信じられないことが起こった。U-23アジア選手権で日本代表がまさかの2連敗でグループリーグ敗退。サッカー評論家やマスコミが森保監督の采配をこき下ろし、監督交代論を語るようになった。
監督交代に賛成だ。ただ、東京五輪を6カ月後に控えたこの時期に全く新しい監督に交代をしたら「新たな期待が生まれる」だけで、良い結果が出るとは思えない。これまで監督代行としてU-23日本代表を指揮してきた横内コーチの昇格がベストと思うがいかだでしょうか?
東京オリンピックサッカー競技に関する記事を25本以上の書いている私独自の監督交代論を皆さんとシェアしたい。
監督交代論の背景
2019年度トゥーロン国際大会の準優勝や2019年10月アウェイの地でU-22ブラジル代表戦逆転勝利など、それなりの実績を残してきた。そして東京五輪金メダルが期待されている。
しかし、
- ベストチームで臨んだU-22コロンビア代表戦で完敗(11月17日)
- U-23アジア選手権2連敗でグループ・ステージ敗退(1月12日)
全く期待外れでありこのままでは東京五輪グループ・ステージ敗退の危機が懸念される中、コロンビア戦から指揮を取り始めた森保監督交代論が語られ始めたのはごく当たり前のこと。
幸い、横内コーチはU-23五輪代表候補を熟知しているのですぐにでも交代できる。加えて監督交代によるマイナス面(戦術・メンバー再考等)はない。
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私が考える監督交代理由
森保監督の戦術(3バックなど)やメンバー選考に疑問を呈するからではない。あくまで時間的にフル代表監督とU-23代表監督の兼任は無理と考えたからだ。
森保監督の兼任が続けば、直接指揮をとれるのは五輪直前(7月)の2試合程度。その2試合は、英語で言えば、「Warm Up」(準備運動)の試合。ところが、7月まで指揮を取れない森保監督には東京五輪代表選手の最終判断の場。OA候補とU-23五輪代表の融合を試みる最初で最後の強化試合となってしまうが、それでは遅すぎる。
金メダル獲得に必要な5つのポイント
OA候補と五輪世代の融合
ラグビーが証明したが、サッカーでもチーム力(融合・連携)が最大の武器である。この武器を活用することが金メダルへの道。ところが兼任体制ではOA候補を含めたチーム力アップが計れない(フル代表とU-23代表の試合時期が重なる)。
2月中に五輪世代候補選手選考
森保監督の人間味?優柔不断?部下を信頼しない?などで五輪世代の候補選びが遅れているが、監督交代を機に五輪世代候補選手選考を2月中に終わらすべき。
森保監督はコロンビア戦、E-1選手権、ジャマイカ戦で五輪世代をほぼ3分割して招集。「五輪世代の皆さん、まだ横一線ですから頑張ってね!」。この優しさ・平等精神は人間的に素晴らしいが、視点を変えれば、自分の目で一人一人確かめないと判断できない、という事。
そのため国内リーグ所属の五輪世代の融合さえ進まない中、U-23アジア選手権でもスタメンを固定しないで臨んだ。このU-23アジア選手権における選手の出来を見てからでも遅くはない、と思っていたのでしょう。
なでしこジャパンが2019ワールドカップでスタメンを固定したのは2019年4月の欧州遠征。スタメン固定が遅れたため戦術を磨けずベスト16で敗退したのは記憶に新しい。
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2月中にOA候補選手選考
コロンビア戦の完敗でOA枠は利用するだろうと(私も含めて)多くの方が考えたと思うが、森保監督は「OA枠を利用するかどうか決めていない。状況を見て判断する」と記者の質問に答えている。いま、U-23アジア選手権敗退という状況が生まれた。間違いなくOA枠を利用するであろう。ところが2020年度の試合日程を見れば7月初旬までOAを使う時間がないことが分かる。これではリオ五輪の失敗を繰り返すことになる。
OA候補は国内勢から選考
100%の確約が取れない限り欧州勢は当てにしない事。招集はしないこと。これはOA候補だけに限ったことではない。久保裕也選手の例にあるように五輪世代でも欧州クラブ所属の選手の招集は土壇場でキャンセルされることがある。
なお、これまでの五輪で活躍した強豪国の成績を分析した結果、東京五輪のOAは国内勢からDF2名、ボランチ1名がベストと考えている。
U-23強化試合にはOA候補を入れて実施
3月と6月に2試合ずつ強化試合がある(森保監督はA代表のアジア2次予選のためこの4試合の指揮は取れない)。
- 3月の強化試合は南アフリカとコートジボワール頼んでOA候補を入れて試合
- 6月のフランス遠征は中止して国内でOA候補を入れて試合
これらが実行できれば出場国のどのチームよりチームの完成度は高くなる。因みに、どの国もOA枠を利用するがOAを含めた強化試合はできないのがこれまでの実状。いずれも急造チーム。その上、これまでの実績から見て欧州クラブに所属する一流選手を五輪に招集するのはどの国にとっても非常に困難。OAを含めてのチームの完成度を高めれば日本が圧倒的に有利。
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おわりに
「東京五輪で金メダル」の条件としてこれまで何度も主張してきたのは、
- JFAはまずOA戦略を立てるべき
- 森保監督は戦略に基づいた戦術を具現化(OA候補選手の選考など)
- OA候補と五輪世代の待ったなしの融合
などである。これから実行しようと考えたいたのかもしれないが、その前にショッキングなニュースが飛び込んだ。U-23アジア選手権グループ・ステージ敗退。
戦略は森保監督や関口技術委員長まかせ?JFAはリオ五輪の失敗から学んでいないと言える。それは2020年度の日程を見れば一目瞭然。OAを含めた東京五輪代表候補としての強化試合を組める日程ではないのでOAの招集はないと考えたくらいである。
U-23日本代表にはそれなりの実績がある。
- トゥーロン国際大会準優勝
- ブラジルにアウェイで逆転勝利
この2つを取り上げただけでも偶然にも「マイアミの軌跡」が続いたとは考えにくい。
チーム力は東京五輪代表チームの生命線。東京五輪でのメダル候補はブラジル・アルゼンチン・メキシコあたりだろう。実力は劣っているとしても彼らよりはるかに優位に立てるのはチーム力(融合・連携)。これが成熟すれば今でも金メダル獲得の確率はかなり高いと考えている。
東京五輪でメダルを獲得するなら、
- U-23代表監督を変える(横内さんでいいよ)
- U-23強化試合にOA候補を含める(3月の2試合から始めなければ間に合わない)
- U-23フランス遠征を中止する(日本国内でOA候補を含めて強化試合を2試合実施)
上記以外にも五輪開幕直前の7月に2試合ほどの試合が組めるので東京五輪代表チームの完成度アップ間違いなし。
JFAの勇断が問われることになるが、日本陸連のような大胆なメダル獲得戦略(リレーにも出場する選手の個人種目は1種目に限定)、あるいは、日本ラグビー協会のような強力なバックアップ(年間250日の合宿をとりつけるために費やした関係機関との交渉)はあり得ないと思うが、皆さんはどう思いますか?