いつでも自宅で自由に楽器が演奏できたら……。本誌の読者であればそんな夢を抱いていることだろう。そんな夢のような空間を紹介していくこの連載、初回にご登場いただくのは、サックス&キーボード・プレイヤー/プロデューサーの本間将人氏だ。
夜中でもバンドのリハーサルができるスタジオ
ここで録音したホーンが作品で使われています
サックス&ブラス・マガジンVol.23に掲載した記事を再編集しています
屋外への音漏れは測定不能レベル
本間氏は自宅の新築を期に、1階にプライベート・スタジオ、Studio Coupeを設けた。完成したのは「管楽器が吹ける部屋」どころではない、”ドラムがたたける”レベルのスタジオである。
「小さいころ、母親の実家の離れにスタジオがあって、毎週末父親がバンドのリハーサルをやっていて。コンガからドラムから楽器がなんでもあって、すごく楽しかったんですよね。現実的にも、リハができるスタジオが欲しかったんです。リハスタを使うにも結構お金がかかるし、メンバーの予定とリハスタの空きが合わないとかもある。ドラムも家でたたきたいし、鍵盤も弾いて、もちろんサックスも吹いて……。ぜいたくかもしれませんが、夢が叶いました」
スタジオ施工に当たって、本間氏が依頼したのは、さまざまな規模のスタジオで実績のあるアコースティックエンジニアリング。同社でプライベート・スタジオを施工したミュージシャンたちからの推薦を受けてのことだそう。取材に同席してくれた同社の入交研一郎氏は、本間邸施工についてこう説明する。
「本間さんと建築業者さんから、1階をコンクリートで造るというアイディアを出していただいたので、通常の木造住宅よりも条件は有利でした。躯体もがっちりしていますし、工事費も通常のスタジオよりかなり抑えた形でできましたね」
本間氏の自宅は閑静な住宅地にあるのだが、近隣への音漏れは全く無いと入交氏は語る。
「低コストですが、性能はすごく高いです。80dB以上の遮音性能がありますので、ドラムの音漏れは屋外から測れないレベルに抑えられました。業務用のスタジオと全く変わらないクオリティですね。夜中にバンドのリハをやってもご近所から苦情が出るようなことはありません」
エンジニアも絶賛する響きの良さ
外に対する遮音はもとより、スタジオ内の音場についても本間氏は満足しているようだ。
「リードを選ぶときも、壁に近いときとか、ちょっと離れたときとか、いろいろな響きをシミュレートをしながら選べます。またジャンクフジヤマやSOFFetの新作で、ここで録音したホーン・セクションが既に使われています。エンジニアもいいアンビエンスが録れると言っていましたね。リハの場合も、マイキングして録音しているんですが、音質が良いので、リハーサルの復習も詰めたところまで聴けるんです。だから一回のリハーサルの意味合いも違ってくるんですよね」
練習はもとよりバンドのリハ、レコーディングまで可能な”音楽空間”。”ただの防音室”からは数段上にある最高の拠点を得たことで、本間氏の活動はさらに充実していくことだろう。
本間将人
Profile
洗足学園短期大学ジャズ科を卒業後、早稲田大学ハイソサエティーオーケストラに所属。バークリー音楽大学留学中に上原ひろみバンドに在籍。帰国後は自身のグループJAM companyを軸に、DREAMS COME TRUE、RIP SLYME、スキマスイッチ、ゴスペラーズ、平井堅、中島美嘉、大黒摩季らのライブや、スガシカオ、BONNIE PINK、岡本真夜、いきものがかり、水樹奈々などのレコーディングに参加
Presented by Acoustic Engineering
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