高配当利回り株に投資する人がはまる落とし穴

本当に「おいしい」と言えるのだろうか?

金利がほとんどつかない時代ということもあり、高配当利回り株が人気だ。だが「本当においしい」と言えるのだろうか(写真: taa22/iStock)

筆者が勤める楽天証券には、「トウシル」というオンラインメディアがある。もちろん東洋経済オンラインほどではないが、PV(ページビュー)が増えつつあって、編集部はPV獲得に熱心だ。

「高配当利回り」が注目される「3つの要因」

PVランキングの上位となるテーマは、「株主優待」が定番だが、このテーマほどではないにしても、最近は「高配当株」、より正確には「高配当利回り銘柄」に対するPV的注目度が高まっている。

トウシルの編集部と常連執筆者の間の分析では、高配当株への注目の高まりについて3つの要因が挙がっている。

第1に、世の中が低金利で、利回りのある投資対象が乏しく、日本株の配当利回りに注目する投資家が増えていることだ。東証1部銘柄の単純平均で1.9%、加重平均で2.3%の利回り(いずれも日本経済新聞社の予想利益ベース)は、銀行預金の「ほぼゼロ金利」に対して魅力的に見える。

また、個々の銘柄に注目すると、JT(2914)6.5%、三菱商事(8058)4.6%、三菱東京UFJフィナンシャル・グループ(8306)4.4%、オリックス(8591)4.2%、NTTドコモ(9437)4.0%、といった高配当利回り株がある(以上の5銘柄はトウシルに窪田真之氏が書いた「年初から大荒れの日経平均。利回り4~6%の高配当株から、コツコツ投資」に挙げられていた銘柄だ)。

第2に、金融庁そのほかの毎月分配型(あるいは奇数月分配型)の投資信託に対する批判から、金融機関がこの種のファンドの販売に消極的になったり、また、投資家自身が賢くなって、この種のファンドを避けるようになった。その結果、インカムゲイン(配当・分配金などの現金収入)を指向する投資家が、高配当株に注目するようになったのではないか、という分析だ。

次ページ3つ目の要因は?
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  • 3高勝ち組c4be398abc50
    少なくとも馬券に投機するよりは、はるかにマシだと思うんだが。
    up8
    down3
    2020/1/11 17:01
  • yahood990d4ee623a0fbd7
    強く支持させて頂きます。高配当株式と同様の手口で家賃収入目的の不動産取得を推奨してくる愚劣な金融アドバイザーもいますが、株式以上に分散しにくい実物不動産がよい道理がありません。

    株式売却サービスも役に立つ可能性はありますが、問題は現金化に際していちいち税金を盗られるところでしょうね。政府も貯蓄より投資とか本気で言うのなら、零細個人投資家をいたぶるのはいい加減にやめて頂きたい。預金をおろすときには税金がかからないのですから。
    up10
    down11
    2020/1/11 07:36
  • BLUEcdff4db1249b
    分散投資も重要だと思うが、半期もしくは通期ごとに、リバランスをすることが重要だと思う。
    筆者のいう定期売却も、リバランスの一種。
    高配当-ディフェンシブ、高配当-バリュー、景気敏感株、テーマ株など、あらかじめ決めた配分から外れた分を機械的に調整(損切りと益出し)するのは、とても難しいからね。
    up1
    down4
    2020/1/11 13:51
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