京都に「世界中の高級チョコ店」が溶け込む必然

町家をはじめとする歴史的景観になじむ

京都に、高級チョコレート店がひしめきあっている。びっくりするほど美しい。マリベル京都本店(マリベル提供)

京都は今、世界的有名ブランドが集まるチョコレートの激戦区になりつつある。チョコレート店と言えば、「チョコの街」と言われる東京・銀座や丸の内を思い浮かべる人も多いだろう。銀座や丸の内のチョコレート店は商業ビル内に多く出店している。だが京都は東京とは異なり路面店や一戸建てが多く、ざっと数えて、市の中心部にチョコレート店が30以上もあるのだ。

京都では2019年も、出店が相次いだ。2月には、1919年創業のベルギー王室御用達チョコレート店「マダム ドリュック」が日本初店舗を祇園に、10月は「セゾン ド セツコ 京都ショコラトリー」が三条の老舗旅館「柊屋」のそばに、12月にはアメリカ・シアトル生まれのチョコレート店「フランズチョコレート」が河原町にオープンした。

「おみやげチョコならわかるけど、京都でアメリカやヨーロッパの高級チョコ?」と不思議に感じる人も多いかもしれない。しかし京都は、世界的なチョコレートブランドを惹きつける力がある。それは世界的な知名度、観光客の多さ、そして守られた景観と、「京町家」の存在だ。

京都高級チョコの火付け役はNYのブランド

火付け役は、2012年、三条通にオープンしたニューヨークの高級チョコレート専門店「マリベル」だった。

マリベルは、日本1号店に京都を選んでいる。「唯一無二の世界観を作りたかった」という創業者兼CEOマリベル・リーバーマンさんは物件に心を動かされ、完成した空間に感激したという。ブランドカラーのブルーを基調にアンティーク家具やシャンデリアを配し、店内には独自の世界が広がる。

「うなぎの寝床」とよばれる京町家の、間口の狭さ、細長さを生かしたディスプレイ(マリベル提供)

2016年には、同じく三条通に、パリの有名チョコレートブランド「ジャン=ポール・エヴァン」がオープンした。

「日本と違い、パリのジャン=ポール・エヴァンはほとんどが路面店です。パリのコンセプトをそのまま日本に持ってくるなら、と考えたら京都になりました。ここは元町家が建っていた場所で、景観に店舗のデザインが無理なくマッチしました」(ジャン=ポール・エヴァンジャポン社長 楠善光さん)。歴史的景観が守られたパリのショコラトリーは、京都にもなじんでいる。

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  • nami6722ade88ce0
    ジャン=ポール・エヴァン氏はショコラティエ界の中では本当の天才だと思う。いつまでも現役でいてほしいね。対するピエール・マルコリーニは秀才。
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    2020/1/11 08:54
  • b31fc2e9370d
    日本人のみならず世界中から観光客が来て金になるからというだけの話だろ?
    東京って確かに、人口も多いし、外国人が来ることも多いけど、観光客というよりはビジネスで来ている人間が多いから、ある程度の数は捌けても限界があるのでは?
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    2020/1/11 09:30
  • AJRAbdebf3631e11
    街なかにチョコ専門店があると、心がほっくりします。
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    down0
    2020/1/11 11:44
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