www.asahi.com
「アダルトビデオ(AV)の帝王」と呼ばれた村西とおる監督による1990年代のビデオ撮影を追ったドキュメンタリー映画(昨年11月公開)で、登場する女性の一人が承諾なしに過去のヘアヌード映像を使われたとして、配給元に抗議した。製作側は女性が映った場面を削除し公開したが、こうした映像の使い回しに疑問を投げかける専門家もいる。(略)
配給元に抗議した東京都の40代女性は2019年夏、ある映画館の上映作品をネットで調べていて、公開予定になっていたこの映画の存在を知った。映画の一場面とみられる画像では、裸の女性たちが水につかっていた。モザイクや目隠しの線といった画像処理はされていなかった。かつてこの場面が撮られた北海道ロケに自身が参加し、ヘアヌードビデオに出たことを思い出した。20年以上前の映像だったが、「近しい人には分かってしまう」と弁護士に相談した。
弁護士は東映ビデオに対し、女性は映画への出演を承諾していないとして、「重大な肖像権侵害になる」と指摘。ロケに参加した別の女性も含め、映画を公開するにあたっての同意の有無を問い合わせた。
(略)
東映ビデオは昨年12月の朝日新聞の取材申し入れに対し、「日本映画配給機構と協議の上、お断りさせていただく」と回答した。こうした過去の映像の使い回しについて、著作権に詳しい小倉秀夫弁護士は「一般的に公開を望まないであろう裸の映像を本人の同意なく使用すれば、人格権の侵害となる」と指摘。撮影当時はアダルト向けのセルビデオとしての流通だけが想定されていた場合、一般の映画館で上映されるような作品への使い回しは元々の視聴者層を大きく超えるもので、「裸の映像や画像を使い回してよいというまでは、(当時の)同意や承諾の効果は及ばないだろう」と話す。
そういう話で思い出す事
再度発掘。
考えれば分かるように「了承してないのに勝手に撮られた+それをドキュメンタリー映画として勝手に公開された」ということの民事責任を問う裁判は、これはイデオロギーを超えて
「ザ・コーヴ」にしろ
森達也「A」にしろ
「カウボーイズ・イン・パラダイス」(参考http://hazama.iza.ne.jp/blog/entry/1579660/ )にしろ
在特会が、自分たちの活動(への抗議対象者の反応)を撮影してYOUTUBEにアップロードするにしろ、
・・・すべてに大きく関わってくる問題なんじゃないすか。
これ、コメントを森達也氏に求めるのが一番いいんじゃないすか?
被写体の了解があるかないかも、どうだっていいんです。踏みにじらないとドキュメンタリーなんて作れない。それによって人を加害します。その責任なんてきっと取れない。映像メディアはそれほどに強烈な加害装置です。その覚悟をしなくてはならない。(略)
僕ら製作者が覚悟すべきは、責任を取れない覚悟です。明らかに規範を超えています。それほどに悪辣で乱暴なことをしても、伝えたいからです。伝える価値があると信じている。ギリギリでやっているんです。そこに手を突っ込まないでもらいたい。
ラーメンを食べる前に「こんなまずいラーメン作りやがって」と怒っても仕方ない。まずは食べるべきです…(略)観る前に抗議するべきではないとはぼくは思わない。自分も観たくないし人にも見てほしくないと意思表明する権利はあります。それに対しては「観てから言え」と反論すればいいだけの話です(53P)
責任を取るなどと気軽に言うべきじゃない。責任なんて取れない…僕ら製作者が覚悟すべきは、責任を取れない覚悟です(61P)
ただ「裸の映像」ということ一本で、例外化できるか?
イルカ漁をしているところや、南の島で現地人の『ボーイ』にナンパされているところ、かつての軍隊の同僚に暴力を振るわれるところ…などと比較してどうか。何十年か前のAVは、少なくとも当時は、確実に同意しているから、止めさせるハードルはむしろ高いと言えるかも。それこそ新聞の過去記事、過去写真も関係してくる話だしね…