cat_oa-rp87916_issue_b052720e007d oa-rp87916_0_b052720e007d_だし給食、2020年に2万校めざす 和食文化を継承へ食育で連携 b052720e007d

だし給食、2020年に2万校めざす 和食文化を継承へ食育で連携

2019年12月23日 12:00 日本食糧新聞

国連教育科学文化機関(ユネスコ)に遺産登録された和食の継承策が、学校給食で深まっている。11月の「だしで味わう給食の日」の浸透、「和食給食応援団」と栄養職員の連携、献立開発が今年も進んだ。首都圏で定着して今後は全国、海外への展開も望めそうだ。

和食は2013年12月にユネスコの無形文化遺産に登録され、多様で新鮮な食材といった価値が認められた。絶滅の恐れとの認定でもあり、保護・継承が国民に求められている。

家計のパン支出額は2018年まで5年連続でコメを上回って推移。給食は全国3万校近い小中学校で実施率95%を超え、ここでのご飯食が残り少ない牙城となる。米飯給食は実際に2016年比0.1回増の週3.5回と堅調。食育基本法・推進基本計画を徹底する一端が表れている。

東京都新宿区津久戸小学校での「だしで味わう給食」。同地出身という農水省食料産業局の塩川白良局長も児童と食べた(右手前中央)

和食の保護運動を担う和食文化国民会議は、11月24日を「和食の日」に制定。同月に全国の小中学校、保育施設の給食で、だしが感じられる汁物の提供を呼び掛けている。2015年から始めて参加は約2000校。2019年は9500校まで広げた。農水省はもちろん、市区町村や給食センター、文科省からの後援を得て拡大してきた。

だし給食は特に中部地区で2800校を超えて、関東も2000校。ほかのエリアが少数なのが今後の伸びしろになる。健康価値を伝えて後ろ盾を増やす。横並び意識も弾みにして2020年の実施2万校に挑戦する。

応援団は2011年から始め、2014年に農水省の普及活動に認定されて予算化。プロの料理人が栄養教諭、職員、調理員と一緒に給食の献立を作り、食育授業や調理実演を行う。ピーク時は100地域以上を訪れ、参加する料理人と協賛企業はそれぞれ70に上った。

事業予算は3年更新が常だが、特筆されるのが認定を終えてからの2017年以後。協力する料理人と企業数を保ち、漸増しながら、有力な地域と学校に絞って毎年60~70地区を訪問してきた。

今年も継続して首都圏での取組みを強化。米飯給食が週4回と平均以上の東京都渋谷区で7~8月、栄養士の研究会で講習会を2回開いた。共同開発した「秋鮭の幽庵焼」といった献立を11月、全26校で8回提供した。今後は再度、全国へ水平展開。海外団体の訪問、見学も得て、東京2020大会を契機にした世界普及を望む。

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cat_oa-rp87916_issue_b052720e007d oa-rp87916_0_3263710594a3_豪雪地で食用ホオズキを栽培 地域雇用促進を狙う 3263710594a3

豪雪地で食用ホオズキを栽培 地域雇用促進を狙う

2019年12月22日 20:00 日本食糧新聞

雪氷防災、自然災害調査などコンサルタント事業を展開するアサップ(新潟県妙高市)は、2014年に食用ホオズキの水耕栽培をスタートした。露地・ハウスの両方で年々株数を増やし、新品種も取り入れ、生食はもとよりジャムなど加工商品も幅広くラインアップ。「MINNA DE HOZUKI」をキャッチコピーに、食用ホオズキの多彩な魅力を発信し、事業を軌道に乗せて地域雇用の促進につなげる計画だ。

ホオズキはナス科ホオズキ属の果実。ヨーロッパなど海外では食用として、特にデザート分野で利用されてきた。日本でも1990年代から栽培されているが、新規食材として注目されるようになったのはここ数年のこと。

展示会や商談会に出品され認知が広がっている。品種によって粒の大きさ、色や香り、甘みと酸味が異なることに日本のトップシェフやパティシエが着目し、料理の皿の飾りとして用いたり、カットしてサラダに加えたりする。ケーキのトッピングに使うケースも増えている。

香りと甘・酸のバランスに優れた「妙高フルーツほおずき」

アサップはすでにジャム、サイダー、コンポート、ドライフルーツ、サングリアの素、プレミアムジュース、ソース、ようかん、もなかなどを商品化。11月6~8日に新潟市の朱鷺メッセで開催された「フードメッセinにいがた2019」で「妙高フルーツほおずき」ブランドをアピールした。

今後は、レトルトカレーやアルコール飲料、乳製品などの発売を予定。香りを生かした化粧水や香料なども検討。路地栽培の株は天候不良のため、受粉遅れの果実はその緑色を生かしたピクルスに生まれ変わる予定。

妙高は豪雪地。耐雪型のハウス内では、成長が早く大粒になる品種を導入し現在2品種を栽培。需要増に合わせ、定植時期をずらすなど通年収穫・出荷の安定化を目指す。

9m×85mの巨大な耐雪型ハウスでホオズキを生産

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cat_oa-rp87916_issue_b052720e007d oa-rp87916_0_eccb68dd6698_日本の甘くておいしい青果物を海外へ 海上輸送で低コスト化に成功 eccb68dd6698

日本の甘くておいしい青果物を海外へ 海上輸送で低コスト化に成功

2019年12月22日 17:00 日本食糧新聞

横浜市に本社を置く食品輸出入商社「アライドコーポレーション」は国産農産物などの海外輸出に取り組む優良事業者だ。3月15日、東京・内幸町で開かれた表彰会場の壇上で、氏家勇祐社長は農林水産省の新井ゆたか食料産業局長(当時)から賞状を受け取り「ようやくここまで来た」と感慨もひとしお。5年近くにわたった日本産青果物のタイなどへの輸出事業を振り返っていた。



タイで柿1個800円に驚き…

実母が著名なタイ料理研究家で、自らもタイに留学したことある氏家社長。元総合商社のタイ駐在員だった父親から引き継ぎ家業の社長に就いたのは2001年のことだった。

タイ国内に製造ラインを複数構え、ゲンキヨーワン(グリーンカレー)、トムヤムクン、ガパオ(バジル炒め)セットなどタイ料理のヒット商品を次々と生み出し日本市場に出荷した。品質の良さと丁寧な仕事ぶりが評価されると、大手小売企業からOEM(相手先ブランド生産)供給を依頼されるようにもなり、事業にも厚みが広がった。

そして、2015年から氏家社長自らが陣頭指揮を執って新たに着手したのが、日本の甘くておいしい青果物を海外の食卓に届ける輸出事業だった。日本とタイを結ぶ輸出入の輪。満を持しての航海となった。

平成30年度食料産業局長賞を受賞したアライドコーポレーションの氏家勇祐社長。右は新井ゆたか局長(当時)=提供写真

きっかけは、日常のふとした出来事だった。タイにある高級スーパーの陳列棚を見て回っていた時のことだ。日本のスーパーなら1個78円ほどで売られているような日本産の富有柿が約800円で売られていた。その隣には、1本100円もしないような石焼き芋が、1kg当たり約5500円の値を付けていた。

「こんな値段でも買う人がいるのか。それにしても、柿1個で800円はもうけすぎだ」。そう感じたという氏家社長。早速、知り合いの取引先などに声を掛け、事業化に着手。数ヵ月後にはバンコクで開催された食品展示会に、日本産の青果物を出展。事業への手応えをつかんだ。

中でも、競争力を持たせるために力を入れたのが、徹底した輸送方法の見直しだった。それまでの日本産青果物の輸送といえば、ほとんどが航空便を利用。輸送コストは桁違いに高額化した。氏家社長はこれを海上輸送に切り替え、CAコンテナを利用することで低コスト化に成功した。

CAとは、「制御された空気」の意。冷却に加えてコンテナ内に窒素を送り込み、低酸素化することで青果物の呼吸を抑制。輸送中の鮮度低下を防ぐという画期的な輸送方法だった。

さらに、タイ側にも冷蔵倉庫内に鮮度保持機器を設置。一度も外気に触れさせないことで、販売期間をそれまでの最大2倍に伸ばすことに成功した。

実績を重ねることでタイ国内での取引先も増えていった。当初は1回当たり100~200kgだった輸出量は、今では週当たり10~30トンにも。柿、イチゴ、リンゴ、メロン、桃、サツマイモなどが好まれているという。

中でも人気の上位にあるのが、果汁をいっぱいに含んだ桃。一大生産地福島では原発事故からの風評被害で、長らく販売不振が続いていた。そこに寄せられたタイからの需要。「輸出が定着することで日本の農家とタイの消費者が喜んでもらえれば」と氏家社長は話している。

農産物輸出の事業化に先立ち、氏家勇祐社長が出展したタイの展示会=提供写真

そこで氏家社長が足しげく通ったのが、東京都が管理し日本最大規模を誇る公設卸売市場の大田市場。ここで趣旨に賛同する“仲間”を見つけ、とうとう得たのが買参権だった。「世界に向け青果物輸出を手掛ける大手企業と、ようやく同じスタートラインに立てた」と同社長。日本産青果物の輸出を手掛けようと決意して約1年後のことだった。

日本各地の生産農家へも頻繁に足を運んだ。日本有数の農業県がひしめく東北地方や北関東、遠く九州へも自ら出掛けていった。自治体の農政担当職員や農業組合の幹部らを前に、日本産青果物の輸出の可能性と将来展望を熱く語った。

海外輸出を始めれば競争原理が働き、一時的には商品の相場が下がることはあり得る。だが、それでも海外には貪欲な消費があり、中長期的に見れば日本産青果物の市場は維持されていく。将来的な人口減が続く日本市場だけに頼っていては、これからの展望は開けない、と。

こうした説得が次第に広がりを持ち、賛同者を増やしていくことにつながっていった。今では、全国の多くの農家や農政担当者たちが同社の取組みに賛意を示し、協力をしている。

日本第2位の農業生産額を誇る茨城県もそうした一例だ。同県は、人口290万人のうち農業従事者が11万人もいるという日本屈指の農業県。ここでも氏家社長は、海外輸出の重要性と産品ごとの可能性を粘り強く提案している。タイにとどまらず、受け入れてくれそうなシンガポールやマレーシアなど周辺の東南アジア諸国も、もちろんターゲットだ。

一方、タイほか受け入れ先の国々では、食の安全に対する意識の向上などから輸入規制を厳しくする動きも広がっている。産地の表示義務付けやリパックの規制などだ。こうした認証の対応についても、タイに現地法人「バンコク・フード・システム」を持つアライドコーポレーションの優位性は固い。

「いつの日にか、タイの道ばたにある屋台で日本産の柿が普通に売っている時代が来るかもしれない。そのためにも次のステージに進まなければならない」と氏家社長。その目には確かな決意がみなぎっていた。

(バンコク=ジャーナリスト・小堀晋一)

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cat_oa-rp87916_issue_b052720e007d oa-rp87916_0_23d8782a2116_「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」が好調 飲みやすさで独自のポジションを確立 23d8782a2116

「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」が好調 飲みやすさで独自のポジションを確立

2019年12月22日 12:55 日本食糧新聞

ワイン大手のメルシャンが3月に発売した「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」が好調だ。リンゴ本来の果実感やアルコール分控えめの飲みやすい味わいで人気を集める。缶チューハイなどのRTD(レディ・トゥ・ドリンク)製品とワインの中間に位置する商品として独自のポジションを確立し、RTDを買いまわる飲用層を取り込んでいる。

年間販売目標の4万ケース(500ml×12本換算)を発売3ヵ月で突破し、6月には当初予定の2倍となる8万ケースに上方修正した。10月末時点で上方修正後の目標を約80%達成するなど好調な出荷で、年間では10万ケースの大台に迫る勢いだ。

「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」

酸化防止剤を添加せずに造ったリンゴ果汁100%のスパークリングワインで参考小売価格は税抜き520円。通常のワインと比べてアルコール分が5%と低く、500mlの飲み切りサイズで気軽に楽しめる。自宅でくつろぐ時間といった飲用シーンを提案し、ワインとRTDの中間に当たるポジションを構築している。

メーンユーザーは20代後半から40代。ワインの飲用層は40代以上が一般的な中、比較的若い世代からの人気が高い。流通関係者の評価も高く、クリスマス需要も見込めると注目を集めている。

11月26日には派生商品となる「同グレープフルーツシードル」を限定発売した。国内シードル市場に大きな可能性があると見て、シードルの需要拡大につなげたい考え。

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cat_oa-rp87916_issue_b052720e007d oa-rp87916_0_7bf268b12d81_巨大ハンバーガーを丸ごとグラタンにすっぽり 外国人客をもてなす看板メニューに 7bf268b12d81

巨大ハンバーガーを丸ごとグラタンにすっぽり 外国人客をもてなす看板メニューに

2019年12月21日 20:00 日本食糧新聞

「サクラカフェ」は、「サクラホテル」に併設したカフェ&レストラン。「サクラホテル」は、宿泊客の9割が外国人というインターナショナルホテルで、世界最大の閲覧数をもつ旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」でも高い評価を得ている。併設している「サクラカフェ」でも、世界各国からのゲストをもてなすために、さまざまな国のメニューを提供。「巨大ハンバーガー入りグラタン」もその一つだ。

バンズがしっとりしてグラタンとしての一体感が

約4年前、看板メニューにすることを狙って考案されたのが、「巨大ハンバーガー入りグラタン」。「ハンバーガーじゃなくて、ハンバーグでしょ?」と普通は思う。グラタンの中にハンバーグが入っているメニューなら“ありそう”だからだ。「その“ありそう”にならないように、ハンバーガーにしたんです」と話すのは同店スタッフの竹内さん。

カットするとボリューミーなハンバーガーが出現。ハンバーグは180g

フランスに出稼ぎに行ったポルトガル人が、帰国後、フランスのクロックムッシュをポルトガル風にソースを付けて食べた「フランセジーニャ」が原型とのことだが、同メニューはそこから飛躍的に発展。

バンズのヒールにホワイトソースとトマトソースを塗り、カットしたベーコンと調理済みのハンバーグをのせて、再びホワイトソースとトマトソースをかけ、ピザ用チーズをトッピングしてクラウンをかぶせる。そこに、3度目のたっぷりのホワイトソースとチーズをかけて焼けば完成。

「巨大ハンバーガー入りグラタン」1,280円(税込み)ハンバーガーが丸ごと一個、ホワイトソースに包み込まれている

バンズの間にソースを挟むことで、バンズがしっとりしてグラタンとしての一体感が生まれる。最後のホワイトソースをかける前のハンバーガーのサイズは幅12cm、高さ7cm、重さ350g。これがホワイトソースをかけると幅15cm、高さ9cm、重さ500gにまでボリュームアップする。

ハンバーグは加熱して火を通してからバンズに挟む

「看板メニューをつくろうと思って」開発した同メニューは、そのオリジナリティーとインパクトがウケて多数のメディアが紹介。狙い通り、これ目当ての来店客で行列ができる看板メニューになっている。

●店舗情報
「サクラカフェ池袋」
所在地=東京都豊島区池袋2-39-10
開業=2008年
席数=110席(テラス席を含む)
営業時間=24時間営業、(ランチ)平日午前11時30分~午後3時、(グランドメニュー)平日午後6時~午後10時30分、土・日・祝午前11時30分~午後10時30分。無休
平均客単価=朝390円、昼780~980円、夜2000~4000円

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cat_oa-rp87916_issue_b052720e007d oa-rp87916_0_e1804d5a25de_コメにストレスをかけない「への字農法」でリゾット専用米の増産に挑戦 e1804d5a25de

コメにストレスをかけない「への字農法」でリゾット専用米の増産に挑戦

2019年12月21日 18:12 日本食糧新聞

花の米(新潟県上越市)は、妙高山麓のわき水に恵まれた環境でコメにストレスをかけないが手間のかかる「への字農法」に取り組んでいる。カニ殻使用の独自肥料で作った「越後かに米コシヒカリ」や、日本ではまだ少ないリゾット専用米を栽培するなど先駆的な農業に挑戦している。

11月に新潟市で開かれた食の総合見本市「フードメッセinにいがた」ではイタリア原産のリゾット専用カルナローリ米「RISO」が、県内のイタリアンシェフの目に留まり商談が進み、増産の検討に入った。

同社は昨年に続き、今年も同展示会に出展し成果を上げている。初年度は他の出展者の様子を参考にし、来場者の動きを観察した上で今年、訴求商品を「RISO」に絞り込んだ。新潟県内ばかりか国内でも国産リゾット米の流通はまだ少ない。

妙高山麓をバックに花の米メンバー。右から松野千恵(長女)、松野直人(長女夫)、黒川薫(母)、黒川沙希(三女)氏

松野直人・千恵夫妻は、展示ブースで試食を中心にすると「本当に出会いたい仕入れ担当者との貴重な時間が奪われるかもしれない」と考えた。ここぞと思った時に一番おいしく提供できるよう、コンソメベースの下味を付けたリゾットを少量ずつ調理。「試食したイタリアンのオーナーシェフを中心に商談が進んでいる」と語った。

同社は「RISO」を刈り取り後、乾燥機で2日間乾燥させ、4度の冷蔵庫で1年以上熟成させる。この熟成によりコメが硬化し、でんぷん質が糖化する。コメ本来のうまみが増し、煮崩れしづらく、コメに水分を含みやすいリゾットに最適なコメになるという。現在「RISO」の年間生産量は約66俵だが、将来に向けて生産量を増やしていく考え。

黒川義治花の米社長は「知人のイタリアンシェフから栽培してほしいと一握りの玄米をもらった。日本のコメとほぼ同じ栽培方法だが成長が早い。高さ150cm、稲は太くて倒れづらい。3年寝かす(熟成)とさらにおいしい」と強調する。

RISOをアピールする花の米ブース(フードメッセinにいがた2019)

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cat_oa-rp87916_issue_b052720e007d oa-rp87916_0_fe2d0e2dab06_新生「マクビティ」が好調 日本での店頭販売存続へ懸命な戦い fe2d0e2dab06

新生「マクビティ」が好調 日本での店頭販売存続へ懸命な戦い

2019年12月21日 12:00 日本食糧新聞

新生「マクビティ」の販売が好調だ。当たり前のように売場に並ぶ「マクビティ」だが、店頭から商品をなくさないための懸命な戦いが存在する。英国発祥のビスケットブランド「マクビティ」は、長らく明治がライセンス契約に基づき製造販売を行ってきたが、契約終了に伴い、2019年8月末で終売した。

菓子卸大手の山星屋の関連企業で菓子の商品企画開発・輸入販売を行うモントワールが「マクビティ」の日本における販売代理店契約を、「マクビティ」ブランドを所有するトルコ・イスタンブールの食品製造および小売業、ユルドゥズ・ホールディング(HD)の英国子会社であるプラディス社と締結し11月から販売を開始した。

「マクビティ」ブランドは、日本の市場から姿を消すことなく、連続して店頭に並び、円滑なブランド移行に成功したかに見えるが、その裏側では、西澤敏一副社長、北健人輸入部長をはじめとするモントワール社員の想像を絶する努力があった。

西澤敏一副社長(右)と北健人輸入部長

モントワールは、オリジナリティーが高い独自の菓子商品の開発に定評がある。全国各地のJAやディズニージャパンをはじめとする異業種コラボで差別化されたオリジナル商品は、小売業から高い評価を得ている。同社では現在、輸入代理店事業強化戦略を進めている。

こうした中、ユルドゥズHD傘下のプラディス社から「マクビティ」の日本販売代理店のコンペの話が持ち込まれた。約20人規模のプロジェクトチームを発足。モントワール社員を中心に、山星屋のマーケティング、営業部門も加わった。

海外ブランドのコンペ参加経験が豊富な北部長が現場レベルで指揮。英国プラディス社を訪ね、マクビティ以外のブランドの取り扱い交渉も行うなど、関係強化を努めた結果「マクビティ」ブランドの獲得に成功した。

ただ、時間的な余裕がなかった。同社では、2019年6月26、27日にパシフィコ横浜で開催の山星屋展示会「アリスタフェア」で「マクビティ」の披露を計画していた。代理店の内定通知、契約締結から半年もないスケジュールで実現は不可能かと思われた。

日本の消費者に新しい「マクビティ」の魅力を知ってもらいたいとの思いからモントワール、山星屋が一丸となって熱意も持って取り組み、商品選定、デザイン、輸入関係の対応などの課題をクリアし9月発売の見通しが立ち、アリスタフェアで披露も成功した。そして、バイヤーからの商品への評価が高いことに加え、山星屋グループが総力を挙げた結果、想定を超える受注状況となり、9月発売を11月に延期した。

全世界で生産されている中で、トルコ製造商品を選んだ理由は、ユルドゥズHDの本社がある国であることに加え、トルコ人の生真面目な国民性から、同国産のマクビティは高品質であるとの評価が高いからだ。発売後の状況は、各小売業から週販などでもトップレベルとの高い評価を得ているなど好調に推移している。

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cat_oa-rp87916_issue_b052720e007d oa-rp87916_0_f58f3d9ffef4_和食は成熟国家で輝く遺産 健康価値を強みに世界普及めざす f58f3d9ffef4

和食は成熟国家で輝く遺産 健康価値を強みに世界普及めざす

2019年12月20日 20:00 日本食糧新聞

「和食:日本人の伝統的な食文化」が2013年12月4日、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、今年で6周年を迎えた。登録の更新は6年ごとに行われ、遺産保護・継承策の着実な成果を伝えて今はユネスコの回答待ちだ。

地域の食と観光ツアーなどを組み合わせ

6年のうちに人口減は徐々に進み、超高齢化の度合いを深めて日本の成熟は明らか。減少する一方の食料自給率を高め、国家を保つ一策が遺産登録。健康価値を強みにした世界普及、輸出増を促して永続的な食料の安定供給、数少ない成長戦略を確かにする。

輸出促進とともに求められるのが、その背景となる自国文化の発展。家庭・地域の食文化の集積である和食を誇り、高めることは国の豊かさに直結する。

農林水産省は東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年度もインバウンドを地域に誘致し、輸出につながる「SAVOR JAPAN(セイバージャパン)」の事業を継続する。地域の食品と観光ツアーなどを組み合わせ、地域の文化など「コト」情報を実感してもらい、訪日客の帰国後にも消費するように仕掛ける。

山形県鶴岡市の精進料理

お膳の上に多くの小皿が並ぶ。小皿の料理は肉や魚を一切使っていない。山形県鶴岡市の出羽三山(でわさんざん)神社に伝わる精進料理だ。

煮物には出羽三山に見立てた月山筍(がっさんだけ)、とろりとしたあんがかかったごま豆腐、在来野菜を使ったナスの田楽にキュウリの香物、ウド、イタドリといった山菜を使った煮物や炒め物、だだちゃ豆の味噌汁などが並ぶ。豪勢ではないが、一つ一つを丁寧にこしらえた料理だ。

地元の食材を生かし、時には、塩漬けや乾燥などの保存技術によって、野山で採取してきた山菜やキノコをおいしく食べられる工夫がなされていた。その時々で得られる食材をうまく利用している。

出羽三山登拝は江戸時代以降、大いににぎわいを見せるようになり、参拝客は必ず宿坊に泊まり、山伏によるガイドで羽黒山-月山-湯殿山と三山を巡ったという。日本の宗教、文化の色合いもあり、通常の菜食主義用の食事とは大きく異なる。

2014年12月に鶴岡市はユネスコの「食文化創造都市」に登録された。ユネスコが認定する「創造都市」は、「文学」や「食」などさまざまな分野の特色を持つ都市が認定され、鶴岡市は「食文化」の分野で登録されている。

鶴岡市は、もともと多彩な食文化を次代に継承し、食関係産業の振興に取り組むことを目的に、産・学・官・民の連携のもと、2011年7月に「鶴岡食文化創造都市推進協議会」を設立。多彩な食文化の継承・創造や国内外の都市とのパートナーシップにより創造的な産業の創出に取り組み、地域経済や学術・文化の振興・発展を図っている。2016年にはセイバージャパンにも登録。新たなインバウンド需要を増やしていく。

訪日客に地域文化など「コト」情報も発信

セイバージャパンの事業は2016年度から開始。農水省は、内閣官房、経済産業省、観光庁などとも連携して進めている。地域の景観、食、農、観光資源など地域特有のコト情報を「知ってもらう」、酒蔵、飲食店、市場・直売所など訪日旅行客を受け入れる場の「食べてもらう、泊まってもらう」などを展開する。

各省庁はホームページ、各国の展示会、映像の放映などで情報発信する。ブランドとして、各地域の食や農山漁村の魅力を一体的に発信し、訪日外国人旅行者の誘客を支援していく。

加えて、セイバージャパンにかかる地域のさらなる魅力づくりのためのサポートを実施。例えば(1)地域開発のための有識者・アドバイザー派遣や紹介(2)地域の食・農業を中心としたコンテンツ/ストーリー作り(3)インバウンド来訪に資する旅行商品づくり支援(4)海外旅行博覧会、商談会などへの出展支援(5)ホームページ、各種SNSとの連携による情報発信(6)認定地域間のネットワーク構築だ。

こうした支援を受けるためには地域として認定を取得しなければならないが、2016年度は山形県鶴岡市、北海道十勝地域など5地域、2017年度は宮崎県高千穂郷・椎葉山地域など10地域、2018年度は広島県尾道市など6地域が認定されている。各地域では商工会議所(商工会)、農業協同組合などが参加する協議会が必要だ。

食品産業、旅館業などは中小企業が多く、訪日客を取り込み、地域の資源を活用するノウハウがなかった中での新たなアプローチだ。

※日本食糧新聞の2019年12月20日号の「和食特集」から一部抜粋しました。

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cat_oa-rp87916_issue_b052720e007d oa-rp87916_0_6d0dea513cfb_子どもの知的好奇心を伸ばす「あそぼん!グミ」で新市場創出へ 6d0dea513cfb

子どもの知的好奇心を伸ばす「あそぼん!グミ」で新市場創出へ

2019年12月20日 17:25 日本食糧新聞

カンロは、グミで「やさしい・ヘルシー」という新市場を創出する。「親と子」がともに喜ぶグミとして、親が安心して与えられる素材を使用し、安全・安心とおいしさを担保しながら、子どもの知的好奇心を伸ばす、新グミブランド「あそぼん!グミ」を2020年春に発売する。「ピュレグミ」「カンデミーナグミ」に続く、グミカテゴリーの3本目の柱に育成し、5年後売上高20億円規模に成長させる。

18日開催の発表会で三須和泰社長は、社長就任以来、新しいグミを開発したいと考えてきたが、「あそぼん!グミ」は初めて具現化した商品と説明した上で、「親と子が心から笑顔になってもらえるグミが完成した」と自信を見せた。

カンロの三須和泰社長(右)と片桐依里氏

同社は、2019年第2四半期業績を2年連続の過去最高売上げで折り返している。三須社長は、5ヵ年中計の売上げ目標の2021年度260億円に対し「達成が視野に入っている」との見通しを語った。

同社は、中計1~2年目はキャンデーで、3年目以降は、グミを成長のエンジンとする戦略を推進。2月に松本工場内に新グミ生産棟を本格稼働させ、これまで生産能力の関係で抑制してきた新製品開発を活発化させる方針で、「あそぼん!グミ」が第1弾となる。

今後も中期開発テーマ「LIFE TIME CANDY」の考えの下、「あそぼん!グミ」で掘り起こす、子どもに加え、若年男性、中高年男性などすべてのライフステージですべてのニーズに応えたキャンデーやグミを提案する。

新グミブランド開発に当たり、社長就任後初の直轄プロジェクトを2018年7月に発足。社内横断的に優秀なメンバーを集め、「ボイスケアのど飴」の開発を担当した、マーケティング本部の片桐依里氏をリーダーに起用した。

ターゲット分析には、ターゲットの「母親」に対し、社内外で時間をかけ、定性・定量的な調査を実施。片桐氏は、その結果導きだした目指すべき姿を「親が、安心できる素材を使用し、積極的に子どもに与えたい。心から欲しいグミ」とし、コンセプトを「お菓子な、おもちゃ」にしたと説明。

原料は、国内製造の水あめ、国産果汁、合成着色料、人工甘味料不使用と安心して与えられる素材を選定。「どうぶつの世界」は、陸の動物10種、「うみの世界」は海の生き物10種のカタチのグミに仕上げた。カラフルな色や楽しいカタチは子どもたちの好奇心を引き出し自然と笑顔が生まれ、親と子のコミュニケーションにより親も笑顔になることを目指す。

同品に対し、発表会に参加した、発達心理学の専門家で環太平洋大学の内田伸子教授も、「幼児初期からしっかりとグミをかむことは五感を刺激し、快適な感情状態を引き出す」とお墨付きを与えた。

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ロボットが踊るヘンテコCMの狙いは…「口下手」なフルタ製菓流の話題の作り方

2019年12月20日 12:00 日本食糧新聞

「びょーんびょーんびょびょびょびょびょーんビョンド・ザ・フルタ」という脱力系の音楽に合わせ、頭にセコイヤチョコのアンテナを付け、シュールにロボットが踊るフルタ製菓のTVCMが視聴者の度肝を抜き、トレンド入りするなどバズっている。古田織部やフルタマンなど「ヘンテコなCM」として常に話題になる同社のCMについて取材した。

最新のCMは新時代の令和をコンセプトに「ビヨンド・ザ・フルタ」を掲げ「ロングセラーの商品も多くあり、レガシーを積み上げていきながら、新しい時代にさらに進化していく」(堂浦可奈子企画開発部課長代理)という“真面目な出発点”だったが「できてみたら、なぜかロボットが踊り出していて–」(同)と笑う。

フルタ製菓のCM 「ビヨンド ザ フルタ」

「スター☆トゥインクルプリキュア」中に初めて流れ、AIロボットが働く世界観の「仮面ライダーゼロワン」を意識したのではとネットで騒がれたが「全くの偶然」(同)とし「プリキュアも仮面ライダーゼロワンも当社も『新しい時代に思いをはせる』点では共通していたのだが、当社だけ少しベクトルが違っていた」(同)と苦笑。

だが視聴者もすでに心得ていて提供枠でフルタ製菓と発表された段階で「また、変なCMがくるぞ」と待機状態になっていた。

同社は着実に成長を遂げている会社だが売上げ規模は約220億円。大手菓子メーカーのようにCMを大量投下するのは難しく、少ない回数で“爪痕を残す”しかない事情もある。

しかし、費用をかけずにできるSNSでの広報は行っていない同社。「将来的には相互コミュニケーションをしていきたい」(同)とするが「逆にSNSで発信しない“口下手な”フルタ製菓だから、SNSユーザーが『自分が代わりに広げてあげないと』と温かい気持ちで拡散してくれている」(同)と感謝しきり。

古田盛彦社長

なお、いまCMでもサブリミナル的に登場した人気のフルタマン。「フルタマンはフルタ製菓の社長では?」という噂もあり、また復活の要望も多く来ていることを同社社長にぶつけると、古田盛彦社長は「いつオファーが来てもいいように、日々体作りに努めている」とコメント。

最近、なぜジム通いにいそしんでいるのか不思議に思っていた同社社員は“そのためだったのか?”と納得していた。

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