電子基準点の座標値の変動を見て地震を予測する「MEGA地震予測」なる有料メルマガを配信している、村井俊治・東大名誉教授が、2020年の年初に夕刊フジと週刊ポストに立て続けに登場し、「2020年は東日本大震災と同規模の地震が起こる可能性がある」と地震予測を披露しています。
測量学の権威が警鐘 「東日本大震災の直前と同じ兆候出現」(週刊ポスト2020年1月6日)
https://www.news-postseven.com/archives/20200106_1518049.html
MEGA地震予測「いま最も危ない」3エリアはここだ! “驚異の的中率”地震科学探査機構が解析(夕刊フジ 2020年1月4日)
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200104/dom2001040002-n1.html
村井俊治氏の主張は、伊豆諸島にある電子基準点「青ヶ島」において、11月10日から16日までの1週間で81cmもの高低変動が見られ、それが巨大地震の前兆だと言うのです。
しかしながら、この主張は荒唐無稽です。説明するまでもなく、1週間で81cmもの地殻変動が青ヶ島で起きたはずもないので、これは明らかなデマと言って良いでしょう。以下に説明します。
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村井俊治氏は、青ヶ島に国土地理院が設置している電子基準点が、1週間に81cmも上下動したと主張しているのですが、ハッキリ言ってこれはありえません。単なる測位ノイズか、解析上のエラーでしょう。
このときの実際のデータを見ますと、青ヶ島の電子基準点の座標値が動いたのは、実は11月10日のわずか1日だけであり、次の日には元に戻っているのです。
(国土地理院が公開するデータより作成。値の跳びが村井氏の主張する81cm(速報解)と数値が異なるのは、
国土地理院が同サイトで発表している値が最終解だからです)
もしこれがノイズや解析エラーではなく実際の地殻変動だとしますと、ある日、突然、青ヶ島が1mほども沈んで、次の日にはピョンと元に戻ったことになります。地震の前兆だなどという話以前に、大発見で大ニュースです。
もちろん、実際にはそんなことが起きたわけもありません。もし起きていたのなら、その日の青ヶ島の港は海水下に没し、大きなニュースになったのではないでしょうか。
※2020年1月7日後記:
この値の跳びについて国土地理院に問い合わせたところ、回答を頂けました。青ヶ島の電子基準点の受信アンテナの不調により、受信衛星数が確保できなかったことが原因だそうです。もちろん、実際の地殻変動ではないですし、大地震の前兆でももちろんありません。回答して下さった国土地理院の担当者の方、ありがとうございました。
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村井俊治氏は、週刊ポストなどの記事のなかで、青ヶ島の電子基準点が1週間に81cmも上下動した、という言い方をしています。しかし、実際のデータを見ると、青ヶ島の電子基準点の値が異常だったのは、上述したとおり11月10日の1日だけなのです。このことから分かることは、村井俊治氏は、実際の変動だとは信じられないような大きな異常値が出たにもかかわらず、元のデータをきちんと確認していないということです。確認さえすれば、異常は1日だけで次の日には元に戻っているので、単なるノイズかエラーであって実際の地殻変動ではないとすぐに推測できたはずです。
村井俊治氏には、このような明らかな荒唐無稽な話を吹聴してしまう行為を、即座にやめていただきたいと思います。また、夕刊フジや週刊ポストといったメディアにも、他のまっとうな専門家や国土地理院に裏取りすることもせず安易にセンセーショナルな記事を書くことを、今後は控えて頂きますよう強く望みます。もちろん、このようにいい加減なデータの取り扱いに基づいて有料の地震予測メルマガ「MEGA地震予測」を配信し続ける、地震科学探査機構(JESEA)も、強く批判されるべきではないかと思います。
昨日のニュース記事からココに辿り着いた者です。
有意義なブログありがとうございます。
が、
↓どちらも今年(2020年)の記事ですよね?
測量学の権威が警鐘 「東日本大震災の直前と同じ兆候出現」(週刊ポスト2019年1月6日)
MEGA地震予測「いま最も危ない」3エリアはここだ! “驚異の的中率”地震科学探査機構が解析(夕刊フジ 2019年1月4日)
ご指摘ありがとうございました。修正致しました。
知識がない故そんなものかと思ってました。
まぁ、かなりのエネルギーが溜まっているのは事実でしょうし、オリンピック期間中と言わず、2時間後に起きても驚きはしませんけど。
開催期間中の災害に対して国がどれだけの想定及び対策をしているのか不安です。