中日の山井大介投手(41)が12日、鳥取市のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で自主トレを公開した。室内練習場では大野奨太捕手(32)を相手に初投げを披露。S字に動いて落ちる新球「11号」も試し、習得に意欲を示した。
立ち投げでの31球目だった。右手を離れた瞬間、右打者の外角に流れるように見えた球が本塁の手前で沈んだ。見守った「ワールドウィング」の小山裕史代表は「見たことないボールです」とひと言。投じた山井が手応えをにじませた。
「一瞬スライダーのように見えるけど、最終的には落ちて右に食い込む。スライダーとシュートとチェンジアップが交じったような球。練習して試合で使えればかなりプラスになる。早くマスターしたい」
「11号」と名付けられた新球。握り方を伝授した小山代表は「その人にしか投げられない魔球がある。これはずっと秘めていたもので、左の岩瀬クンが投げていた軌道に近い。S字に変化する」と説明する。
実現性が高まった背景にはここ3カ月の取り組みがある。昨季は硬くなったマウンドに対応しようとして右膝が折れていたとの指摘を受けたベテラン。昨年11月から同施設に通う中で、腰を高くして右膝を折らない投げ方を追求してきた。
小山代表は「膝の使い方、骨盤の使い方、硬いマウンドから来るダメージの解除はかなり徹底した。去年のように膝が早く折れていては投げきれないボール」と強調。「体で表現できたからこれからが楽しみ。もっと操れるようになる」と背中を押す。
新球だけでなく、体の仕上がりも上々。トレーニングも回数が増えたり、動かすところが多くなったりして、進化を実感している。「14年に最多勝を取ったときよりも肩肘の状態はいい。この1年にいろいろかけたい」。球界最年長投手の歩みは止まらない。 (高橋雅人)