E-Inkで雑誌も読みたい。
E Inkはタブレットの到来(iPadが電子ペーパー採用の電子書籍リーダーを全滅させると大勢が予想していた)に耐えただけでなく、成長を続けています。しかし、ラップトップやスマホの天板に置かれる省電力性スクリーンとしてだけではありません。E Ink社はCESで、AmazonのKindleなどのデバイスをフルカラー化するかもしれない次世代の電子ペーパーをお披露目したのです。
CESでのこの数年間、E Ink社はカラー電子ペーパーのプロトタイプを、大きなデジタルフォトフレーム上で有名な絵画作品を表示して展示してきました。E Inkのテクノロジーはサイド及びバックライトなしでも見えます。なので過去にプロトタイプが表示していた画像は、本当にキャンバスに描かれたように見えたのです。その幻想が挫かれたのは、フォトフレームが次の画像を読み込むまでに、記憶が正しければ30秒ほどかかっていた時。電子書籍リーダーがテキストや画像の次のページを表示するまで、そんなに待ちたい人なんていません。
カラーのE Inkディスプレイは、AmazonのKindleのようなデバイスで現在使われている白黒バージョンと同じように機能します。
しかしカラーバージョンでは、E Inkディスプレイのピクセルとして機能する小さなマイクロカプセルを、黒と白の粒子だけでなく色のついた粒子を使って動作します。それらが組み合わさることでゆっくりとフルカラー画像を作り上げていくのです。E Ink社はそういったピグメントを戦略的に混ぜて組み合わせれば、全体でおよそ4万色が再現されると推定しているとか。
同社は、フルページの再描画時間がおよそ2秒で完了するようにテクノロジーを改善したとCES 2020でアナウンス。与えられたデモ機を触ってみましたが、カラーのE InkはKindleに搭載されても十分使えるくらい速くなっていたように思いました。
LCDやOLEDディスプレイで再現された画像ほど鮮明ではありませんが、E Inkにはそれらのテクノロジーと比べて独自のユニークな長所があります。それはE Inkがより丈夫で柔軟で、明るい日差しの下でも見やすいこと。また、カラーの画像が生成されても外部電源などを必要とすることなく、いつまでも画面上に残しておけるほど消費電力が少ないという点。
Kindleのようなデバイスにメリットを感じるのであれば、その魅力はカラー版のE Inkにも当てはまります。Amazonといった企業がカラー電子ペーパーを取り入れることの唯一のマイナス面は、さらにコストがかかるということ。しかしE Inkは、コストが増えることが消費者にとって抑止力とならないよう模索しています。
E Ink社は新型カラー電子ペーパーの別モデルとして、小型でもっと鮮やかな色を出せる製品も開発。こちらは、色の正確性よりも買い物客の目を引くことを最優先にデザインされた店頭ポップ用を想定。カラーのE Ink店頭ポップは、開発者向けに販売されていますが、消費者向けデバイスとして幅広い色スペクトルに対応するE Inkスクリーンの登場はいつになるのかはまだ不明。 グラフィックノベルを本来の色合いで表示するフルカラーのKindleの登場はもう少し先になりそうですね。