昨年7月に滋賀県営「びわこボートレース場」(大津市)で開かれたレースで元ボートレーサーの西川昌希容疑者(29)=東京都練馬区=が八百長をし、現金300万円を受け取ったとされる事件で、現金を渡したとされる親戚の会社員増川遵(じゅん)容疑者(53)=津市=が、不正の発覚を避けるために西川容疑者の出場するレースの舟券を少しずつ買い増していたことが、捜査関係者への取材で分かった。
モーターボート競走法違反(贈収賄など)の容疑で2人を逮捕した名古屋地検特捜部は、一度に特定の舟券を大量購入すると不正に気付かれる可能性が高くなることから、オッズを見ながら小分けに購入していたとみて調べている。
逮捕容疑では、2人は事前に打ち合わせ、西川容疑者が昨年7月2日の2レースでわざと4着と2着になり、その見返りに増川容疑者から300万円を受け取ったとされる。増川容疑者はその2レースを1着から3着までを着順通りに当てる3連単で的中させた。最終的な倍率はそれぞれ50・1倍と57・3倍だった。
特捜部によると、ボートレーサーは不正を防ぐためにレース前日に宿舎入りして通信機器を預けるが、西川容疑者は検査をすり抜けスマートフォンを持ち込んでいたという。ボートレースは基本的にレース前日に枠順が発表されるが、スマートフォンを使い、2人はレース直前まで連絡を取り合っていたとみられる。
西川容疑者は当時、選手会三重支部所属でA2クラスだった。その後、最上位のA1クラスに復帰したが、昨年9月末に引退した。
モーターボート競走法では、選手が賄賂を受け取ったり、要求したりしただけでも3年以下の懲役が科せられる刑罰が規定されている。