佐藤純
国立音楽大と東京大は11日、人工知能(AI)を搭載したアンドロイド(人間型ロボット)と実際のオーケストラを用いた共同研究を始めると発表した。アンドロイドにオーケストラを指揮させる試みには既に成功しているが、国立音大の学生たちと演奏を重ねることで、音声処理や動作の研究を超え、人間らしさや芸術性を追求するという。
プロジェクトに関わるのは、池上高志・東京大教授、板倉康明・国立音楽大客員教授ら。池上教授らは2018年7月、自発的に動くようにするプログラムを先代の「オルタ2」に組み込み、オーケストラを指揮させることに成功した。今回はさらに、関節の数を増やし、目にカメラを入れ、体を強くした「オルタ3」で臨む。
研究では2年間かけ、メトロノームのようにリズムを刻むだけではなく、演奏者の表情などを瞬時に把握し、指揮に生かす方法を探る。演奏者を随時入れ替え、学生とオルタ3の双方に緊張感を持たせる。
板倉教授は「本当の人間の指揮者の仕事が見えてくるかもしれない」。池上教授は「人間と機械が共存するようになった時に、どうやってうまくやっていくかを考えるために、この研究は必要だ」と話した。
オルタ3の指揮による学生約30人の演奏も披露された。この日は練習を始めて3日目。すでに、学生の意見を採り入れて設定を調整し、オルタ3はタイミングの取り方などが上手になったという。(佐藤純)
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