沖縄タイムス編集委員の阿部岳記者(45)が7日、著書「ルポ沖縄 国家の暴力」の増補版を朝日文庫(朝日新聞出版)から刊行した。高江ヘリパッド建設を追った2017年の単行本に、作家百田尚樹氏の沖縄講演会の模様などを加筆した。定価814円(税込み)。
百田氏は17~18年の県内での講演で、米軍基地の成り立ちに関するデマや、韓国人、中国人へのヘイトスピーチを繰り返した。阿部記者には「阿部さんの娘さんは中国人の慰み者になります」などと中傷を続けた。
阿部記者は文庫版で当日聞き役に徹したことを「間違っていた」と振り返った。ヘイトやデマに傷つく人がいる以上、「意図を尋ね、言質を引き出すだけでなく、反論すべきではないか」「取材モードと執筆モードを都合よく切り替えていて、ヘイトやデマを根絶できるか」と考えるに至ったと記した。
このほか、産経新聞の沖縄2紙に関する誤報、高江のヘリ不時着炎上事故についても加筆した。