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(八郎)僕と喜美子は ちゃうで。
違う人間や。
次世代展に応募する作品 作りぃ。
♪~
(喜美子)わっ… わっ…。
わあ~ ああ… あかん。
うわ~。 あ~ ハハッ。
何 笑てんねん?
怒ってやってたら怒った形になってしもうた。
何や 怒った形て?何や これ もう めちゃくちゃやん。
アハハッ。真面目にやれや。
やってるわ ハチさんが怒ったからや。
怒ってへんわ。怒ったわ。
ちょちょちょ もう…ええから やめとけ 遊んだらあかん。
遊んでへんわ。 やろう思うたらまともにやれへんかっただけや。
ちゃんとしぃ。
はい…。
フッ フフフッ…。
何が おかしいねん。
いや 何かもうへんてこな形になってまう。
分かった ごめん。
ごめんな。
集中してやりぃ?
♪~
一旦 集中すると 喜美子は喜美子の世界へ深く入り込みます。
♪~
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
♪~
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
(柴田)タイトルは「春のお皿」?何や 平凡やな。
奇をてらわない方がええかと思ったんです。
あ~ まあ 確かにな女性が応募すんのは珍しい。
初めてかもしれん。 控えめな方が好感持ってもらえるかもな。
金賞狙ってます。ハハッ そら ありえんな。
けど まあ結果をお楽しみにいうとこか。
はい ありがとうございます。ほな 持ってくな?はい お願いします。
応募したのは 八郎のためでした。
喜美子が頑張ることが 八郎の頑張りにつながればいいと思ったからです。
八郎の新作作りは うまくいっていません。
♪~
そして 2か月が過ぎました。
(マツ)ミッちゃんの卵焼き今日は 何が入ってるんやろ?
(三津)何が入ってるんでしょう~?
(武志)ニンジンや。ニンジンじゃないよ。
卵焼きの中に入ったらこれは もうニンジンじゃありません。
好き嫌い言うてるとな もう そこら中ニンジンだらけにされるで。
ほんまや。(百合子)ごはん 替えた?
うん 替えた。
いつものお米より1段上の高いお米にしました。
そうやんなぁ おいしいもん。おいしいよなぁ?
百合ちゃん うそやで。
茶わんが替わっただけや。(百合子)えっ?
(八郎)百合ちゃんの茶わん喜美子が作った新しい茶わんや。
えっ? えっ そういうこと?
茶わんが替わっただけでこんなに ごはん違って感じんのん?
百合子の その顔 額に入れたいわ もう。(笑い声)
(マツ)なあなあ この卵焼きのお皿も 喜美子?
そやで。 取り皿は ハチさん。これもお父ちゃんや!
そやで。 ここにあるお皿やお茶わんはなぜ~んぶ かわはら工房で作った作品やで。
そのうち ここにミッちゃんのも加わるんやねぇ?
いやいやいやもう 私なんて 頭でっかちでまだ実践できてませんから。
ハチさん 忙しくてなかなか 手ぇ離せへんもんなぁ。
(百合子)お姉ちゃんは 教えるわけにいかんの?
ああ…。無理や そんな才能ないもん。
いや 喜美子が教えたってもええなぁ?
よろしくお願いします!
ほな やるからには厳しゅうやらせて頂きます。はい!
1…。(2人)2 3 4 5 6 7…。
痛っ。すいません。近いなぁ。
(2人)2 2 3 4 5 6 7…。あっ…。
(所沢)この町が のうなってな。(信作)はい。
(所沢)合併なんてことになったらよ役場のお前の椅子もなくなるでぇ。
そら 困りますねぇ。
危機感持てや!もっと 若いお前が 危機感持て!
はい…。
「若いお前が 危機感持て」言われてもどないせえっちゅうねん。
どうしたらええんやろな?
そら… 人口を増やす 家庭を築くんや。
一緒に築くか?
あ…。信にい…。いや… じょ 冗談や。
うちが 何であかまつ行くようになったか分かる?
うん。
ほんまに? 気付いてたん?
気付いてた。
おじさんが よう行ってた店やからや。
「お父ちゃん あかまつでどんなふうに飲んでたんやろ。お父ちゃんと 一回あかまつで飲んでみたかったなぁ」とかそんなことを思いながら行ってんのやろ?
お父ちゃん恋しくなると行ってんねん。
末っ子で甘えん坊やからな 百合子は。
ごめん… ごめん ごめん…。
うち… 人口増大に貢献してもええよ。
家庭を築いてもええよ。
結婚前提に おつきあいする?
してくれるん?
多数決や。うん。
ええ人~?
は~い!はい!は~い!
まあ ちょっとずつ進んできたな。はい。
ああっ!
もっかい やってみぃ。基本が大事や。 な?
はい…。ほな おむすび作ってこようかな。
食べるやろ?はい!
ハチさんもな?うん。
うん?
ほんまに不器用やな。ああ…。
喜美子は上手やったで。最初に教えた時から。
はい…。
どうしても作りたい言うてな…しゃあない教えたったら徹夜してやってた。
それが初めてお金になった言うてうわあ~ はしゃいでな。
回想 うれしい!ちょい ちょい ちょい 声大きい…。
うれしい うれしい!回るな。
うれしい!あ~!
(三津)へえ~…。
そっから あっちゅう間や…。
(八郎)僕が教えんでもできるようになって…。
♪~
(八郎)これは 僕が教えてない僕とは違う作り方や。
(八郎)川原喜美子 初めての作品。
僕を超えよった…。
才能のある人間は無意識に人を傷つける言うたな?
喜美子が百合ちゃんの茶わん作ってる時も卵焼きのお皿作ってる時もな僕の横で… うまくいかへん 僕の横で…。
喜美子に横におられんのは…。
しんどいなあ…。
♪~
フフッ!
フフ… フフフッ。
先生のこと… 襲っちゃうかも…。
子どもが出来たんやて!よほどの女や いかついでえ。
「お父ちゃんの本当の気持ちが知りたいです」。
お母ちゃん!(八郎)お義母さん…。
結婚する前の頃の作品に戻ろうと思てんねん。
さっき うそついた。