コンサルティングや会計業務を手がけるPwCジャパンは、昨秋の社内の研修…
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コンサルティングや会計業務を手がけるPwCジャパンは、昨秋の社内の研修で、子どもの貧困問題に取り組むNPO「ラーニング・フォー・オール」の学習支援教室を見学した。
きっかけの一つは、採用活動の場で学生からしばしば「社会の課題に向き合える会社で働きたい」と言われることだった。実際、社内でこうした活動に参加する若手は多く、上の世代に刺激を与えている。「若い人は大人の本気度を見ている」と人事担当者は感じている。
教室を支えるのはボランティアの大学生たちだ。同じように勤務先の研修で訪れた人が、その真剣な姿に触れ、個人として寄付を始めるといったケースも少なくないという。
「自分で国や社会を変えられる」と思う若者の割合が、日本は他国に比べて低い。日本財団が昨年、欧米やアジアの計9カ国で実施した調査の結果だ。
だが一人ひとりがしっかり考え、言葉や行動に表せば、こんなふうに他者を動かし、世の中も動かせる。自分では気がつかなくても、あるいは微々たる歩みであっても、間違いなく。
122万人の新成人をはじめとする若者に、そう伝えたい。大学入試改革をめぐり、当事者である高校生が声を上げ、世論を動かし、ついに政府が方針を変えたのは昨年のことだ。
いやそんなことを言う前に、胸に手を当てて考える必要があるのは大人たちだろう。
なぜ先のような調査結果になるのか。何が無力感を植えつけてしまっているのか。
例えば理不尽な校則だ。スカート丈から果ては下着の色まで統一する。部活動は本来自由なのに、全員参加を強いる……。
ルールの意味や必要性を生徒自身に考えさせ、決めさせている学校はどれだけあるだろう。身近な教室や学校の中でさえ、自らの考えを表明し、結果に反映された経験をもたなければ、「国や社会を変えられる」なんて思えるはずもない。
では、学校が考えを正せば問題は解決するのか。教師が生徒の行動を縛ろうとする大きな理由に「世間の目」がある。生徒がちょっと目立った振る舞いをすると、学校の評判が落ちる。面倒を起こせばたたかれる。
子どものための習いごとや塾通いだったはずなのに、思うような結果が出ないといら立ち、追いつめてしまう親も、自立を妨げる原因になりうる。
入試や就活で、大人は若者に「主体性」を求める。ならば、その前から自分で歩く力をつけてもらうために、歯がゆさをこらえ、見守る。成人の日を、大人の側がそんなことを確かめ合う機会にしてはどうだろう。
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