幼少期というものは、とても多感な時期で、何を見ても新鮮で、人生でもっとも貴重なすばらしい時間であると表現されることもある。
だがみんながみんなそうだっただろうか?思い出したくもない、つらい幼少期を過ごした人もいるはずだ。ましてやアメリカでは、貧富の差は拡大するばかりで、貧しいコミュニティに住む子供たちは、テレビにでてくる微笑ましい家族像とはまるでかけ離れた現実に、生まれて初めての理不尽を学んだ子もいるのではないだろうか?
アメリカの教育支援慈善団体ユース・アンバサーダーズは、恵まれない子どもたちがその秘めた能力を十分に発揮できるよう、支援している組織だ。
この団体が、実際に子どもたちがどのような幼少期を過ごしているか、あえて残酷な現実を突きつけるシンプルなアイデアを思いついた。それがこの子ども向けの絵本『うちのご近所にようこそ』だ。
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実際にあった悲惨な話をかわいらしい動物たちでつづった絵本
この絵本も、ほかの絵本と同様、フレンドリーでかわいらしいウサギやネコ、ネズミが擬人化されて登場するのだが、その内容は悲惨だ。
家庭内暴力、麻薬、犯罪、殺人、刑務所など顔をそむけたくなるような話のオンパレードだが、すべて実話に基づいたものである。アメリカのもっとも貧しい地域出身の不幸な子どもたちの現実がそのまま絵本になっている。
家族向けの親しみやすくかわいらしい挿絵ですら、子供たちが生活の中で直面する暴力を覆い隠すことはできない。麻薬中毒の父さんネズミが子どもたちを殴ったり、兄さんウサギたちが人を殺めたり、ミスター・キツネはやたら銃をぶっ放す血の気の多い警官だ。
『うちのご近所にようこそ』が、子どもたちの苦境に真の変化をもたらすのかどうかはわからない。多感な子供たちがこの本をどう受け止めるのかはわからないが、これまでとはちがった切り口で、子どもたちを支援しようという創意工夫は見てとれる。
この絵本は全3話、PDFファイルと動画で全文公開されている。
うちのご近所にようこそ(Welcome to my Neighborhood)
>原作:ユース・アンバサダーズ、イラスト:デイヴィー・ガント
第一話:良い人
わたしには、ママが考える"いい人"というものがまったくわからない。
ママは7年の間に、違う男4人との間に5人の子どもをつくった。
それから、ママは"いい人"だと思った男と結婚した。
でも、その男はコカイン中毒で、いつもクリスマスやバースデーのプレゼントのためのお金を盗んでいた。
ある日、この"いい人"は、コカインを買うお金がないという理由で、わたしの妹を殴った。
わたしは家の外にいたけど、妹が助けてと泣き叫ぶ声が聞こえた。
この"いい人"は、わたしの大好きな人たちをみんな無理やり家から追い出した。
今、わたしは家を出られずに、この"いい人"とふたりきりの毎日を過ごしている。
いい人 Welcome To My Neighborhood - The Good Man
第二話:夕ご飯
誰でもごはんを食べなくちゃならないけど、みんながみんな、必ずしもそんな余裕があるわけじゃない。うちのママもそうだ。
ママは食料品を買いに行くけれど、お金がないので、ひと晩分のごはんしか手に入れることができない。
うちでママがごはんを作って、わたしたち全員に食べさせてくれるけど、その量は足りなくて、ママの分はないのをわたしは知ってる。
だから毎日、わたしはほんのちょっとしか食べずに、大きなコップでお水を飲むだけにするの。
そうすれば、お腹がいっぱいになった気になるから、残りのごはんはママのためにあげることができる。
お勉強したり大きくなったりするのに元気が必要だから、ちゃんと食べなさいっていつもママは言う。
でも、わたしはママに学校で給食があるから、元気いっぱいだよと言うの。
そうすれば、やっとママがごはんを食べられる。
だって、誰でもごはんを食べなくちゃならないもの。
夕ご飯 Welcome To My Neighborhood - DinnerTime
第三話:わたしのおにいちゃんたち
わたしには3人のおにいちゃんがいます。
みんな大好きだけど、おにいちゃんたちは必ずしも正しいことするわけではありません。
一番上のおにいちゃんは、銀行強盗をしようとして捕まって、牢屋に入ってます。
二番目のおにいちゃんは、真昼間に男に11発も弾丸をぶちこんで、牢屋に入っています。
その男はおにいちゃんにお金をかりていたのだけど、返さなかったのです。
三番目のおにいちゃんは、公衆トイレで暴行されそうになって、相手の男の首を絞めて殺してしまいました。
それでも、わたしはおにいちゃんたちが大好きです。
必ずしも正しいことをするわけではないけれど。
Welcome To My Neighborhood - My Big Brothers
via:ufunk/ translated by konohazuku / edited by parumo
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1. 匿名処理班
救いが無さすぎる……
2. 匿名処理班
ホントかもしれないけど
怖くて悲しくて胸が痛い
日本は平和だけど、こういったことが
当たり前の世界もあるんだろうな
ありえないことだろうけど世界中の子供が
幸せになれたら良いな
4. 匿名処理班
貧乏と暴力ってのはとっても仲良しなんだって昔誰かが言ってたなぁ。