最近気になる放送用語

「なにぐみ」?「なんくみ」?

「何」という漢字は、「なに」と読むときと「なん」と読むときがありますが、その区別がよくわかりません。

「何」は、うしろにどんなことばが来るかによって、読み方が変わることがあります。また、あらたまった場面か、くだけた場面かによっても違いがあります。

解説

まず、うしろに名詞がある場合には、以前に当コーナー(2004年4月号)でも取り上げたことがありますが、だいたい次のような傾向があります。

  • (a)「どの・どんな」といった意味の場合(=what kind of, which) → 「ナニ」
    ナニいろ(色)、ナニけん(県)、ナニぶ(部)
  • (b) 数字にかかわる場合(=how many) → 「ナン」
    ナンしょく(色)、ナンけん(県)、ナンぶ(部)

保育園や幼稚園のクラス分けは、「あじさい組、つつじ組、ばら組…」のようになっていることがあります。この場合、「どの組なのか」を尋ねる場合には、

「ナニぐみですか?」

と言うでしょう。
いっぽう、小学校より上では、「1組、2組、3組…」のように数字によるものが多いようです。この場合には、

「ナンくみですか?」

と尋ねるのではないでしょうか。

次に、うしろに来るのが名詞以外の場合には、残念ながらあまりはっきりとした傾向は断言できません。

  • ①どんな場合でも「ナニ~」と発音するもの
    ナニが ナニを ナニから ナニかと ナニくわぬ ナニげない ナニさま ナニより
  • ②どんな場合でも「ナン~」と発音するもの
    ナンの ナンら ナンて ナンだか ナンとしても ナンですか
  • ③あらたまった場面では「ナニ~」、くだけた場面では「ナン~」と発音するもの
    ナニに/ナンに ナニか/ナンか ナニかしら/ナンかしら ナニせ/ナンせ
    ここに挙げたことばは、一つ一つ読み方を覚えるしかないようなのですが、それでもナンらかの参考になればナニよりです。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)