キャリアコンサルタントで求職者の相談を聞くと、仕事の探し方で悩んでいる方はかなり多いです。
転職で次の仕事を探すときに、求人は何を基準に選んでいるでしょうか。
転職サイトやハローワークなど、求人が増え仕事の探し方は一昔前に比べると多くなりました。
ですが今の時代、求人の探し方が簡単になったことが逆に転職に悪影響を及ぼしています。
求人の探し方を間違えると、ブラック企業に入社するリスクがあるからです。
実際に仕事の探し方に失敗して、何となく良さそうという理由で転職に失敗する人も多いです。
今回は、キャリアコンサルタントが仕事の探し方と、良い求人の見分け方について説明します。
仕事の探し方で注意すること!求人票に記載されていることは全てではありません
仕事の探し方として、ハローワークや転職サイトの求人があります。
ですが、この求人情報を鵜呑みにすると失敗するので注意してください。
求人は企業からすると証拠に残ることであり、あまり深い情報を記載することはないからです。
知らない方も多いでしょうが、求人票の記載内容をオブラートに包んでいる企業も散見されます。
求職者は転職活動に対してあまり経験がありませんので、求人に隠された企業の思いやメッセージを正確に理解することができません。
正確に理解することができないということは、その企業に応募した場合、転職後に求人の内容と違いがあるということで、トラブルや転職後のギャップになり早期退職に繋がるリスクがあるのです。
求職者は、求人票の情報が正確だと思い込んでいるため、こうしたミスマッチが転職では良くあるのです。
求人という存在は、企業の立場で考えるとあまり深い情報を記載することができません。
ですが覚えておくだけでは意味がないので、求人の探し方のコツをキャリアコンサルタントが説明していきます。
求人票からリスク回避できる!年収レンジが幅広い求人には気を付けよう
仕事の探し方で、求人票の注意すべき項目の一つに年収があります。
年収は求職者が転職後に支給される給料のことを意味しますが、どの求人にもピンポイントにこの年収という表記はありません。
- 300万円~500万円
- 400万円~700万円
というように「~」である程度のバッファを持たせているのです。
企業もピンポイントに年収表記したいところですが、同じポジションの求人でも求職者によって経験や実績はそれぞれ違いますから、応募できる範囲を広げるという意味でそうなっています。
もちろん、自社の採用活動の幅を広げるためにも、この年収の範囲で希望する求職者の応募を促進する狙いもあります。
レンジが広すぎるのはブラック企業のリスクがある
年収のバッファの範囲ですが、200万円~300万円前後であれば、ごく平均的な範囲になりますが、求人のなかには500万円~1000万円とか、300万円~1000万円などと最低年収と再考年収の差が以上に大きい求人があります。
求人の探し方で絶対に注意すべきは、こうした求人になります。
また、この求人に応募して内定を勝ち取った場合の内定時にオファーされる年収は求人に記載されている最低年収であることが大半です。
物は言いようで、企業からすると自社の採用活動の幅を広げるためだけに幅広い年収表記にしているだけで、採用活動初期からそもそもとして内定時は、最低年収しか出す気はないのです。
もっと言いますと、このように求人に幅広い年収表記をしている企業にはブラック企業である可能性もありますので、ブラック企業の見極め材料としても活用することができるでしょう。
参考:ブラック企業の見分け方!面接の手口をキャリアコンサルタントが教えます
仕事の探し方に失敗!求人票と役職が違うことはよくあります
求人の探し方で注意すべきことに、役職についての記載があります。
求人を注意深く見ると、主任候補、係長候補、課長候補などと役職の最後に余計な候補という記載があります。
この違いは分かりますか?
特定の役職で転職するのではなく、その求人で内定をもらった場合は、特定の役職の「候補」で転職することになるのです。
混同しやすい用語が「代理」です。
「候補」と「代理」は全くの別物です。
現職や前職で課長代理で仕事をしてきたため、転職先でも役職は課長代理を考えているとして、求人に代理ではなく候補という記載があったとします。
何度も言いますが、候補と代理は別物で、候補の求人で応募した場合は、特定の役職はつきません。
転職後に特定の役職の候補として転職するというだけです。
企業は求職者の心理を理解している
企業は転職後に活躍してくれれば、特定の役職の候補であるため、そのような記載にしているのですが、良く考えてください。
特定の候補で転職しなくても、企業で活躍することができれば、候補で転職しなくても特定の役職の候補に名乗りを上げることはできるのです。
候補という表記は企業からすると非常に都合が良い言葉で、求職者のほとんどは役職が欲しいのです。
求人に候補であっても、役職が記載されていると応募率が上がります。
求職者のことを考えてのことではなく、単純に自社の採用活動の進捗を上げるための母集団形成確保が目的です。
求職者は候補という文言に、必要以上の期待をしてはいけません。
30代や40代の転職の求人の探し方で勘違いする人も多いのですが、候補と代理は別ものになります。
候補という文言ひとつで、その求人の企業がどのような採用事情を持つかを知ることができます。
求人にはたくさんの文言が記載されていますが、文言一つで求職者は企業に入社する前からその企業の状態を知ることができるということです。
母集団形成ができない企業ということは、転職市場では求職者から人気がない企業ということです。
前向きに考えるならば、内定を取りやすい企業と言えますし、後ろ向きに考えるのであれば、人気がない分、応募はやめようという判断をすることができます。
考え方は人それぞれなので強要はできませんが、求人の探し方のテクニックとして覚えておいてください。
求人の探し方で知られていない真実!転籍の意味を知っていますか
法的な知識がなければ、求職者が陥りやすいことの一つに転籍があります。
そもそもとして転籍という言葉を知っていますか?
知っていても理解できていますか?
転籍は、実は2つの意味があり、この2つにより求職者の転職後の立場はまるで違ってきます。
- 在籍型出向
- 移籍型出向
が転籍の内訳です。
在籍型出向とは、在籍する企業は転職先ですが、働く場所、つまり、勤務地はその他の転職先が指定する企業ということになります。
一方、移籍型出向とは、採用自体は求人元である求職者が応募した企業になりますが、在籍は採用した企業が指定する企業であり、働く場所は採用した企業の可能性もありますし、その他の企業である可能性もあります。
この2つの転籍で違いを理解することはできましたか?
この2つの転籍を比べたときに、求人の探し方で求職者としては避けたい方は、移籍型出向です。
移籍型出向の場合、自分が魅力を感じて応募した企業に転職することができると思って選考を受けたにも関わらず、姿や形がまるで違う、違う企業に在籍することになるのです。
企業が違うということは、就業規則や社風、文化、その他すべてのことが全く違うということで、求人元である企業とは全く違う企業に在籍して仕事をするということになります。
移籍型出向の結果、採用された企業で働くことがあるかもしれませんが、立場はその採用された企業の社員ではなく、違う企業の社員ですから労働時間、休憩など一切のことが適用外になります。
移籍型出向とは、雇用契約自体が採用された企業ではないその他の企業との契約になります。
在籍型出向の場合は、雇用契約自体は採用された企業との間にありますが、実際に働く場所は、採用された企業ではない企業になります。
もし、選考中に面接官に惹かれて転職することを決めた場合は、その面接官は採用した企業で働きますから、転職後は自分が魅力を感じた社員と働くことはないということになります。
転籍は違法にならない
法的な知識が乏しい求職者は、「転籍は違法ではないか?」と思うかもしれません。
ですが先程の通り、法的に認められた規定になりますので、全く問題ありませんし、採用活動における求人のタイミングで転籍と記載しているだけで企業としては十分、明示義務を果たしているということになります。
転籍を条件にする企業の採用事情としては、大手企業にその傾向があります。
大手企業の場合は、ネームバリューがあり、または、企業規模が大きいため求職者からの知名度があり、応募する求職者の数も多く採用活動で苦戦することはありません。
しかし、資本関係があるグループ会社、特に関連子会社の場合は、資本関係はあるとしても、採用活動はその企業単独で行いますから、企業名としてのネームバリューは低く、知名度もないことから母集団形成が難しいです。
そこで、大手企業はグループ企業の代理として求人を公開して代理で採用活動を行うことがあります。
求人に聞いたことがある大手企業の求人名があり、カッコ書きでグループ企業の採用という言葉があったら、転職後は自分は大手企業との雇用契約関係はないのだと認識してください。
グループ企業への転職自体は。間違っていませんが、求職者からすると大手企業に転職でいると思っていたところに、転籍というある意味、トリックで違う企業で雇用されるということは落胆も大きいでしょう。
仕事の探し方は求人票の試用期間にも注目すべき
仕事の探し方で注目すべきことに、求人票に記載されている使用期間があります。
企業からすると書類選考や面接数回を通して、採用に値する人材であると評価して内定を出したとしても、その評価を100%信用することはできません。
求職者が持つ経験や実績はあくまで過去の在籍企業でのことで、転職先である自社でのものではないからです。
その意味では企業にとって中途採用はリスクがあるのです。
企業は一度、採用すると、そう簡単に解雇などを強制的な手段で雇用契約を終了することができません。
日本には「解雇権濫用法理」というものがあり、不当な解雇はすべて無効になるためです。
採用時には評価しても採用後に思うようなパフォーマンスが発揮されず払っている人材も当然います。
支払っている給料と見合わないとなれば、企業からするとリスクが顕在化したということで、できれば退職して欲しいと考えます。
しかし、解雇をすることはできませんし、本人である求職者も転職したばかりで退職しようとは考えません。
そこで、求人票に試用期間を記載するのです。
使用期間は企業に主導権がある
求人には試用期間という記載があります。
試用期間とは、企業としては、文字通り、試みの期間で、採用した求職者が採用時に評価した成果を出せるか、出せないかを一定期間である試用期間を通じて見極めるということです。
試用期間がある限り、求職者は、転職後にいきなり正社員という立場ではなく試用期間の社員ということです。
試用期間は求職者に主導権はなく、企業側が主導権を持ち、企業の判断により試用期間終了後も継続的に雇用するかどうかを決めることができます。
試用期間の平均期間は3カ月です。
この3カ月を超える期間、特に1年や2年という期間を求人に記載している企業は怪しいと思ってください。
法的には試用期間の期間上限はありませんから、企業ごとに期間を設定することができます。
ですが、常識的に考えると、試用期間を1年、2年と持つということは、その期間、ずっと主導権は企業にあり、転職した求職者はいつ企業から退職を指示されても何も言えないということになります。
試用期間の延長は、企業が裁量で決めますので、いつまで延長されるかも不透明です。
いつ雇用契約の終了を言われても何も言えないのです。
まさにブラック企業などが、こうした手口を使ったりします。
求人の探し方は隠された情報を見抜くことが必要不可欠
日ごろ、法的な関りが薄い求職者の方が多いはずです。
求人には求職者が把握し切れていない法的な背景や、企業独自の思惑が隠されています。
それを一つずつ解決していくことは時間がかかり過ぎてしまいます。
では、どうすれば正しい求人の探し方ができるのでしょうか。
その一つの方法は、転職エージェントを利用することです。
転職エージェントを利用することで、求人紹介のタイミングで隠されたメッセージなどをかみ砕いて教えてくれます。
こうした企業の思惑を知ることで、転職リスクを事前に回避することができるのです。
求人を簡単に見るのではなく、しっかりと言葉の意味を理解し、その言葉にはどのようなメッセージがあるのか見抜くことが良い転職の条件になります。
求人の探し方は実は難しく、転職失敗の大きな原因の一つとキャリアコンサルタントとして考えています。
大きなイベントである転職で失敗しないためにも、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談してください。