『ベイズ深層学習』が最高すぎた

今回は書評エントリー。

ちょうど今日の午前中に須山さんの『ベイズ深層学習』を読み終えた。

ものすごく良かったのでここで全力で宣伝しようと思う。

概要

本書はベイズ統計と深層学習の組み合わせについて詳説した一冊で、頻度論に基づく線形回帰と確率分布の基礎の解説から始まり、そこから線形回帰やニューラルネットワークベイズ的にどのように説明できるかについて展開、そこから深層学習のベイズ的な説明をしてガウス過程へとたどり着く構成となっている。

本書の魅力はなんといってもそのボリュームにある。

本来であればこのレベルのコンテンツは3, 4冊に分かれていてもおかしくない量と濃さであるにも関わらず、これらの内容を簡潔に解説して1冊にまとまっている。

帯の「欲張り本」という表現は非常に的を射ていると思う。

ただ、この本のすごいところは、解説の丁寧さとわかりやすさにある。

数式を用いて厳密な説明をしているが、一方で非常にわかりやすく書かれているため、疑似コード等は書かれていないものの数式と説明を読んで容易に実装のイメージがつくようになっている。

また、各アルゴリズムのわかりやすさのためにアルゴリズムを実装して可視化したグラフも豊富に用いられている。

ここまで解説を丁寧にしつつわかりやすさと内容の濃さを実現したこの一冊は、他に類を見ないと思う。

感想

だんだんと機械学習という単語が民主化してきて「AI」がバズワードとなって久しいが、それに応じてなんちゃってAI解説本が出てきて書店の棚にも怪しい本が立ち並ぶ中、このような強烈に素晴らしい本が出てきたことが非常に素晴らしいと思う。

かつて、日本語の書籍でベイズ機械学習の勉強をしようと思うのならPRMLの和訳版の一択であると個人的に考えていたが、今後はPRMLより『ベイズ深層学習』を勧めたいと思っている。

もちろんPRMLは良い本だと思うが、内容が出版されてからだいぶ時間も経っている(2006年出版)ために深層学習の周辺についてカバーし切れていないというのも事実だと思う。

その点で、PRMLよりもコンパクトに、かつ要点をしっかり押さえた上で深層学習までカバーするという意味では『ベイズ深層学習』の方が良いような気がする。

もちろん、PRMLにも良さはあって、本書がカバーし切れていない部分(時系列解析など)がある。

個人的にベイズ機械学習の導入については『ベイズ深層学習』の方が簡潔だと感じているため、今後はベイズ機械学習の勉強のロードマップでは最初に『ベイズ深層学習』を読んだあとにPRMLを読んだ方が最終的に理解度合いが深まるのではないかと思っている。

なんとなく書店で本書を手にとって読み始めたのだが、個人的にここ最近で一番の当たりだと思っているので、機械学習の勉強をこれからするという人にはぜひともオススメしたい一冊である。