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【大相撲】

遠藤戦のショックで白鵬に明らかな異変…妙義龍に負ける訳がないと言い切った私は解説者失格[北の富士コラム]

2020年1月14日 21時5分

妙義龍(手前)に突き落としで敗れ2敗目を喫した白鵬

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◇大相撲初場所3日目(14日・両国国技館)

 白鵬がまた負けた。過去の対戦成績は20勝1敗と負けるはずのない妙義龍に敗れてしまった。勝負事に絶対はないとは言うものの、まさか初日から2連敗の精彩のない妙義龍に引かれて負けたのだから、場内は騒然となる。

 私はラジオの解説で白鵬がこの相手に負ける訳がないと言い切っていた。場内騒然、私はあぜん。解説者失格である。4日目から、どの面さげて解説すればいいのか恥ずかしい限りである。

 こうなったのもみな、白鵬のせいである。最近では一番と言っていいほど絶好調で、初日を先場所、不覚をとった大栄翔を難なく下して評判通り、白鵬強しを見せつけた。それが2日目、遠藤に裏返しに土俵にたたきつけられる屈辱的な負け方を喫した。私はこの負けが尾を引いていると見ている。本来の白鵬は、負けた翌日は厳しい相撲を見せ、2連敗はめったにしないとされている。

 しかし、3日目の白鵬は立ち合い、張ることもなく右差しに出る。妙義龍は当然、左からおっつけて右差しを許さない。いつもの白鵬なら、ここで違う戦い方をするのだが、なおも右差しにこだわる。しかも足がそろって腰も高い。それを見て取った妙義龍が左から突き落とすと、白鵬は実にあっけなく前に落ちた。

 明らかに白鵬に異変が起きている。体調は問題はないが、遠藤戦のショックが少なからず響いているのではないだろうか。4日目の相手は北勝富士だ。決して楽な相手ではない。おそらくなりふり構わずかち上げ、張り差しを繰り出すだろうが、北勝富士の顔面は頑丈にできている。それに大関、横綱相手に3連勝と元気いっぱい。

 十分に波乱も考えられる。はたして白鵬に気力が残っているか? もしも、もしもではあるが、3連敗となったら5日目に姿を消すこともあるだろう。横審総見のあの強さは何だったのか。自信も過剰になると、このような状態になる。つくづく、相撲は難しい。

 鶴竜も北勝富士にいいところなく押し出され2敗目。内容が内容だけに立ち直りはかなり難しい。苦しいといえば、豪栄道も苦戦続きである。気力だけで頑張っているのはわかるが、とても相撲がとれる体調ではないようだ。

 反対に朝乃山は上位でただ1人、全勝を守っている。3日目の相撲内容は素晴らしいの一言。本人はまだ不満を述べているが、それはぜいたくというものだ。この勢いで優勝と大関の座を一気に手中にしてはどうか。私は十分にその力があるとみた。勝負事には勢いが大事なのである。今がまさにその時であろう。

 貴景勝と2人で横綱の先陣争いをしてもらいたい。それが協会にとってもファンにとっても理想的な展開なのである。白鵬の予想だにしない連敗で、あたかも白鵬の時代が終わったような話になってしまったが、今後の巻き返しも見たいものだ。はたして綱の意地を見せるか。別の楽しみも一興である。

 炎鵬を忘れていたが、きっちり立ち直ってみせた。3日目も長文になってしまった。長いだけで、ひとつも面白くないのは、自分でもわかっています、4日目からは簡潔に余計なことは省きます。外は寒いので、家で飯を食います。食べ物は暮れに送って頂いた、おいしいものが冷蔵庫に詰まっています。ありがたいことです。では、おでんで一杯。いけない、これが悪いのだ。(元横綱)

 

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