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【政治】

外国人支援拠点、8割整備 災害時に多言語で情報提供

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 災害時に外国人を支援する拠点として、国が設置を推奨する「災害多言語支援センター」について、四十七都道府県と二十政令市の八割に近い五十二自治体が地域防災計画に明記するなど開設の体制を整えていることが、共同通信の調査で分かった。多くの外国人が被災した阪神大震災から二十五年。日本滞在者が増え、東京五輪・パラリンピックが今年開かれる中、情報弱者を生まない取り組みが広がっている。

 近年の災害多発を受け、センターを設置した経験がある自治体は二十三に上る。しかし、センターが自治体の災害対策本部と連携して翻訳した情報が外国人に届いていないことも多く、周知方法や外国語のできる人材確保などが課題だ。

 調査は昨年十一~十二月に実施。担当者に文書で尋ねた。

 災害多言語支援センターは、阪神大震災で民間団体が立ち上げた「外国人地震情報センター」の経験から必要性が指摘された。制度化はしていないが、災害時の開設を総務省も推奨。自治体が地域国際化協会などと事前に協定を結ぶことが多い。外国人の住民が一義的な支援対象だが、観光客対応を想定する自治体もある。

 調査では、センター設置について「地域防災計画や協定で体制整備を定めている」とした自治体が四十八。「明文化していないが体制整備ができている」は四だった。「体制整備はしていない」は十五だったが、準備中で年度内に整備する予定とした自治体も複数あり、大半で枠組みはできつつある。

 センターの役割で想定していることを複数回答で尋ねると「多言語情報の発信」が六十五自治体で最多。「相談窓口の設置」「行政情報の翻訳」(いずれも六十自治体)、「支援ニーズ把握のための避難所巡回」(四十九自治体)の順だった。センターで対応する言語は各地で異なる。二〇一一年の東日本大震災では茨城県が英語や中国語、スペイン語、タイ語など八言語で情報発信や相談受け付けをした。

<災害多言語支援センター> 災害発生後に地域国際化協会の事務所などに拠点を置き、情報発信避難所巡回などを行う。被災自治体が設置し、地域国際化協会が運営する「公設民営」型が増えている。1995年の阪神大震災で民間団体が設立した「外国人地震情報センター」、2007年の新潟県中越沖地震で新潟県などがつくった「柏崎災害多言語支援センター」の経験から、一般財団法人「自治体国際化協会」が設置・運営マニュアルを作成。総務省とともに体制整備を促している。

 

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