【台北=伊原健作】台湾の総統・立法委員(国会議員に相当)選挙が11日投開票され、対中強硬路線をとる与党・民主進歩党(民進党)の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統(63)が勝利を宣言した。香港の政情混乱を追い風に対中融和派の最大野党、国民党の韓国瑜(ハン・グオユー)高雄市長(62)らを退け、再選を果たした。
中央選挙委員会の午後8時半(日本時間同9時半)時点の集計によると、蔡氏の得票率は約57%と韓氏を約20ポイントの大差でリード。韓氏は蔡氏に「電話で祝意を伝えた」と述べ、敗北を認めた。
4年に1度の総統選には蔡氏と韓氏に加え、少数政党の親民党、宋楚瑜(ソン・チューユー)主席(77)の3人が出馬。事実上、二大政党候補の蔡氏と韓氏による一騎打ちの争いとなった。
最大の争点は中国との距離だった。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2019年1月、台湾を香港と同じく(高度な自治を認めるという)「一国二制度」で統一する方針を明言。6月からは香港の政情混乱が深まり、台湾に「香港の二の舞いを避けたい」との警戒感が高まった。
蔡氏は選挙戦で「総統選は対岸(中国)との闘いだ」と統一拒否を訴えた。「自由で民主的な生活を続けられるかを決める選挙だ」と位置づけ、中国に取り込まれることへの危機感を強めた若者らの支持を得た。
対立候補の韓氏は中国との経済交流で「台湾を金持ちにする」と主張し、低所得に不満を持つ層を中心に支持を集めた。ただ香港問題の激化で守勢に立つと親中的な姿勢を封印し、蔡政権の批判票を取り込む戦略で追い上げを図った。
一方、立法委員選は二大政党による接戦とみられる。与党・民進党は16年の前回選挙で68議席を獲得し、初めて過半数を獲得した。ただ今回は地域組織の力が強い野党・国民党が巻き返し、民進党が過半数を維持できるかが焦点だ。
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