香港=金子和史
香港有数の歓楽街、蘭桂坊(ランカイフォン)。坂の両側に飲食店やバーが並び、アジアや欧米の人たちで毎夜にぎわう。そのビルの一角に、日本酒バー「吟(ぎん)」はある。
昨年11月9日午後9時過ぎ、ほんのり明るい店内に入ると、テーブル席にアジア系の男女4人と日本人3人、カウンターでは欧米人が1人。それぞれ日本酒のグラスを傾けていた。英語と日本語が入り交じり、にぎやかだ。
「搾りたてや、ひやおろし、季節感を大事にして日本酒を出すことにこだわっています」。経営する百瀬(ももせ)あゆちさん(42)が迎えてくれた。
香港では、日本の文化や日本食が身近だ。香港の飲食店のうち、日本食レストランは中華の次に多く全体の7・7%。「日本食が広がる延長で、日本酒も好まれている」と百瀬さん。現地の人は日常的に週に2~3回、日本食を口にするという。
百瀬さんが香港に移住したのは2010年。08年、香港でアルコール度数30度以下の酒が免税の対象となったのを日本酒を広めるチャンスと考えたからだ。米・ニューヨーク(NY)から移り、11年にこの店を構えた。ただ当時、現地の客が注文するのは「獺祭(だっさい)」や山形の「十四代」、新潟の「久保田」といった有名銘柄ばかり。「ブランド志向で、多くの人が知っている酒じゃないと飲んでもらえなかった」
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