艦これの世界でファンタジーの世界(オーバーロード)を戦ってみよう。 作:へっぽこ鉛筆
細かい事は気にするな。
広葉樹の森林と言って良い場所は、比較的、行動が楽と言って良い。少なくとも、耐え難いほど不快な湿度と、むせ返るような密林の中での任務を考えれば、ここは天国と言って良かった。時折現れる巨大な昆虫系魔物などを例外にすればだが
だが、それらを考えても、ここは快適な場所と言って良かった。あの、いやらしいブービートラップ仕掛けられない、不気味な巨大昆虫も
「パッキー、もうすぐ森を抜けるぞ。」
ポイントマンのホワイト軍曹が、大きく握りこぶしを作った。一瞬、余計なことを考えていた思考を集中し、周囲に気を配り大きく立った耳を動かす。
「しかし、気温は快適なんだが、この匂いはなんだ・・・ん、アレか?」
森の木々がなくなり、視界がクリアーになった。木々が伐採されているのか、切り株が目立つ土地に少し物が燃えた匂いが交じる。燃料気化弾の
それだけを見れば、特に問題がありそうにない、木を何に使ったのかなど、少し疑問があるが戦争中なのだ。資材はいくらあっても足りないが、問題は、その乱暴に埋められて、土からはみ出るように打ち捨てられた赤黒いものだった。
鼻に付く腐臭が敏感な動物の・・・ラビットマンなどと言われているが、USA・GIの
まったく、奇妙な世界に来てしまった。同じ時期にこちらの世界に迷い込んだ、女子高校生と、ナチスのドイツ将校も同じような感想を言っていた。ああ、あの、コンビニエンスストアのテンンチョーというのは、すぐに順応していたな。
目の前の赤茶けた大地からはみ出すような赤黒いもの、大量のハエや屍食蟲が生者の気配を感じ動き出す。
「なんだ、これは・・・ッ」
「パッキー、これはなんだ・・・ジェノサイドか、アウシュビッツかッ」
歴戦の戦士と言って良いパーキンス軍曹も息を呑む
「やっぱり、情報は正しかった。アインズ・ウール・ゴウンがやったんだ。」
簡単な野戦陣地でも、歩兵の防御能力を何倍にもする。
近代戦の基本中の基本とも言える論理だ。その、何倍もの火力の集中が実現できる今日では、あまり意味がない理論だが、それでも、その原則が崩れることはない。
塹壕や、いくつかの木材で作られた、対戦車障害、さらには、監視櫓などがあるだけでその陣地は何倍も強固なものになる。が、所詮は増強中隊程度の戦力しかないそれは、装甲大隊にとって、さして難しい目標でもなかった。
防御陣地は、道に沿うようにL字型に設置されていた。火力お補い合うために、最低でも2体のエルダーリッチ、さらに偵察では4体のデスナイトが配備されているはずだ。後は、ゴブリンやオーク、さらに人間の指揮官が配備されているはずだ。
充分な距離を保ちながら、西住みほは、双眼鏡を覗き込む。
「みぽりん、航空隊にコンタクト、はじまるよ。」
武部さんの言葉に肯けば、ハッチを開いたまま、わずかに視線が空を見上げる。その時、なにか、甲高いサイレンのような音が彼女の鼓膜を叩いた。本来ならば、戦車にとって死神のソレを思わせる降下音だが、今の彼女にとっては、福音以外の何者でもない。
敵陣地に対して、航空部隊の苦しいやり繰りから、支援部隊が急降下爆撃を繰り返す。いささか旧式なやり方だが、それ以外に方法がないので仕方がない。大隊直属の迫撃魔法が、しつこい虫を潰すように地面を掘り返した。
しかし、大隊長のエルンストは、歩兵の構築した陣地は、思ったよりも頑丈だということを充分に知っている。防御陣地としての機能は低下しているだろうが、それはあくまでも“低下”であって、壊滅したわけではない。その証拠に――
「正面陣地より、対人魔法、おそらくファイアーボール」
「対魔砲戦闘用意、落ち着いて火点を潰せ」
「火点近くにデスナイト、接近してきます。」
「畜生ッ」と、罵りの言葉が響く、火点・・・つまり、魔法使いが配置された陣地の盾のように配属された、アインズの、
火点からの攻撃魔法に支援され、デスナイトが急速に接近してくる。射撃手の華さんが標準線に黒い騎士を捉えた。距離は500mを切っている。普通なら撃破できる距離だが
「て、徹甲弾、効果ありませんッ」
五十鈴華さんの切羽詰まった声に、西住中隊長の落ち着いた声が飛んだ
「デスナイトの増加装甲付きですね。こっちに向かってきています。冷泉さん。そのまま突っ込んでください。」
「――わかった。」
Ⅳ号のマインバッハ12気筒エンジンが唸りを上げる。フランベルジュを振り上げたデスナイトに体当たりをした。25tの鉄の塊がぶつかれば、それだけでダメージを与えることが出来る。しかし、何事もないように戦車に向き直り、鉄板で装甲を厚くした盾で、戦車を押し返してくる。
「冷泉さん、離れないでください。デスナイトのフランベルジュにやられれば即昇天です。華さん、
砲塔を旋回、デスナイトの後ろに旋回をすれば、ほぼゼロ距離からの75ミリ弾が、背中の鎧に当たるが
「デスナイトに効果なし、これは化物ですッ」
「華さん、鎧の縫合部分、一番装甲が薄いですありますッ。」
秋山さんが、何も言われるでもなく徹甲弾を装填、6時の黒い鎧の接続部が、スコープいっぱいに写りこんだ。75ミリの咆哮に、断末魔のようなデスナイトの叫びがこだまし合う。
「デスナイト、黒い体液を流しています。」
「情無用、ファイアッ!!」
さらに、ダメ押しの一撃、擱座したデスナイトが黒い霧になる消滅していく…後に残ったものは、増加装甲として部分的に取り付けられた鉄板だけだった。たったこれだけの装備で、75ミリを弾き返したことに暗澹たるものを感じながら、バウアー大尉のパンターのキャタピラが接近してくる。
「大丈夫か、西住――」
「被害は軽微ですが・・・大隊長、新型のデスナイトと交戦、こちらの75ミリを距離500で弾きました。」
エルンスト大尉は何も言わなかった。相手よりも不利な条件で戦った東部戦線を思い出しているのだろうか、どちらにしても、いつまでも落ち込んではいられない。整備と補給、さらに損害の確認もしなければ・・・
――彼女の予想は外れていた。
エルンスト・フォン・バウアー大尉は、このデスナイトを中心とした敵中隊の守ろうとしていたものを考えていた。暗い、有刺鉄線に囲まれた施設、重い鉄製の門には、彼の祖国ドイツ語でこう書かれていた。
『
陰鬱な空気が漂うレンガつくりの建物を彼は見たことがある。武装SSの
金剛を旗艦とした第八艦隊は、順調に航路を南下していた。
途中に、送り狼のように付け狙うイ級駆逐艦を警戒しつつ、目的の海域に到着した第八戦隊、金剛以下、比叡、那智、足利、さらには新鋭艦である高千穂と穂高まで連れ立っていることは、やまぐちたもん提督が防空能力に配慮していることの表れである。
身長が高い割には、スレンダーな艦体をした彼女らは、絶えず対空レーダーを回している。防空巡洋艦として設計された彼女たちは、10センチ65口径連装砲12基、それらを当然のように電探連動対空管制射撃が可能…つまり、電探を装備しているだけ目標を追尾できる。当然のように、彼女たちは6基の電探を装備しているので、同時に6機の敵機を阻止できることになっている。当然だが、今までアインズ軍の航空兵力が存在していなかったので温存していたが、今回はテストケースもかね随伴させていた。
編隊は単縦陣形、普通なら輪形陣形だが、今回は空母がいない。それならばとこの陣形が選択された。
(まぁ、提督の趣味もありますネー)
金剛が誰にも聞こえないように心の中で反芻する。
確かに、艦隊にとって単縦陣は理想と言って良い。基本的な形態であって応用がききやすい。空母を守るコルセットが必要ないと言うならば、基本的には単縦陣で戦闘に臨むべきだ。
そこまで考えながら、妖精さんたちが慌ただしく防空指揮所を往復する。レーダーなどない太鼓からの、戦うモノとしての本能が、ザワザワとしてざわめきを、胸の中に感じてくる。
「戦闘指揮所より金剛さん宛、真方位1-7-5、距離30海里に不明空中目標多数、我主力艦隊に北進中、速度、約150ノット」
「全艦に通達、一斉回頭後、対空戦闘準備デース」
随分と遅いな。と思いながらも、お腹の奥からこみ上げるものを感じながら、各艦に発光信号で伝達、完全な無電封鎖状態のまま、向かってくるであろう敵機に対して右舷方向に艦隊を向けるよう一斉回頭を指示
くるべき時が来た。全艦娘がそう思っただろう。対空戦闘は、この世界に来てからほとんど経験していない。マニュアル通り・・・接近信管まで使用する対空戦闘はいつでも緊張を共にする。しかも、今回は温存策として空母・・・直掩機を飛ばしていない。
完全なテストケースだが、誰も不満は言わない。急激な貿易経済の悪化により、地勢的な理由で巻き込まれた戦争。丁寧な演習実験など望むこともできない。つまり、人体実験のようなものだが・・・戦争という現実の前では納得するしかない。
しかし、女性としては納得できないものがある。私たちは、兵器でもあり、女性でもあるのだ。
あの娘ならどうだっただろう。金剛は頭の中の姉妹艦、メガネをかけた三女を思い出した。提督の秘書官、さらに、ただ一人、その左手の薬指に指輪を頂いた妹のことを・・・いや、今は戦闘に集中するべきだ。
45口径37センチ連装砲が旋回し、距離3万で一斉射、続いて重巡の砲火が続く、距離が近づくにつれ、総天然色の水柱が挟み込むように着弾・・・つまり、夾叉弾が増えていく、アインズの艦隊…水上モンスターは魔法が主軸兵器だ。射程は100m程度しかない。金剛は勝利を確信した。その時…
先行していた駆逐艦水雷戦隊…主任務は対空外周警戒だが、それに当たる『夕月』は船体に軽い損傷、判定では小破の判定を受けていたが元気いっぱいだった。
気持ち悪い虫の化物の攻撃だが、今まで経験した空母の攻撃に比べれば稚拙としか言いようのない、水平飛行により、鉄球を四散させた空中を飛ぶ虫たちは、10cm対空水上両用砲に強力な殺虫剤をかけられたように波間に消えてしまった。
「前衛防空戦隊、水上戦、打ち方始め」
「了解、幕艦は水上戦用意、目標、敵空母」
秋月級の6番艦〈深月〉が目標を捉えた。遠目にはヲ級空母に見えなくもないが、妖精さんたちが両用砲を構え、いつでも砲撃を出来る準備をした、が、旗艦が砲撃を開始しないので、こちらも攻撃できない。
何故、打たない――と、深月が疑問に思う。が、すぐに驚愕の顔をした。
すでに15000mを切り、至近距離と言っていい距離だが、誰ひとり発砲しない。
深海棲艦ヲ級空母が頭部に乗せた艦載機発射カタパルトから流れる赤毛をかきあげ、更にはどこか儚げな顔立ちをした少女を模した艦隊を見れば、艦隊旗艦の金剛から電文・・・余程、慌てていたのだろう。平文のモノが鎮守府に向かい飛ばされた。
「我レ、あいんず・うーる・ごうん艦隊ト交戦ス、敵、旗艦空母ハ友軍艦『神通』ラシキモノト認メル、繰リ返ス、敵旗艦ハ友軍艦『神通』ラシキモノト認メル――」
金剛「オー、提督、普通に考えて戦艦が空母に勝てるはずないね」
霧島「まー、艦これは対空兵装とレベルが高かったら、下手な空母より艦隊の方が強いですよね」
提督「航空優勢の概念なんて考えたら、あんなゲームできないんだよな。普通はw」