• TOP
  • コラム
  • 蔓延する「課金疲れ」の実態 ソシャゲに300万円費やした男性の告白

コラム

2019.01.27 13:00  マネーポストWEB

蔓延する「課金疲れ」の実態 ソシャゲに300万円費やした男性の告白

ソシャゲの「課金疲れ」の実態は?(イメージ)

写真1枚


 ソーシャルゲーム(ソシャゲ)は無料でできるものが多い反面、有利にゲームを進めるために、課金ガチャなどにお金をつぎ込むユーザーも少なくない。SNSなどでも、度々、課金額にまつわる話題が注目を集めている。

 そんななか、課金を繰り返すことに疲弊して、ゲームから離れてしまうユーザーも少なくない。いわゆる「課金疲れ」に陥った人たちだ。Twitterには、「金で殴るの疲れた」「ソシャゲ引退」「爆死続きで疲れた」など、その叫びが数多く投稿されている。

「私も課金に疲れた状態だと気づき、今年の1月上旬にソシャゲをやめたばかりです。トータルの課金額は300万円ほどですかね。借金をしなかったのがせめてもの救いです……」

 そう胸中を語ってくれたのは、都内でメーカーの営業職として働く30代の独身男性・Aさんだ。もともと課金をしないでプレイする無課金ユーザーだったというAさんがなぜ、課金にハマったのか。

「後に何も残らないゲームにお金を使うなんて馬鹿らしいと思っていました。2014年頃はアイドルの音楽ゲームをしていましたが、無課金でした。2016年には課金を誘発させるような対人要素のあるものや、イベントの頑張り次第でランキングやポイントに応じて報酬がもらえるものもプレイ。『勝ちたい』『報酬がほしい』という思いが強くなり、総額10万円ほど課金しました」(Aさん・以下同)

 その後、Aさんは「ゲームに初めてこんなにお金を使ってしまった」という罪悪感から、一旦ソシャゲから距離を置いた。しかし、再び課金生活が始まることになる。

「2017年の6月ごろ、友人から『対人要素やランキング報酬がなくて気楽にできる』という謳い文句で紹介されたゲームにドハマりしました。重厚なストーリーで登場するキャラが魅力的で、何としてもガチャで手に入れて自分のスマホで愛でたい願望にかられました」

 こうなったらもう止まらない。どんどん課金額が増えていく。

「最初は、キャラが出ても出なくても月2万円くらいに抑えていました。でも次第にエスカレートしていき、12万円でキャラが出なくても、次の1万で出ると信じて13万円で出たときは感動に震えました。1体で満足できなくて、コンプリートを目指して20万円以上つぎ込むことも……」

◆ゲームプレイよりもガチャを引くことが目的に

 年収450万円で、手取りは月収約30万円だというAさん。ごく一般的な会社員だけに、無理はあった。課金で少なからず罪悪感を抱いていたというが、正当化してうまく自分をごまかし平静を保っていたという。

「Twitterで『キャラ名+爆死』で検索するんです。例えば、自分が3万円で1体出たなら、同額で引けていない人もいる。そうやって“自分は運がいい方だ”と思い込むようにしていました。それから、課金で1万円使ったら飲み会に2、3回行ったと思えばいい、5万円なら今月は残業代が出るから実質無料、10万円以上なら海外旅行に行ったとか、PCが壊れたから買い替えたのと同じ……と思い込むようにしていました」

 彼の金銭感覚を狂わせたのは、Twitterのゲーム専用アカウントの存在も大きいという。

「フォロワーは、みんな当たり前に月に数万~数十万単位で課金しています。通常の金銭感覚ではどう考えてもおかしい。でも、それが日常化して、何も疑問に思わなくなりました。やがて課金なら迷いなく1万円出せるのに、家電や服などのモノにはお金を出せなくなりました。だって、50連くらい回せるからです。すべてが課金優先で課金換算してしまう。もはや、課金することが人生の喜びといっても過言ではなかったのかもしれません。Twitterに『単発で引けた!大勝利!』『〇万でも出ない……止まるんじゃねぇぞ……』『課金は家賃までにしとけよ』などと投稿するのも楽しくて、やめられませんでした」

 しかし、Aさんは次第にガチャで引いたキャラの育成が疎かになってきた。ゲームプレイよりも、ガチャを引くこと自体に重きが置かれるようになってしまったのだ。こうなるともう末期症状だ。そんなAさんを救ったのは、皮肉にもこのゲームを紹介した友人の言葉だった。

「『ゲームよりガチャが好きだよね。疲れない? その生活?』と釘を刺され、ハッとしました。確かにガチャは、私にとって一種のお祭りで、それを楽しむためにゲームがあったように思います。でも、それがいつの間にか、精神的にも経済的にも大きな負担になっていた。今思えば、気づかないふりをしていただけで、“課金疲れ”だったんですね。結局、友人にアカウントを譲渡することに。これだけ費やしたのだからもったいないとも思いましたが、気持ちがスッと楽になりました」

「課金疲れ」を自覚していればまだしも、気づかないふりをし続けることは危ない。潔い引退も一つの選択肢といえるかもしれない。

関連記事

トピックス