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やまゆり園 事件考
「裁判に臨む態度ではない」 「美帆さん」の母、被告批判

社会 神奈川新聞  2020年01月09日 06:00

中学1年時の美帆さん(遺族提供)
中学1年時の美帆さん(遺族提供)

 「津久井やまゆり園」事件の犠牲者、美帆さん(当時19)の母親は8日の閉廷後、被告について「とても裁判に臨む態度ではないと思いました。残念です」とする談話を報道各社に寄せた。公判に参加しなかったが、代理人の弁護士から報告を受け、「この先の裁判がどうなるのか、心配です」とも述べた。

 横浜地裁と弁護側に対する不満も明かした。代理人によると、母親は姓を明かさずに「美帆」のみの呼称で審理してほしいと地裁に求めたが、「フルネームか匿名か」とされ、認められなかったという。「甲A」の呼称が決まり、7日夜に「生きていた証しを残したい」と名前の公表に踏み切った。

 公判の証拠として、横浜地検を通じて地裁に提出した美帆さんの写真12枚も採用されなかったという。乳児から事件2日前までの成長の記録だったが、「弁護側が争点でないとして同意せず、裁判所も説得しなかった」と代理人は説明した。

 それぞれに思い出を添え、葬儀の遺影にした中学1年時の写真には「音楽が大好きでいきものがかりの歌にあわせて踊っていました」とつづっていた。母親は「裁判員や被告人に見てもらい、美帆のこと、美帆が一生懸命生きていたことを知ってほしかったのに、とても残念です」と打ち明けた。

【おことわり】「美帆」さんは、匿名で審理されていますが、遺族の意向により実名で掲載します。


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