田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)
テレビのワイドショーや報道番組で政府の「失態」が取り上げられるたびに、その放送時間に比例して政権の支持率が上下動する。この状況を学校法人森友学園(大阪市)と加計学園(岡山市)問題、そして首相主催の「桜を見る会」問題で、われわれは目の当たりにしてきた。
最近だと、「桜を見る会」の話題をテレビで見る機会が減ったな、と思えば、安倍晋三内閣の支持率が持ち直した。と同時に、批判勢力である野党はそれほど支持率を伸ばさず、多くは低迷に陥る。
共同通信による最新の世論調査では、内閣支持率は42・7%から49・3%に、自民党の政党支持率も36・0%から43・2%に上昇した。自民党の青木幹雄元参院議員会長が経験則から唱えた内閣支持率と与党第一党の政党支持率の合計値、いわゆる「青木の法則(青木率)」では92・6%と高水準に戻っている。
対して、野党は軒並み支持率を下げている。ここ数年定着している光景から言えるのは、ワイドショーの放送時間や雑誌の取材頼みの政局ということだろう。やはり原因は野党のふがいなさにあるのだろう。
まずは筆者の主な関心事である経済政策から見てみよう。今の与党の経済政策は景気下降局面での消費税率10%引き上げという愚策を行ったばかりである。野党にとっては、与党の失点を利用して自らの対抗策を大きく打ち出す好機のはずだ。
だが、最大野党の立憲民主党にはその気概はない。最近掲載された枝野幸男代表のインタビューを読んでも、「経済政策なき政局ありき」の関心が浮き彫りになっている。
政局の最大関心はもちろん衆院選だが、それをいかに有利に展開するか、枝野氏にとってキーになるのは政策ではなく、「桜を見る会」問題や「IR(統合型リゾート施設)疑獄」なのだ。