「と 饕餮様…またです……驪駒から霊長園解放を記念した贈り物を寄越せと催促が……」

……コトッ
「これを持って鬼傑組へ行け…ですか…ではまた何か謎かけを？」
「……」
「そして…ええっ！？」
※前回「石取りゲーム・ニムについて」
https://web.archive.org/web/20191020002829/http://dec.2chan.net/55/res/12245354.htm
※前々回「モンティ・ホール問題について」
https://web.archive.org/web/20191008232006/http://dec.2chan.net/55/res/12197354.htm

ドヴァーキン

「ふふ…よしよし……」

「八千慧組長……饕餮様から贈り物だ」
「お前は剛欲同盟のオオワシ霊…また何か謎かけでも持ってきたのですか？それに手土産の鹿がいないようですが…」
「いや…今回の手土産は別の物がある…あるのだが……」
「（…？何か様子が変ですね）どうしましたか？」

「呼ばれて来たぞ！吉弔！オオワシ霊！」
「勁牙組…貴方達を呼んだ覚えはありませんが」
「私が呼んだのだ…饕餮様に頼まれて…な」
「それにしても鬼傑組ばかり贈り物を貰っているな！たまには勁牙組にくれても良いんじゃないか？」
「抜け駆けして幻想郷に攻め込んだ貴方達に贈り物など贈るはずがないでしょう」

久々にきたか！

「さて……それでは謎かけの前に手土産を頂いても？」
「ああ…それについてだが……手土産は」
「……？」
「手土産は…剛欲同盟だ」
「！？」

「…どういうことです？」
「正確には…剛欲同盟の支配権だな」
「そんなことを聞いた訳ではありません…正気ですか？」
「ああ…饕餮様はこれを解いた者に剛欲同盟の支配権を譲ると言っていた」
「これは…ハノイの塔ですか」

こうしてみるとワシだけやけに黒いな

「知っているのですか吉弔様！？」
「ええ…しかしこれはモンティ・ホール問題や三山崩しと違ってそれ程複雑なゲームではなかったと記憶していますが」
「ああ…ルールを説明すると」
１．３本の杭と、中央に穴の開いた大きさの異なる複数の円盤がある
２．すべての円盤を左端の杭に小さいものが上になるように順に積み重ねる
３．円盤を一回に一枚ずつどれかの杭に移動できる　ただし小さな円盤の上に大きな円盤を乗せることはできない
４．すべての円盤を右端の杭に移動させれば終了
「ということらしい…円盤の数は…３０枚あるな」

あっ…

30枚とか終わらせさせる気無いな...

見た目よりも物凄く時間かかるヤツだ

「なんだそれだけか？こんなの私でも理解できるぞ！」
「ああルールはそれだけだ…それと説明が終わったら八千慧組長にこれを見せるように言われている」
「これはメモ…ですかどれどれ」

吉弔へ
驪駒から贈り物を寄越せと矢のような催促があったため
甚だ遺憾ではあるがこの様な形で贈り物を出す
剛欲同盟の支配権は驪駒に高値で売り飛ばすことをおススメする
饕餮

「……」

嫌がらせが狡すぎる...

「（やはりこの贈り物には何か裏があると見てよさそうですね）」
「…どうした吉弔？そのメモに何が書いてあったんだ？」
「得に大したことは…このハノイの塔を解いた者に剛欲同盟の支配権を譲るとだけありますね…ところで驪駒」
「何だ？」
「この剛欲同盟の支配権を買いませんか？鬼傑組の方針はあくまで少数精鋭…これ以上の人員は必要ありません」
「ふん　これ以上部下が増えたら管理できないと正直に言ったらどうだ？それで…いくら出せば良い？」
「…１００万でどうです？」
「あー…早鬼組長…それはやめておいた方が良い…難易度が高すぎる」
「心配するな新入り！今回は私にもルールが理解できるほど単純なゲームだ！それに大した金額でもないしな！買うぞ吉弔！」
「商談成立ですね」

「早速説明を頼むぞ新入りのオオカミ霊！これを早く解くにはどうすれば良い？」
「……仕方ないな解説しよう」
「新入りは何でも知っているな！」
「……」
「早鬼組長の言う通りこのゲームの仕組みは単純な物だ…３本の杭を左からＡＢＣとすると」
「ふむふむ」
「円盤の数が偶数ならＢに…奇数ならＣに最初の１枚を移動するだけで良い」
「……？それだけなのか？」

組織の支配権の値段が100万って剛欲同盟安すぎない？

「そうだ…これは円盤を実際に動かしてみるとよく分かるのだが円盤が２枚だとＢに…３枚だとＣに一枚目を動かせば最小の手数で解くことが出来る」
「ほうほう」
「円盤の数が増えても同じだ…円盤５枚なら奇数なのでＣ…６枚なら偶数なのでＢが最短だ…今回円盤は３０枚だからＣに１枚目を動かせば良い」
「なるほど」
「さらに饕餮は最小の手順で動かせとも指定していない…時間をかければ誰でもクリアできるだろうな」
「そうか！それなら楽勝だな！」
「それがそう単純な話ではない…そのかかる時間が問題なのだ」

「このハノイの塔…円盤が３枚だと最短でも７手…４枚だと１５手…５枚だと３１手必要となる」
「…倍々に増えていますね」
「そうだ…正確には円盤の数をnとすると最小手は2^n-1で計算することが出来る…つまり」
「つまり？」
「円盤の移動を１手１秒で行ったとしても円盤の数が１０枚だと１０２３手…すなわち１７分３秒かかることになる」

「ということは円盤が３０枚だと途方もない時間が必要になるということですか…？」
「その通りだカワウソ霊よ…１５枚なら３２７６７手…１手１秒で９時間６分７秒」
「う…」
「２０枚なら１０４８５７５手…１手１秒でも１２日と３時間１６分１５秒かかる…３０枚ならどれくらいの時間がかかると思う？」
「それは…１年…いや２年……？」
「３４年だ」

なそ
にん

休みなく一定のペースでやってそれだから実際はもっとかかるよねぇ

このおもちゃ先月も裏で見た気がする

「さっ…３４年？！」
「そうだ…１手１秒…加えて不眠不休で作業し続けたとしてもそれだけの時間がかかる」
「なんてこった…」
「仮に完遂出来たとしてもそれをどうやって証明する？間違いなく饕餮は不正をしたんじゃないかと言いがかりをつけてくるだろうな」
「つ…つまり」
「奴は初めから剛欲同盟の支配権を譲るつもりなど無かったということだ」

人外の時間感覚…でも34年は長いかなぁ
その間にできることそれやってる間はできない事が殊ヤクザの抗争ではいくらでもあるだろうし

社史編纂室的な所を作ってやらせよう...

人間霊にやらせよう
新しい仕事は円盤を持ち上げて移動させるのをひたすら繰り返すことだ

「くそう…饕餮の奴めとんだ出費だ…」
「後先考えずに行動するからですよ」
「すまない早鬼組長…私が最初にちゃんと説明していれば…」
「考え無しが頭にいるとこういう時は苦労しますね…なんならその新入りに１００万稼いでもらってはどうです？」
「何？」
「大した額ではないし”貴方なら”簡単に出来るでしょう？」
「……」

むっ
新展開？

>「ふふ…よしよし……」
かわいい

「（吉弔の奴…）新入り…出来るか？」
「問題ないな…この前幻想郷の調査をした時にちょうど考えていたプランがある」
「ほー」
「……」
「後は人手がいるな…オオカミ霊何人かに協力していただきたい」
「いいぞー何人でも連れていってくれ」
「八千慧組長…何日か時間をいただきたいてもよろしいか？」
「……いいでしょう」

>人外の時間感覚…でも34年は長いかなぁ
地獄時間からしたらすぐよすぐ

>このおもちゃ先月も裏で見た気がする
ぎゃてコラ劇場「驪駒ちょっとしたゲームをしましょう」
https://archive.vn/394Ss
https://web.archive.org/web/20191215015722/https://dec.2chan.net/55/res/12465220.htm

優秀だな新入り

数日後幻想郷

「はあ…幻想郷に来て早数ヶ月…来る日も来る日も農作業でそろそろ限界だぞ俺」

ワー　ワー

「ん？」

ちゃんと仕事してるだけ偉いと思うぞ俺

「はいはい団子の鈴瑚屋から新製品！国士無双の団子だよ！１本１万は高いって？騙されたと思って食ってみな！こいつを食えば病人だろうが国士無双の大豪傑だ！」

こっちの新入りは無能だったのに…

パクッ…ＭＧＭＧ

スッ…

「おお？！」

スッスッスッスッ！
「ううう…！こ　これはァ…！体の奥底から力がみなぎってくるようだぞ俺！」

「おおお！長年俺を苦しめていた偏頭痛が！」「腰痛が！」「ぜんそくが！」「消えた！」
ワー　ワー
「はいはいまだまだ沢山あるよー！無くならないよー！」
ワー　ワー
「……」

ふつうにゆかりんに怒られそうなことしてる...

異変だこれ

>「八千慧組長…何日か時間をいただきたいてもよろしいか？」
>「……いいでしょう」
知性派同士の会話は見ててワクワクするな

>スッスッスッスッ！
>「ううう…！こ　これはァ…！体の奥底から力がみなぎってくるようだぞ俺！」
暴走ロアリングあき

「（……単純に意識を乗っ取るだけならともかく能力を最大限に引き出すにはやはり５体程の動物霊が必要になりますか）」
「（鬼傑組と勁牙組の全動物霊を動員すれば現時点でも幻想郷住民の１０％程は掌握可能…）」
「（しかし現実的に考えると強硬策を取るより肉体強化を餌に幻想郷住民を少しずつこちら側に引き込むのが上策ですね…）」

ワー　ワー
「清蘭屋だって負けてないよー！」
「おお！こっちの団子もすごいぞ俺！」
ワー　ワー
「それっ！それっ！」
「ふーすっきりしたぞ俺！」
ワー　ワー
「（新入りのオオカミ霊…貴方は実に私の役に立ちましたよ…せいぜい噛みしめることです…最後の栄光をね）」

翌日…
「どうだ…いくらになった？新入り！」
「途中から値上げしたのが効いたな…団子屋に渡した金を抜いても３００万程になった」
「す　すごい…こんなにあっさりこれだけの金を稼ぐなんて…」
「カワウソ霊達よ協力に感謝する」
「いえ…吉弔様から後学のために力を貸すよう言われていましたから…」
「鬼傑組に支払う金額は１００万だったな…それは私が八千慧組長に直接渡そう　残った金はオオカミ霊と分けあってくれ」
「えっ…いいんですか！？」
「私達も貰っていいのか新入り！」
「はした金だ…派手に使ってしまえば良いだろう」
「さっすが～新入りは話がわかるッ!」
「……」

新入りじゃない方のオオカミ霊純粋だな…

「八千慧組長！約束の１００万を持ってきたぞ」
「確かに…それにしても随分あっさりと集めた物ですね」
「大したことではない…それにしても……殺気を隠す気も無いようだな？」
「ええ…貴方にはここで死んでもらいます」
「……早鬼組長と共謀してか？」
「正確には鬼傑組と勁牙組の総力を持ってです…もはや逃げ場はありませんよ」
「……」

オオオ
イイイ

これはいけない

「気配は消していたつもりだったが…私の存在に気づいていたのか新入り」
「早鬼組長の気配は分かりやすいからな」
「はっはっは！本当に面白い奴だなお前は！…お前の態度次第ではお前に加勢してもいいんだぞ！」
「驪駒ぁ……！！」
「これが私のやり方だ吉弔…新入り！お前がただのオオカミ霊でないことは明らかだ…お前が正体を明かすなら私の右腕に取り立ててやる！いや…なんなら同盟でも良いぞ！それともここで死ぬか！？選べ！」
「断る……私は誰にも屈するつもりはない！」

さてどうなる・・・？

「周りはカワウソ霊とオオカミ霊が完全に包囲している…死角はありませんよ」
「死角が無ければ作れば良い…私がその気になればお前達全員を相手にできる自信はあるぞ」
「はっ！その意気やよしだ！お前がどうこの場を切り抜けるか楽しみだぞ！お前の本性を見せてみろ！」
「言われなくても今見せてやろう」
「「！！」」

おっきーかっこいい

「き…消えた！？」
「馬鹿な…！隠れる場所などどこにも…！」
「！？なっ…なんだこいつらは！突然現れた！」
「！これは……埴輪兵士！？」

バックでダンスを踊りそうな武装してるな

「……」
「戦闘開始から１０分経過……撤収だな」
「ふー！」
「あー疲れたー」
「ご苦労だったな二人とも」
「言い付け通り後先考えずに全力で暴れましたよ！」
「でもお師匠様が言った通りこの埴輪を着ていればほとんどダメージを受けませんでした！」
「ああ…実験は成功だ……霊長園付近で埴輪の残骸を回収した甲斐があったな」

おっきーの目的はいったい…？

zun絵コラじゃないおっきーはかっこいい

ガワだけで防げるのか…

「……」
「……損害は」
「殺された者こそいませんでしたが…およそ半数が…あの２体の埴輪兵士に…」
「なんということだ……」
「吉弔様……」
「奴の目的は…私と同じだったんです」
「…どういうことですか？」
「奴は動物霊が幻想郷の…普通の人間に与える影響を知りたかったんです」

>No.12570996
初めて隠岐奈をカッコいいと思ってしまった
完全にラスボスの構図

憑依による肉体的・精神的影響は？
動物霊が何体憑依すれば能力を最大限に引き出すことが可能か？
強制的に憑依を引きはがすことは可能か？

「大金を稼いだ裏でそんなことを……」
「思えば…私は最初から奴に踊らされていたんです」
「……」
「ハノイの塔が解けないことを知っていながら驪駒を強く止めなかったのも」
「……！」
「１００万の損失にさも自分に責があるような発言をしたのも」
「うう…！」
「奴を警戒している私が仕掛けやすいように誘導していたということです」
「そ…そんな……」

としあき死んじゃったの…？

「吉弔様…奴は一体何者なのでしょうか」
「おそらく…幻想郷の神の一人でしょう」
「神…ですか？」
「ええ…１００万を稼いだ手口からして幻想郷をよく知らなければ実行できません…加えて奴が現れた時期を考えるとおそらく間違いはないでしょう」
「それは…確かに」
「そして…鬼傑組と勁牙組両方を始末できるというのも決して大げさではないあの圧倒的な力を持つ者…神以外に考えられません」

「なるほど…しかし奴はなぜ我々を殲滅しなかったのでしょうか？そもそもあの埴輪兵士は一体…」
「我々を殲滅しなかったのはおそらくあの邪神を警戒しているのでしょう」
「あの埴安神をですか」
「そうです…もし我々を殲滅してしまえば畜生界はあの邪神の天下になります　そうなれば次は幻想郷が標的になる」
「確かにあの邪神ならやりかねませんね」
「奴もあの邪神の造形術が相手では分が悪いと感じているのでしょう…あの２体の埴輪兵士もその警戒心の現れでしょう」
「あの埴輪兵士が…ですか？」
「お前もあの埴輪兵士が埴安神配下の者でないことは分かったでしょう…おそらく自前の埴輪兵士が動物霊にどこまで通用するかを試したかったんでしょうね」
「（ご名答……さすがといった所か）」

「これから…我々はどうすれば良いのでしょうか…」
「決まっているでしょう」
「え？」
「奴を超える力を手に入れ…我々を始末しておかなかったことを死ぬほど後悔させてやりましょう」
「吉弔様……」
「返事は？」
「はいっ！！」

トウテツだったっけ？

おっきーは埴安様や霊長園の方には何かアプローチかけた？

「…何人やられた？」
「およそ３割程が…しばらくは戦闘不能になりました」
「驪駒様…あの埴輪兵士は一体何者でしょうか？」
「幻想郷の者だろう…奴らの体さばきには幻想郷住民特有の癖があった…」
「…幻想郷ですか」
「そうだ…新入りの目的は幻想郷に手を出すとこうなるという警告…いや脅しを我々にしたかったんだろうな」
「……」

「それにしても…新入りがまさかあれ程の力を隠していたなんて…」
「ふふふ…楽しみだな！」
「え…」
「奴の力はまだまだこんな物じゃないはずだ…いずれ機会があれば心行くまで闘ってみたいもんだ」
「（この人は……でも何だかんだ驪駒様のこういうところは頼もしいんだよなあ）」
「よーし！動ける奴を集めて飲みに行くぞ！パーッと派手に行こう！新入りの稼いだ金でな！」
「…ハイッ！」
「（……）」

早鬼ちゃんはブレないなぁ
好き

幻想郷　博麗神社
「…ということがあってな」
「それであんたは黙ってみてたわけ？」
「そうだ…饕餮様から新入りオオカミ霊には手を出すなと言われていたからな」
「ふーん…”背後”から急に現れた”二人”の埴輪兵士…ね」
「何か心当たりがあるのか？」
「…無いこともないわね」
「そうか…とりあえず先の団子屋での騒動の真相はそんな所だ」
「わかったわ」

「（やはりあの新入りは幻想郷の…それもかなり力を持った奴みたいだな）」
「（饕餮様は幻想郷に関わるのを禁じていたがこれくらいなら良いだろう…あの巫女にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかないからな）」
「（ん？あれは……）」
「……」

「（あれは…確か足の不自由な者が使うという車椅子か）」
「……」
「（ふん…畜生界ではあんな奴は数時間もしない内に餌食になる）」
「……」
「（だがあんな奴が存在出来るのもここが平和な証か…やはり畜生界と幻想郷では何もかも世界が違いすぎるな）」
「……」

「（鬼傑組…勁牙組…そして剛欲同盟……か）」
「（それぞれの組織がそれぞれの方法で私の正体に近づきつつある…失態だな）」
「（どうやら奴らを少し甘く見すぎていたようだ）」

「（埴安神と手を結び…後戸の力を解放した埴輪兵士を大量に背後から送り込めば動物霊の殲滅自体は簡単だろう）」
「（だがその次に待っているのは埴安神による幻想郷の襲撃…）」
「（その時奴が創造するのは対幻想郷の…後戸も弾幕も魔法も神仏術もスキマも通じぬ埴輪兵士）」
「（そうなれば我々に勝ちの目などない…畜生界と同じようになすすべなく蹂躙されるだろう）」

おっきーの目的はけーき様対策と牽制かな？
次回も楽しみだ

「（冥界に人間霊の一部を移住させたのも…おそらく人間霊が幻想郷に興味を持つように埴安神が仕向けているのだろう）」
「（いずれはそちらにも手を出す必要があるか…気が進まないな）」
「（どうも私は目立つのが好きすぎるようだ…八雲と違って潜入捜査には向かないんだがなあ）」
「（まあ良い出来ることは全てやっておこう…後は八雲が何とかしてくれるだろう）」