらあたしの意識は飛んで行った……。




――――――――――――――――――――――――――――――




――女神アルティアナに祝福されしこの世界――

――1000年の平和が約束されしこの世界――

――凶悪な魔物により、その平和がおびやかされている――

――勇者よ、今こそ目覚めよ――

――魔物を打ち倒すのだ――


 なんなのなんなの?

 頭に変なメッセージが流れ込んでくるよ?

 まるでRPGの冒頭のような……。

 でもさ、なんか文章が安っぽくない?

 1000年の平和が約束された割にあっさりとおびやかされてるしさ。

 いきなり矛盾してますよー。

 なんか目覚めたくないんですけど……。


――勇者様、お目覚めください――


 ん?目覚めちゃったかな?

 なんだか体が重い……。

 ぼんやりとした視界にだれかの姿が見える。


「勇者様、お目覚めになったのですね」


 んー、耳がとがってる綺麗なお姉さんがいる。

 もしかしてエルフ?

 んー、いい目覚めだなあ。

 あたしはどうやら横になっていて、毛布をかけられているようだ。


「えっと、ここは?」

「召喚の神殿です。勇者様を異世界より召喚させていただきました」

「そっか……。異世界に来ちゃったんだ」


 周りを見渡すと、ローブを頭からすっぽりとかぶったような、いかにもな人達がいた。

 広いところだなあ。勇者ってそんなすごい存在なのかな?

 あれ?今知らない言葉で話しかけられたよね?

 それなのに理解できるし、あたしも知らない言葉で返事した?


「勇者様、お体に問題はないですか?」

「ん、大丈夫……と思う……。でもなんで異世界の言葉がわかるんだろう?」

「召喚の際に、こちらの世界の言葉を勇者様の魂に刻ませていただきました」

「そっか……。便利だね」


 言葉の謎は解けた。

 でも、体は大丈夫だろうけど頭は大混乱だ。

 最初に見たのがこんな美人のお姉さんでなければとっくに発狂している。


「皆様、召喚は成功です。後は私にお任せください」


 その言葉で神殿にいたあやしげな集団が出ていく。

 ってことはこの広い神殿にあたしと綺麗なお姉さんの2人きり?

 ちょっとドキドキしちゃう。


「勇者様、お初にお目にかかります。私は勇者様のお世話係をさせていただくリリアと申します。


 とても綺麗な服装に身を包んだとても綺麗なエルフのお姉さん……リリアさんは、とても華麗なしぐさであいさつをしてきた。

 綺麗だなあ。ほれぼれしちゃう。

 腰まで伸びた長い髪も素敵。

 銀髪なのかな?とてもサラサラしてそう。


「勇者様、まずは服を着ていただきますね」

「え?あ……あたし裸なの?」

「大丈夫です。召喚後すぐに毛布をかけましたので、私以外は見ておりません」


 つまり、リリアさんにはあたしの裸見られたんだ。

 うう、なんか恥ずかしいよ。

 どう思われたかな?

 とても素敵なスタイルのリリアさんからしたらきっと貧層だったよね?


「まずは下着からですね。勇者様はまだ動けないと思いますので、私にお任せください」

「お願いします。なんで動けないんだろう?」

「召喚のため、異世界を長く飛んでこられたのです。疲労がたまっているのも無理ありません。もう少しで動けるようになると思いますよ」


 うん、たしかにすごい疲労感。

 あと、この体があたしのものじゃないような感じで動かしにくい。

 変な感じ。

 でもいっか。

 だってさ、服を着せてもらうのって、脱がされるよりエッチな感じがするんだもん。

 あ、足に下着の感触。ショーツ履かせてもらってるんだ。

 えっと……なにこれ?

 すっごく肌触りがよくて気持ちいいよ?

 履いたことないけど、高級なシルクの下着ってこんな感じなのかな?

 いつも安い綿パンツばかりのあたしには過ぎた代物だ。


 次はブラかな。リリアさんが白いブラを持っている。

 見た目だけでも高級そうな感じ。

 この世界でもちゃんとブラはあるんだね。


「失礼しますね」


 あ、毛布がめくられて見られちゃってる。

 うう、恥ずかしいなあ。そんなに大きくないしさ。

 あ、リリアさんのおっぱいは大きくてうらやましいな。

 ブラが手際よくつけられていき、リリアさんの手がブラの中に……。え?


「ひゃうんっ!」

「すみません、くすぐったかったですか?でもこうすることで美しくなれますので我慢してくださいね」


 どうやらリリアさんはあたしの胸をよせてあげているらしい。

 あー、びっくりした……。

 なにか始まるのかとドキドキしちゃったよ。

 実のところくすぐったかったんじゃなくて、気持ちよかったんだけど……恥ずかしくてそんなこと言えない。

 あ、でもすごい。

 あたしの胸にとっても綺麗な谷間が出来てる。

 普段はBなあたしのおっぱいがCくらいに見えてる。

 すごいなあ、リリアさん。さすが美人のお姉さん。


「ふふ、勇者様綺麗ですよ」

「あ、ありがとう……」


 なんか照れちゃうな……。

 脱がされた時に言われてるような気分。

 うーん、このままなにかはじまっちゃえばいいのにな。

 リリアさんだったらいいな……ってゆうかリリアさんがいい……。


「次はこちらです」


 あ、ストッキングかな?

 今まで履いたことはほとんどない。

 生足の似合う女子高生だしね。

 ひゃあ、なんかこれもすごく気持ちいい肌触り。

 高級品ってすごいんだな……。


「下着はこれで最後です。もう少し我慢してくださいね」


 我慢する必要ないくらい楽しいので大丈夫です。

 あ、あれはガーターベルトってやつかな?

 大人の色気ムンムンのアイテム。

 もちろんつけたことはない。

 足から履かされて、リリアさんが位置を整えてくれる。


「ひゃふう……」

「うふふ、勇者様はくすぐったがりやさんですね」


 だってさあ、リリアさんの手がすべすべで気持ちいいんだもん。

 最後はベルトを止めるのかな?

 リリアさんの手があたしのショーツの中に……。え?


「きゃっ」

「あ、ごめんなさい。ここもくすぐったいんですね」

「あ、ちょっとびっくりして……。ベルトって中に通すんですね」

「ええ、こうしておかないと、トイレですぐに降ろせませんからね」

「なるほど……」


 ふむふむ、それは合理的。勉強になるな。


「さて、体の方はどうですか?」

「えと、少しは動かせそうだけど、まだきついかな……」

「そうですか、それでは少しお待ちしますね」


 リリアさんはあたしに毛布をかけてくれる。

 ふう、つい綺麗なリリアさんと下着で浮かれちゃってたけど……、これってかなり大変な状況だよね?

 勇者って何?これ夢じゃないんだよね?困ったなあ……。

 少しリリアさんに質問してみようかな。


「あたしって本当に勇者なの?」

「もちろんです。今はまだ実感がないと思いますが、勇者様は素晴らしい力をお持ちのはずです」

「そうなんだ……でも急にここに来てびっくりしちゃって……」

「えっと?勇者様は勇者になることに承諾していらっしゃったのですよね?」


 あれが承諾なのかな?

 ゲームとしか思えないあの画面。

 あれじゃあ詐欺だよ。


「そうだけど……よく理解せずに承諾しちゃって……」

「え……?そうだったのですか?それでは……」


 リリアさんがおろおろしちゃってる。

 うーん……。一応頑張ってみるしかないのかな?


「あ、でも大丈夫だよ。勇者の力があるんだったら出来る限りはがんばるよ」

「あ、そうですか。ほっとしました」

「心配させてごめんね。でもあたしも不安でさ。リリアさん、あたしを支えてくれる?」

「はい!お任せください」


 うん、こんな素敵な人があたしのお世話係で本当によかった。


「あ、勇者様。活躍していただければ元の世界へ戻ることも可能ですので、がんばってくださいね。この神殿は召喚だけでなく、送還もできます」

「あ、そうなんだ……」


 なんか拍子抜けだ。

 一方通行じゃないんだね。


「具体的にはどうがんばったらいいのかな?」

「勇者様を呼びだすためには大量の魔力が必要となります。ですので、送還に必要な魔力と次なる勇者様を呼びだすための魔力を集めていただければ可能となります」

「魔力ってどうやって集めるの?」

「魔力は私達人間にはないもので、魔物だけが持っているものです。ですので、魔物を捕えて魔力を奪う必要があります」


 たしかゲーム……じゃなかったけど、勇者募集の紹介文にそれが書いてあったな。

 魔物から魔力を奪って、それがあたしを呼びだすための力になったのか。

 ふむ、まあがんばってみるか……。

 戻れるってのは結構大きい。


「じゃあ大変そうだけど、がんばってみるね」

「ふふ、勇者様ならすぐですよ」


 あ、なんだかそろそろ起き上がれそう。


「リリアさん、ちょっと起き上がってみるね」

「はい、お支えしますね」

「よいしょっと。立てたぁ」

「おめでとうございます、勇者様。あちらに鏡がありますのでどうぞ」


 あたしはリリアさんに支えられてゆっくりと歩いていく。

 リリアさんが近い。いい匂いだなあ……。

 鏡に映っているあたしはまるで別人だった。

 白い下着に全身を包まれているあたし。

 まるでいいところのお嬢様のよう。

 おっぱいもこんな綺麗な形になってるの初めて見るし。


「では最後にドレスを着ていただきますね」

「え?うん」


 ドレスなんだ。

 勇者なんだからもっと動きやすい格好なのでは?

 なんて考えてる間にあたしはドレスを手際よく着せられていく。

 そしてお姫様?が完成した。


「勇者様。とてもよくお似合いです」

「なんか……あたしじゃないみたい……」


 下着と同じ真っ白なドレス。

 ウエディングドレスではないけど、それに近い。

 綺麗だな……。

 あと、左腕に腕輪らしきものがついてる。

 いつの間に?まあいっか。


「えっと……戦いには向いてなさそうだけど……」

「ふふ、戦うのはまだ先なんです。まずは私の住む都まで移動していただきます」

「あ、そうなんだ……」

「うふふ、実はここまで着飾る必要もないのですが、女性の勇者様は珍しいのでついはりきって用意してしまいました」


 そっか……。

 たしかにあの募集文のように英雄になってモテモテになろうっ、て考えるのは男が多いだろうな。


「あたし以外にも勇者っているの?」

「はい、何人かおられて活躍されていますよ。今のところ魔物に負けた勇者様はおられません。それだけ勇者様はお強いのです」


 ん、それなら安心だ。

 そりゃあ勇者だもん。強いに決まってるよね。

 よし、あたしも英雄になって満足したら帰るかな。

 でも、楽しかったらここにいよう。


「あ、忘れていました。こちらをどうぞ」

「え?うん」


 差し出されたのは白いハイヒールの靴。

 ドレスに合わせたんだろうな。

 でもあたしこんなの履いたことないや。

 なんだか歩きにくそう……。

 あ、でも背が高くなった気分なのはちょっといいかも。


「それではいきましょうか」

「うん」


 あたしは慣れないハイヒールでフラフラと歩き出す。

 体もまだ動かしにくいかな……。

 でも、リリアさんが支えてくれるから嬉しいな。

 なんだかいい匂いもするし。


 神殿を出ると、大きな庭が広がっていた。

 まるでここがお城かと思うような素敵な庭だ。

 振り返ると神殿も大きくて綺麗。

 すごいなあ……。

 庭をゆっくりと歩いて、これまた大きな門から外に出る。

 そこから大きな街が見える。

 どうやらこの神殿は高いところにあるらしい。


「ここが、中央都市セントゥークです。この世界で一番大きな都市ですわ」

「すごい……」


 この世界はわりと発展しているように見える。

 さすがに車とかは走ってないけど、綺麗に舗装された道を馬車が走り、お洒落なレンガの家から煙が出てたり、大きな教会っぽい建物があったり、なんだかわくわくしてくる。

 まるでおとぎ話の中の世界のよう。


「それでは階段を降りましょう。下で馬車が待っています。ゆっくりでいいですからね」

「うん……怖いから支えててね」

「はい、大丈夫ですよ」


 高いところにあるだけあって、階段が数百段ありそう……。

 リリアさんに支えられ、手すりも持ちつつゆっくりと降りていく。


「これからどこへ向かうの?」

「私達の住む北の都ノースリアへ向かいます」

「どのくらいかかるのかな?」

「馬車でおよそ1週間ほどかかります」

「そんなに……?」

「はい。来ていただいて早々に移動となり申し訳ありません。戻れば歓迎の儀をいたしますので、しばしご辛抱下さい」

「うん……」


 いきなりきっついなあ。

 車って偉大なんだな。

この世界って魔法で移動とかないんだろうか?


「リリアさん、この世界には魔法ってあるの?」

「ありますが、私達人間には使うことができません。使えるのは魔物と勇者様のみです」

「そうなんだ……」

「あと、最近は魔物から奪った魔力で魔法のアイテムを作る研究も進んでおります。今から乗っていただく馬車も、そのおかげでかなり速いんですよ。通常の馬車なら倍以上の時間がかかります」

「そっか、いい馬車に乗れるんだね」

「はい。勇者様を迎えるために用意いたしました。


 それならまあいいか。

 一応歓迎されてる感じだしね。

 ふう、ようやく階段の下まで着いたよ。

 降りるまで30分くらいかかった?

 早く馬車に座りたいな。

 あ、だれかがこっちを見てる?


「リリアよ、そのお方が勇者様だな」

「はい、ランベル将軍」

「勇者様、お初にお目にかかります。ランベルと申します」

「あ、はい……どうも」

「これよりノースリアまで護衛をさせていただきます」


 ランベル将軍、白いおひげがダンディーなナイスミドル。

 当然あたしの好みからは程遠い。

 ちぇっ、リリアさんと2人が良かったなー。

 でも、護衛が必要ってことは道中に魔物が出るのかな?


「勇者様、あちらの馬車です。どうぞ」

「うん」


 豪華な馬車が待っていた。

 うーん、お姫様気分だな。

 くるしゅうないぞよ。

 あ、ランベル将軍は別の馬に乗ってるみたい。

 運転手……御者さんは2人いて交代で運転するらしい。

 残念ながらリリアさんと2人きりではなかった……。

 ま、基本的に仮眠をとってるから空気みたいなものだけどね。


 人生で初めて乗る馬車の乗り心地、意外と悪くないな。

 道も整備されてるみたいだし、魔法の道具の力も影響しているのかもしれない。

 さて、これから1週間いろいろとリリアさんに教えてもらおうかな。


 まず、あたしが一番懸念していたこと。

 本来いた世界ではあたしが行方不明になっているのか?

 これはあっさりと解決した。

 まず、あたしは召喚によって魂だけがこの世界に来たらしい。

 その際にあたしの体には仮の魂が入り、普段通りに行動してくれる。

 もしあたしが送還された場合はそれまでの記憶をもらえる。

 なんだか至れり尽くせり、まるで某ヒーローの使うコピーできるロボットみたいだ。

 話が出来過ぎてる気もするけど……。


「勇者様、おなかすいていませんか?」

「あ、すいてる……」


 驚きだらけで、食事のことをすっかり忘れていた。

 今のあたしはおなかぺこぺこだった。

 リリアさんがサンドウィッチを用意してくれているようだ。

 見た目はあたしの知っているものと変わらない。

 お味の方は……なかなかおいしいぞ。

 パンも卵もお野菜も、素材自体がとてもおいしい気がする。

 うん、これならこの世界の食事に期待が持てるな。

 食事をしていると、あたしは左腕の腕輪のことを思い出した。

 これも今聞いておこう。


「リリアさん、この腕輪って何だろう?」

「それは……言いにくいのですが、言っておかないと失礼ですよね」

「ん?」


 なんだろう、リリアさんがとても言いにくそう。


「以前召喚された勇者様の中に、暴れ出した方がいたのです。それ以来、召喚される勇者様にはその腕輪を着けることになりました」

「てことは、これって……」

「はい、いざという時に勇者様を動けなくする機能がついております……」


 え……なんか怖いものが着けられてるんだな……。

 でも、そうだな……。あたしがよく読んでた小説で異世界に召喚される話だと定番だったかもしれない。服従しなきゃならない契約とか。


「そっかぁ、まあいいよ。仕方ないもんね。ちゃんとしてれば使われることないんだよね?

「はい、もちろんです」


 申し訳なさそうに言うリリアさん。

 うーん、こう言った時の顔も絵になる美人だなあ。

 素敵だから許しちゃう。リリアさんが悪いんじゃないしね。


「気にしなくていいよ、リリアさん。あたしがんばるからさ」

「はい、ありがとうございます」


 そう言って笑顔が戻るリリアさん。

 うんうん、やっぱり美人は笑ってないとね。

 はあ……見とれちゃう。

 んー、なんか眠いなあ。

 たくさん食べたからかな?


「勇者様、今日はお疲れのご様子ですね。おやすみになってください」

「うん、リリアさんに膝枕してほしーな」


 眠いついでに甘えちゃうあたし。

 まだまだ甘えたい年頃だよ。


「どうぞ、ゆっくりと休んでくださいね」

「ありがと、おやすみ……」

「おやすみなさいませ、勇者様」


 うーん、半分冗談だったのにしてもらえた。

 勇者はやはり好待遇なんだな。

 とりあえず寝よう。

 リリアさんのお膝……いい匂いだな。

 あたしは幸せを感じながらまどろんでいった。

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