fic-tion’s diary 

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今年の目標は立てましたか?

短編小説:ありのママ

今年の目標

 

今回の登場人物紹介

斉藤ショウ:小学六年生の男の子
ユウ:ショウのお兄ちゃん

 

 冬休みの宿題を持ってお兄ちゃんちに行く。

お兄ちゃんが本を読んでいた。

「何読んでるの?」と僕が聞くと

「帝王学の本。」とお兄ちゃん。

ふぅ~ん。ジャムおじさんの次は帝王になるのか?と僕は思いながら、冬休みの宿題を始める。

 

「まだ、宿題終わってないのか?」とお兄ちゃんが言う。

「あと、今年の目標。これが一番難しいんだよね~」と僕。

 

「なんだ。そんなの簡単だよ。今年の目標は【死ぬまで生きる】だよ。」とお兄ちゃん。

僕はビックリする。だって、美姫さんと同じことを言ったから。

 

「お兄ちゃん。それ、美姫さんも言ってたよ。」と僕が言うと

「だろうな。母さんが毎年言ってたから。ショウ、それ宿題に書いたら先生がビックリしただろう。」とお兄ちゃん。

 

「お兄ちゃんも書いたの?」と僕が聞くと

「書いた書いた。だってさ、小学生の頃の宿題に“家族の人と考えましょう”って書いてあったからな。」とお兄ちゃん。

「“家族の人とかんがえましょう”は、禁句だよね。」と僕が言うと

「“母さんと考えましょう”は禁句だな。」とお兄ちゃん。

 

とその時、お兄ちゃんの家のインターフォンが鳴った。

 

「はぁーい」お兄ちゃんが出て行く。

誰だろう。と僕が玄関をのぞき込むと知らない人が立っていた。

「こちらの家の方ですか?」とその知らない人が言う。

 

何かの勧誘の人だなと僕は思う。

 

「いえ。違います。」とお兄ちゃん。

えっ?ここはお兄ちゃんの家じゃないの?と僕がびっくりする。

「じゃあ、家の方はいつ帰ってきます?」と知らない人が言うと

「いや~。知りませんね。顔も見たこと無いですから。」とお兄ちゃん。

知らない人の表情がこわばる。

「あっ。また、きますね。」と知らない人は慌てた様子が帰っていった。

その後ろ姿に「あっすいません。この家の持ち主にあったらよろしく伝えてください。」とお兄ちゃんが叫ぶ。

 

「変なヤツだな。足早に帰っていったぞ」と言いながらお兄ちゃんが僕の所に戻ってくる。

「お兄ちゃん。この家、誰のものなの?」と僕が聞く。

「借りたのは不動産屋。大家は知らないな~。」とお兄ちゃん。

「あっ、ショウ。今年の目標は【脱美姫】でいいんじゃないか~」とお兄ちゃんが言った。

お兄ちゃん。どっぷり浸かってるから無理だよ。

 

 

  

おしまい

 

 

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※この短編小説ありのママは、ほぼフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

 

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  • 森下礼 (id:iirei)

    「死ぬまでいきる」と似たような言葉に「私がいるときには死はいない、死がいるときには私はいない」というギリシャの哲学者:エピキュロスの名言があります。・・・死は怖いことではないと主張しているのですね。

  • まさき りお (id:ballooon)

    遅くなりました(☓Д☓; )すみません。昨日出かけて帰宅したら動けなくなってました。
    面白かったです~♪
    すごい、お兄ちゃん、自覚がないところが良いですね~
    美姫さんそっくりなのに(^▽^)
    「脱美姫さん」←これを書いたら先生は喜びそう。先生知ってるかも?ということで・・
    でも美姫さんに見つかったらと思うと後が大変そうですね!

  • フィクーション (id:fic-tion)

    森下礼さん
    こんにちは~。
    コメントありがとうございます♪
    面白い名言があるんですね。(いつも初耳ですみません(+o+))
    『死』に形がある感じがします。
    『死ぬまで生きる』は『生き抜く』という生の感じを出したかったのですが……(^^;
    語彙力の勉強をしなきゃデスね。ありがとうございます(*^^*)

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