イナホの観察日記   作:へっぽこ鉛筆

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 イナホ、可愛いよ。少し、書き方が変ですが、容赦してください。
 USAピョンの書き方難しいよ。


イナホの観察日記

「また、フミちゃんに「太った?」って言ったら、怒られたんだよ。」

 

「はぁ、ケータさんは乙女心が解っていませんなぁ」

 

 さくら第一小学校、少し前までは、学校は苦手な場所だった。友達も少なく、クラスで浮いている存在だった私には、どうしても居心地の悪い場所だったけど、最近は・・・この妖怪ウォッチとその愉快な仲間たちと出会ってからは、そんなものも気にならなくなった。ハチャメチャな日常と隣にいる友達・・・とは少しちがう薄気味悪い小動物たち

 

「ん、何か言ったダニか?」

 

「んーなんでもないよ、USAピョン・・・それよりもですね~」

 

 メガネの淵を少し上げて、隣でおしゃべりする男の子に少しだけ顔を近づける。こうして見ても、同じ妖怪ウォッチを持っている以外は、まったくフツーの男の子だ。

 

 あ、でも、今日は寝癖が右にハネてる。

 

「ん、どうしたの?イナホさん?」

 

「い、いえいえ、何でもありませんよー、なんでも・・・そうですね。ここは、素直に謝って、その後に「でも、そんな君も可愛いよ。」とか、壁ドンな展開キタ――(゚∀゚)――!!」

 

 と、テンションを上げて喋ってみる。少し引かれたかも知れないけど、それでも、自分の胸を抑えて、いつもの未空イナホに戻ってみた。

 

 少し困った表情で、愛想笑いを浮かべるケータさん。隣の妖怪二人に気をかけている間に、少しだけ鼓動を抑える。ホンの少しだけ、胸の痛みが収まったような気がした。

 

「とにかく、素直に謝るんですよー。できれば、セラピアーズのワルイデスヨみたいにクールに、フミちゃんさんをキュンキュンさせてやってください。」

 

「う、うん・・・がんばるよ。ありがとう、イナホさん。」

 

 チクリ、と、痛む胸を抑えながら、無理して大げさなリアクション・・・オタクの空気の読めない自分を演じてみる。安心したように隣のクラスに帰っていくのを見送れば、手のひらでチクチク痛む胸を抑えた。

 

「・・・ケータさんは、ホントに・・・乙女心が解ってませんね・・・っ・・・」

 

 誰にも聞こえないように呟いた言葉、隣で見上げるUSAピョンが、心配そうに見つめてきた。

 

 

 

 

 

「いやー、今日のセラピュアーズも、萌え要素が半端ではなかったですなぁー、しかも、変身シーン限ってはバンクでなく書下ろしとは、ふふふっ、眼福眼福~♪」

 

 パソコンのニヤニヤ動画をチェックしつつ、コットンピンクのパジャマに着替えたイナホは少し遅めに就寝する。いつものことだが、飽きもせず今季のアニメから、海外のSFドラマまで幅広くチェックする姿は、見ていて感心するものがある。

 

「それじゃーおやすみ~、USAぴょん♪」

 

「おやすみダニ、まったく、遅くまでネットなんかせずに、早く寝るダニよ。」

 

 これも、いつもの繰り返し、イナホはベットの中に、そしてミーは狭いゲージの中・・・ではなく、最近、ミー用に布団を用意されているのでそちらの中に潜り込んだ。

 

 こんな、いつもの繰り返しだが、ミーはミーなりに幸せを感じている。変なイナホという主人にも愛着も出来た、博士と過ごした日々とは違う充実感を感じていた。 

 

(まぁ、もう少し、普通の女の子をしてくれたら、ミーも嬉しいのだけどダニ)

 

 正直言えば、アニメや漫画、サブカルチャーにばかり興味を持って、不安に思うことがある。他の同級生が、恋の話などをしている時も、困ったように笑うだけのイナホ

 

(しかし、イナホに恋の話なんて、まだまだ、先ダニね。)

 

 少し考え事をしていたら、すっかり遅くなってしまった。イナホは朝が苦手だから、ミーが起こしてやらないと・・・

 

 

 

「ん・・・ッ」

 

(アレ、どうしたダニ?)

 

 イナホが寝返りを打ち、わずかに布団の音がする。気にせずに、寝直そうと目を閉じれば

 

「・・・ぁ、ゃ・・・ん・・・」

 

 また、小さく、甘い声が聞こえた。うさぎの長い耳が反応するのを、必死で我慢する。

 

「や・・・ひゃ、ん・・・ッ・・・」

 

 押し殺した声とともに、布をこするような、モジモジとした甘い息がコチラまで聞こえてくるようだ。

 

(イ、イナホ・・・そりゃ、ミーは、女の子らしくしろとは言ったけど、これは、早いダニッッッ)

 

 小さな、ベットが軋む音、布団の衣擦れがやけに大きく聞こえ、わずかに唇を噛んだような小さな悲鳴が響いた。それを眠ったふりをしながら、どうしても聞き耳をたててしまう。

 

 「ハァ、ハァ・・・」と荒い息とともに、イナホのベットから・・・心が締め付けられるような声が聞こえる。

 

「・・・ひゃぁ・・・ケータ・・・さ、ん・・・」

 

 その言葉とともに、イナホの小さな寝息が、聞こえたあとに、しばらく眠ることができなかった。

 

 

 

 

 

「それでさ、カンチとクマ・・・それにフミちゃんと、今度、遊園地に行く事になってさぁ」

 

 イナウサ探偵事務所のソファー、向かい合いながら二人と妖怪三人が麦茶を飲みながらそんな話を始めた。嬉しそうにはしゃぐケータさんに困ったように愛想笑いを浮かべながら、私はお茶を少しすする。

 

「はっはっはっ、これは、フミちゃんにカッコいいところを見せないと・・・そう、遊園地、それはモテ男になるための戦場、俺はフミちゃんと恋のジェットコースターに乗るんだッ」

 

「はー、ケータさん・・・テンションMAXですなぁ・・・失敗しなければ良いのですが・・・」

 

 若干、呆れながらも、また、心の奥底でチクリと針で刺したような痛み・・・ケータさんの口から、別の女の子の名前が聞こえるたびに、奥底の・・・小さな、私でも意外な女の子を意識する小さなモノ・・・不思議ですね。自分の名前を言ってもらえれば、すごく、ポカポカ暖かくなるのに・・・いまは・・・あうっ、イナホのライフはゼロよ。状態です。

 

「・・・イナホちゃん、すみませんねぇ。ケータくんあのスイッチが入ると、周りが見えなくなるんですよー」

 

「ほー、ああいう妄想を口走る姿は、木霊さんには見せられませんなぁー」

 

 妖怪執事のウィスパーさんと「そうですねー」と頷き合う。思わず目をそらしてUSAピョンが少し不機嫌そうに口を尖らせていた。ウィスパーさん、気づいてるんですか・・・うー、妖怪って、こういうのに鈍感だと思ってましたけど、侮れませんな。

 

 いやいや、あの、ジバニャンさんは、ケータさんと遊園地でニャーKBのライブの話をしてますし・・・やっぱり、妖怪にも個人差があるのですかね。あーでも、ニャーKBのライブ、これは確か、セラピュアーズの新OPではないですか・・・私も、一緒に・・・

 

「でさー、フミちゃんと一緒に観覧車で・・・『ケータ君、夕日きれいだね。』『君の方が綺麗だよ。フミちゃん』とか言って・・・俺とフミちゃんの幸せのゴンドラに乗るんだ」

 

「・・・こりゃ、もう病気ですねぇ」

 

 ウィスパーさんの言葉に激しく同意・・・ですよねー。しかも、顔が劇画風になってるし・・・一緒に行ったりしたら、きっと、ケータさんのどうしようもない姿を、無理やり見せられるんでしょうね。はぁ、妖魔界に行った時は・・・それなりに、かっこよかったのに・・・人間の女の子で、知ってるのは、私だけなんですよ。 

 

「テメー、いい加減にするダニッ」

 

 

 

 

 

 あー、またイナホ、悲しそうな顔をしている。

 

 あの夜以来、一応、主人であるイナホのこの表情をするとき、ケータが関係していることに気がついた。きっと、イナホは・・・コイツの事が好きなんだ・・・だったら、そう、告白すればいいのに、メリケンだったら、部屋に呼んで、ハグしてキスをして、すぐに感情を表現するのが常識なのに・・・いつもみたいに、イナホも、気持ちに素直になればいいのに、なんだか、すごくイライラしてしまう。

 

(ケータもケータダニ、なんで、イナホの気持ちに気付いてやらないダニッ)

 

 今日も、たまにイナウサ不思議探偵社に来たと思えば、他の女の子の話をして・・・あーあ、イナホの奴、珍しくユウカにモテカワコスメなんて教えてもらってたのに・・・本人も、無理してテンションの高いフリをしている。

 

 しかも、他の女の子と幸せになるとか口走りやがって・・・ヤロォー、もう許せない。

 

「テメー、いい加減にするダニッ」

 

 怒りが心頭しすぎて、ベーダーモードにもなれずに思わず叫んでしまった。

 

「テメェ、ケータッ、少しはイナホの気持ちを考えるダニ、イナホは・・・ん、もがっ!?」

 

「あはは、何を言ってるんでしょうねー、この小動物は――」

 

 後ろからイナホの身体が抱きしめて、口を塞ぐ、それでも気が収まらずに、ビーム銃を乱射しようとするが・・・

 

「こらッ、USAピョン、落ち着いてー、後でニンジンあげますからねー」

 

 明るい口調のイナホにも腹が立った。どうして、テメェーも怒らない。そのまま困ったような顔で、ジバニャン、ウィスパーと帰っていった。

 

 人と妖怪が二人っきりのイナウサ不思議探偵社は、妙に静かだった。後ろから抱きしめられた体温が伝わり、わずかに震える。

 

「イ、イナホ・・・泣いてる、ニダか?」

 

「――USAピョンのバカ・・・ッ・・・うっ・・・ひっぐ・・・なんで、言っちゃう、かなぁ・・・いっぐ・・・ぅ・・・」

 

 イナホの嗚咽が聞こえる。いつもバカみたいに明るくて、くだらないことではしゃいで、煩いオタク少女が、弱々しく傷ついて泣いていた。

 

(イナホ・・・気持ちをわかってなかったのは、ミーだったダニ・・・っ・・・)

 

 

 

 

 

「いやー、今日はケータさんとの、デートですねー。まさか私が、リア充爆発しろキタ――(゚∀゚)――!!の展開ですか?」

 

「どうでもいいけど、早く出かけないと遅刻するダニよ。」

 

 いやー、まさか小5で男の子とデートとは・・・これはもしかして、薄い本な展開(゚∀゚)キタコレ!!ですかなぁ・・・あ、やっぱり、こっちのカーディガンのほうが可愛く見えますかね。

 

「ねーUSAピョン、この服と、こっちどっちがいいかなー」

 

「またダニか?もう、どっちでもいいダニ、そっちのピンクの方が似合ってるダニよ」

 

 あんなに、最近までモヤモヤしてたのに、ケータさんに一緒に映画に行こうって誘われただけで、こんなに心がウキウキする。これは、もしかして、ウキウキビかアゲアゲハに取り付かれてるかも知れないですなぁー

 

 さて、シャレコ婦人と花子さんにコーデとメイクもお願いしたし、そろそろ出かけるでありますか・・・

 

「まぁ、元気になって良かったダニッ」

 

 隣で腕組みして頷くUSAピョンを無視して、新品のパンプスを履いて家を出た。

 

 

 

 

 

 少し早く着いたイナホ、さくら映画館の前でベンチに座りながら時計を見ている。

 

 顔を上げれば、普通の顔立ちの普通の少年が、はにかんで手を振っている。

 

 イナホの顔が明るくなり、立ち上がり駆け寄ろうとすれば・・・

 

「ケータ君、今日は私とデートだもんね。」「うんん、今日はケータは、私と遊ぶんだよね。」「違います。わたしと遊びに行くんだよねー」

 

「いやー、困ったなー」

 

 何故か、木霊さんがケータさんの腕に抱きついた。他にも、5年2組の女子が・・・何故か、ケータさんを奪い合ってる。

 

 鼻の下を伸ばして・・・くぅ、そんなに、ラノベの主人公みたいな展開が良いですか、このッ

 

「・・・・・・イナホ、これは妖怪のせいダニッ」

 

 見れば、モテマクールとキュン太郎がケータさんに取り付いていた。これは妖怪不祥事案件、一見フツーの男の子が、薄い本のようなハーレム展開になっちゃったら、完全に勘違いしちゃうよね。ですね。

 

 ワナワナと身体が怒りで震えてきた。あんな、だらしない顔をして・・・私の心も知らずに――

 

「行け、USAピョン、あの妖怪をやっつけてヤリなさい。」

 

「わかったダニ――ベーダーモードッ」

 

 何故かやる気満々のUSAピョンが、ケータさんを追い回す。

 

 妖怪が離れて、女子にモテなくなっても許してあげません。

 

 映画だけじゃなくて、ゴハンを一緒に食べてくれるまで、絶対に許してあげないですからw

 

 覚悟してくださいね。ケータさんwww

 




 
続きは気が向いたら書こうかと・・・


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