サウジアラビアのムハンマド皇太子(左)の歓迎を受け握手する安倍首相(12日、ウラー近郊)=代表撮影・共同
【ウラー(サウジアラビア北西部)=安部大至】安倍晋三首相は12日(日本時間13日未明)、ウラー郊外でサウジアラビアの事実上の指導者であるムハンマド皇太子と会談した。米国とイランの対立で緊迫する中東情勢について協議し、緊張緩和に向けて関係国が力を結集すべきだとの認識で一致した。民間船舶の航行の安全確保についても連携することを確認した。
会談はウラー郊外のムハンマド皇太子の別荘で開かれた。約40分の会談の後、通訳のみを交えた「テタテ」と呼ばれる一対一の会談を約20分実施した。
日本側の発表によると、安倍首相は「イランを含む中東地域の軍事衝突は世界の平和と安定に大きな影響を及ぼす」と指摘。「事態のさらなるエスカレーションは何としても避ける必要がある」と訴えた。その上で「サウジをはじめ各国の抑制的な対応を望み、評価する。サウジとも緊密に連携したい」と強調した。
これに対し、ムハンマド皇太子は「安倍首相の見方に完全に同意する」と応じた。「この地域の緊張は世界全体に悪影響を及ぼし、当事国間の対話が必要不可欠だ」と指摘。「サウジも取り組みを強める」と述べた。
安倍首相は海上自衛隊の中東派遣についても説明した。ムハンマド皇太子は「日本の取り組みを完全に支持する」と応じた。サウジは民間船舶の安全確保をめざす米トランプ政権主導の有志連合「番人(センチネル)作戦」に参加する。会談では船舶の航行の安全確保に向け、連携することで一致した。
ムハンマド皇太子が進める改革への全面的な支持も表明した。サウジは石油依存の経済からの脱却をめざし、産業の多角化などを進めている。ムハンマド皇太子は「日本との協力は重要であり、さらに協力関係を深めたい」と呼びかけた。
安倍首相はこれに先立ち、リヤドのヤマーマ宮殿でサウジのサルマン国王と約40分間会談し、中東情勢などを巡って意見交換した。
日本側の説明によると、国王は「エネルギーのみならず多くの分野で日本と戦略的パートナーシップが深化していくことを期待している」などと語った。首相がサウジの経済改革を全面的に支援する意向を伝えると、国王は「改革を進めるうえで日本は重要なパートナーだ」と応じた。
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