サンドイッチチェーン『サブウェイ』が元気だ。国内限定販売の『あんこ&マスカルポーネ』『つぶあん』や『炭火焼きカルビ・牛』といった新商品を次々に出し、渋谷の大型店も人気、既存店売上も前年比を超えている。一時期、閉店も相次いだ同チェーンが文字通り「大復活」しているわけだが、いったい何があったのか。日本サブウェイ社長がその舞台裏をすべて明かした。そこにはグローバル企業ならでは本社と日本の間の文化の違い、邂逅といった興味深いストーリーがあった――。
スターバックスコーヒーの人気商品『抹茶クリームフラペチーノ』がメロン味になりそうだった、という衝撃の事実をご存じだろうか。同商品は2001年、スターバックス コーヒー ジャパンが提案して生まれたもの。日本側は「高級な抹茶をふんだんに使って味にも自信を持っていた」が、米国側の幹部は、なんと「同じ緑色」という理由で、メロンシロップで甘みをつけるよう提案してきたという。
その後、日本のスタッフが説得して今の姿に落ち着いたのだが……筆者には、グローバル企業の本社と、日本のローカルの間に横たわる文化の差の大きさを示す好例のように感じる。
そんな日本とグローバルの差によってサブウェイも苦労した。日本サブウェイ・角田淳社長が話す。
「欧米では、お昼のごはんと言えばサンドイッチ、という文化があって、ランチの前の会話も“今日サンドイッチ食べない?”でなく“今日は何をはさむ?”から始まるほどです。サブウェイの『どのパンに何をはさむか選べる』コンセプトが受け入れられる文化的な土壌があった、というわけです。一方、日本でサンドイッチと言えば、あらかじめ具材がはさんであるものを思い浮かべる人が多いですよね」
サブウェイが上陸した当時の日本には、お店に“自分流アレンジ”を伝える文化がなく、まずはそれを根付かせるために時間がかかった。
また、店員とお客さんとの距離感も米国は少し違った。
「米国にサブウェイ本社が運営している店舗はありません。すべてフランチャイズオーナーの運営で、わかりやすく言えば、“街の人が運営する地元のサンドイッチ屋さん”の雰囲気を色濃く残しているんです。
どの店も“お好みのサンドイッチをつくります”というコンセプトは同じですから、お店とお客さんの間には“こんにちは、いつものでいいですか?”といった距離感が自然と生まれるんです」