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2020年01月13日08:00
ラグビーのお祭りはまだまだつづく!
12日、ジャパンラグビー・トップリーグが開幕しました。2015年ワールドカップ後には「企業向けのチケットを確保しすぎたことにより、一般客を入れ損ねて空席祭り」という大失敗(アチャー)をやらかしてしまったラグビー界ですが、今回は見事に雪辱に成功。聖地・秩父宮ラグビー場には2万大観衆が集い、華やかに開幕を迎えました。
各チームにイイ感じに散らばった日本代表たちと、ほかの競技では考えられないほど「世界のトップ」がシレッと混ざっているチーム編成。野球やサッカーには「マジモンの現在の世界トップ」はなかなかやってきませんが、ラグビーはついこないだワールドカップで優勝したメンバーさえもシレッと混ざっています。国内リーグとは言っても、ここには「世界」があります。
↓僕が行った試合でも、シレッと南アフリカ代表で世界一になったマルコム・マークスとかが出てましたよ!

世界最強フッカーともいわれる掛け値なしのワールドクラス!
もちろん日本代表戦でも活躍した選手です!
↓ほかにもオーストラリア代表サム・ケレビのキャリーに驚愕するなど!

「新外国人を見たらワールドクラスと思え」くらいにシレッと大量に混ざっています!
試合内容も大変充実しており、何よりもまず選手の意欲が高い。あの熱狂を終わらせないぞという意気込みが、試合展開によらずに最後まで奮闘をつづける姿勢によく表れていました。ワールドカップはよかったけれど、戦いはすでに新しいラウンドに入り、そこで頑張らなければいけないのは自分たちひとりひとりなのだという「自覚」。今度は自分たちがやってやるという熱量。ワールドカップを見たあとの目で見ても、熱さ、楽しさ、十二分です。
そして、やはりというか日本代表選手たちは輝いていました。各地から届く「日本代表大活躍」の報せ。日本代表がお目当てでやってきた観衆がたくさんいるという状況で、その期待に応えるプレーを見せるあたりはさすがの千両役者ぶりです。僕が観戦した試合でも、松島幸太朗さんのスピード・センスに「それぐらいできる選手だと知っていた」はずなのに、また改めて驚かされました。
松島さんが所属するサントリーは前半途中でひとりを退場で欠き、ずっと人数不足で戦っている状態でした。当然、大外での数的不利が生まれ、役割上フルバックである松島さんに負担が掛かる展開でした。そこを狙って相手も攻撃してくるわけですが、「パスを出すヤツ」「外で受けて、さらに大外に渡すヤツ」「大外で受けるヤツ」という3人をひとりで睨みつけ、2人目にチェックに行きながら、「ボールと同じスピードで大外まで走っていき本命の3人目を捕まえる」という守備を見せたときには、ワールドカップばりの声が出たほど。「速ぇえ!」「何これ!」「ヤバい!」でした。
さらに攻撃面でも「股抜きパス」でのトライを演出。身体を内側に向けて、どう考えても内に切れ込んできそうな素振りを見せながら、まるでアメフトのスナップのように「股抜き」で後方へパス。相手守備も虚を突かれる格好で、一気にトライまでつながるという「新聞1面級」のプレーでした。
↓サム・ケレビの中央突破から外へ展開し、松島の股抜きパスでトライへ!
ただ、サントリーは試合には負けてしまったので、1面はパナソニックの福岡堅樹さんが決めた独走トライかもしれませんが!
開幕戦を観戦して思ったのは、あのお祭りはまだつづいているなということ。試合自体も満足できるものでしたが、とにかく選手も運営も観衆も燃えていました。心にあのワールドカップを残したまま、「アレに負けないように」と奮闘する選手、「アレを求める期待にできるだけ応えよう」とする運営、そして「アレが見られるんですよね!」というワクワクした気持ちの観衆。すべてが「アレ」を基準にして高まっていました。
いわゆる「にわかファン」と呼ばれるような人たちの多さ。僕もそういうひとりなわけですが、「楽しもう」という気持ちがそこかしこで感じられます。ルールを知っている仲間を頼りに食い気味で試合を見守る若者たちであったり(※すごい飲んでる)、熱い声援を送る少年少女ファン(※ニンテンドースイッチとかで遊ばない)、『リーチ!』っていうヤツをやってみたくてたまらなくて何でも『リーチ!』しちゃう兄さんたち(※『ゲッツ!』みたいになってきた)。そのワクワクした感じだったり、慣れきっていない感じだったりが、まるでワールドカップのような高揚感を生み出しているように思いました。
この高揚感は慣れきった観衆だけではなかなか生まれないものでしょう。去年の繰り返し、大体知っている出来事、そういう感覚からは生まれない何かが「初めての日」にはあるものです。その意味では、今のラグビー・トップリーグというのは奇跡的なバランスの上にある観戦環境だと思います。質に関しては「世界トップが集う」十二分に素晴らしいものであるのに、多数の「にわかファン」による高揚感に満ちていますし、雰囲気はよくも悪くも国内マイナースポーツ基準で緩い。隣の席に座った「選手の同僚や家族」が話す裏話を聞きながら有名選手のプレーを見守るなんて、なかなかあるものじゃありません。お客さんも関係者もごちゃ混ぜのカオスです。
もう少しリーグが発達して「プロ化」などされると、ちゃんと導線をわけましょうねとか、ちゃんとセキュリティを確保しましょうねとか整っていくわけですが、今はまだ「奇跡的に」それが追いついていません。さっきまで試合をしていた日本代表のスターが、観客席を突っ切って帰ったりするような場です。マイナーの環境でメジャーが見られる、稀有なる状態が今のトップリーグにはあります。すべてがきちんと整う前に見ておくことで、「今はまだ可能な」体験もできるでしょうし、のちのち「今はよくなったよね」と感じる進化も生まれるでしょう。
↓ラグビー恒例、選手たちとのグリーティングは「各チーム3名ずつ」「指定場所」で、となった模様!

以前は選手が周回しながらハイタッチしてくれたり、広場で写真撮影してくれたりしたものだが…!
試合終了後に最前列まで焦って行かなくて済むのはいいことですかね!
↓と言いつつ、個人の判断で近づいてきたりするパターンも!

実際の距離も近いし、距離感が近い!
大変大きな希望、未来を感じるような2020年の開幕でした。ラグビー界が見据えているというプロリーグ構想、2024年頃とされている秩父宮に変わる新ラグビー場整備計画、日本代表が南半球の強豪国との対抗戦に加わるのではないかという噂。何か新しいことが起こりそうなトピックがラグビー界にはまだまだたくさん待っています。「ワールドカップにわか」の先にも「プロにわか」「新スタジアムにわか」「ワールドカップにわか(再)」などを楽しんでいけたら、ずっとこの祭りをつづけられるのではないでしょうか。夢は始まったばかり、まだ終わりません!


最終的には「一番奥」で「モニターが頭上で見えない」北スタンドにもたくさんの人が。

選手入場では頑張って炎を出してみました。

「にわかファン」が映える記念撮影スポット。


大相撲のようなほっこりエンタメになれる素地がラグビーにはあります!
12日、ジャパンラグビー・トップリーグが開幕しました。2015年ワールドカップ後には「企業向けのチケットを確保しすぎたことにより、一般客を入れ損ねて空席祭り」という大失敗(アチャー)をやらかしてしまったラグビー界ですが、今回は見事に雪辱に成功。聖地・秩父宮ラグビー場には2万大観衆が集い、華やかに開幕を迎えました。
各チームにイイ感じに散らばった日本代表たちと、ほかの競技では考えられないほど「世界のトップ」がシレッと混ざっているチーム編成。野球やサッカーには「マジモンの現在の世界トップ」はなかなかやってきませんが、ラグビーはついこないだワールドカップで優勝したメンバーさえもシレッと混ざっています。国内リーグとは言っても、ここには「世界」があります。
↓僕が行った試合でも、シレッと南アフリカ代表で世界一になったマルコム・マークスとかが出てましたよ!
世界最強フッカーともいわれる掛け値なしのワールドクラス!
もちろん日本代表戦でも活躍した選手です!
↓ほかにもオーストラリア代表サム・ケレビのキャリーに驚愕するなど!
「新外国人を見たらワールドクラスと思え」くらいにシレッと大量に混ざっています!
神戸製鋼、トヨタ、パナソニックあたりは「世界選抜かな?」みたいな顔ぶれです!
↓「現役の、こないだのワールドカップにも出ていた、オールブラックス」と「現役の、こないだのワールドカップにも出ていた、日本代表」の激突なども!
大体どの組み合わせでもひとりくらいはスターがいますよ!
大体!
試合内容も大変充実しており、何よりもまず選手の意欲が高い。あの熱狂を終わらせないぞという意気込みが、試合展開によらずに最後まで奮闘をつづける姿勢によく表れていました。ワールドカップはよかったけれど、戦いはすでに新しいラウンドに入り、そこで頑張らなければいけないのは自分たちひとりひとりなのだという「自覚」。今度は自分たちがやってやるという熱量。ワールドカップを見たあとの目で見ても、熱さ、楽しさ、十二分です。
そして、やはりというか日本代表選手たちは輝いていました。各地から届く「日本代表大活躍」の報せ。日本代表がお目当てでやってきた観衆がたくさんいるという状況で、その期待に応えるプレーを見せるあたりはさすがの千両役者ぶりです。僕が観戦した試合でも、松島幸太朗さんのスピード・センスに「それぐらいできる選手だと知っていた」はずなのに、また改めて驚かされました。
松島さんが所属するサントリーは前半途中でひとりを退場で欠き、ずっと人数不足で戦っている状態でした。当然、大外での数的不利が生まれ、役割上フルバックである松島さんに負担が掛かる展開でした。そこを狙って相手も攻撃してくるわけですが、「パスを出すヤツ」「外で受けて、さらに大外に渡すヤツ」「大外で受けるヤツ」という3人をひとりで睨みつけ、2人目にチェックに行きながら、「ボールと同じスピードで大外まで走っていき本命の3人目を捕まえる」という守備を見せたときには、ワールドカップばりの声が出たほど。「速ぇえ!」「何これ!」「ヤバい!」でした。
さらに攻撃面でも「股抜きパス」でのトライを演出。身体を内側に向けて、どう考えても内に切れ込んできそうな素振りを見せながら、まるでアメフトのスナップのように「股抜き」で後方へパス。相手守備も虚を突かれる格好で、一気にトライまでつながるという「新聞1面級」のプレーでした。
↓サム・ケレビの中央突破から外へ展開し、松島の股抜きパスでトライへ!
ただ、サントリーは試合には負けてしまったので、1面はパナソニックの福岡堅樹さんが決めた独走トライかもしれませんが!
とにかく面白かったし、盛り上がりました!
開幕戦を観戦して思ったのは、あのお祭りはまだつづいているなということ。試合自体も満足できるものでしたが、とにかく選手も運営も観衆も燃えていました。心にあのワールドカップを残したまま、「アレに負けないように」と奮闘する選手、「アレを求める期待にできるだけ応えよう」とする運営、そして「アレが見られるんですよね!」というワクワクした気持ちの観衆。すべてが「アレ」を基準にして高まっていました。
いわゆる「にわかファン」と呼ばれるような人たちの多さ。僕もそういうひとりなわけですが、「楽しもう」という気持ちがそこかしこで感じられます。ルールを知っている仲間を頼りに食い気味で試合を見守る若者たちであったり(※すごい飲んでる)、熱い声援を送る少年少女ファン(※ニンテンドースイッチとかで遊ばない)、『リーチ!』っていうヤツをやってみたくてたまらなくて何でも『リーチ!』しちゃう兄さんたち(※『ゲッツ!』みたいになってきた)。そのワクワクした感じだったり、慣れきっていない感じだったりが、まるでワールドカップのような高揚感を生み出しているように思いました。
この高揚感は慣れきった観衆だけではなかなか生まれないものでしょう。去年の繰り返し、大体知っている出来事、そういう感覚からは生まれない何かが「初めての日」にはあるものです。その意味では、今のラグビー・トップリーグというのは奇跡的なバランスの上にある観戦環境だと思います。質に関しては「世界トップが集う」十二分に素晴らしいものであるのに、多数の「にわかファン」による高揚感に満ちていますし、雰囲気はよくも悪くも国内マイナースポーツ基準で緩い。隣の席に座った「選手の同僚や家族」が話す裏話を聞きながら有名選手のプレーを見守るなんて、なかなかあるものじゃありません。お客さんも関係者もごちゃ混ぜのカオスです。
もう少しリーグが発達して「プロ化」などされると、ちゃんと導線をわけましょうねとか、ちゃんとセキュリティを確保しましょうねとか整っていくわけですが、今はまだ「奇跡的に」それが追いついていません。さっきまで試合をしていた日本代表のスターが、観客席を突っ切って帰ったりするような場です。マイナーの環境でメジャーが見られる、稀有なる状態が今のトップリーグにはあります。すべてがきちんと整う前に見ておくことで、「今はまだ可能な」体験もできるでしょうし、のちのち「今はよくなったよね」と感じる進化も生まれるでしょう。
↓ラグビー恒例、選手たちとのグリーティングは「各チーム3名ずつ」「指定場所」で、となった模様!
以前は選手が周回しながらハイタッチしてくれたり、広場で写真撮影してくれたりしたものだが…!
試合終了後に最前列まで焦って行かなくて済むのはいいことですかね!
↓と言いつつ、個人の判断で近づいてきたりするパターンも!
実際の距離も近いし、距離感が近い!
「多少ヘンな輩がいても、ワシらを傷つけることはできまい…」「ワシら190センチ100キロだから…」「ナイフと拳銃以外なら大丈夫やろ…」という絶対的自信を感じる!
大変大きな希望、未来を感じるような2020年の開幕でした。ラグビー界が見据えているというプロリーグ構想、2024年頃とされている秩父宮に変わる新ラグビー場整備計画、日本代表が南半球の強豪国との対抗戦に加わるのではないかという噂。何か新しいことが起こりそうなトピックがラグビー界にはまだまだたくさん待っています。「ワールドカップにわか」の先にも「プロにわか」「新スタジアムにわか」「ワールドカップにわか(再)」などを楽しんでいけたら、ずっとこの祭りをつづけられるのではないでしょうか。夢は始まったばかり、まだ終わりません!
メインもバックもビッシリです。
最終的には「一番奥」で「モニターが頭上で見えない」北スタンドにもたくさんの人が。
選手入場では頑張って炎を出してみました。
「にわかファン」が映える記念撮影スポット。
試合中は場内解説とルール表示で「にわか」でも何が起きたかわかる仕組み。
観戦マナーのご案内もラグビーらしさアリ。
大相撲のようなほっこりエンタメになれる素地がラグビーにはあります!
どの試合も見ごたえ十分。今後も地上波で放映を続けて欲しいです。
できれば、ダイジェストでなく、まるっと放映もやって欲しい。
この質なら、フツーに放映して地上波で見るに堪えるし、ますますラグビーが普及する!!