「イランのミサイルで撃墜」=ウクライナ機、誤射の可能性―カナダ首相

時事通信社

1月10日(金)9時05分

9日、オタワで記者会見するカナダのトルドー首相(AFP時事)
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9日、オタワで記者会見するカナダのトルドー首相(AFP時事)
 【ニューヨーク、ベイルート時事】ウクライナ国際航空のボーイング737型旅客機がテヘランの空港近くで墜落し、乗客乗員176人が死亡した問題で、多くの犠牲者を出したカナダのトルドー首相は9日、オタワで記者会見し、「イランの地対空ミサイルが同機を撃墜したことを示す証拠がある」と明言した。ただ、「おそらく意図的ではなかっただろう」と語った。イラン側は「科学的に不可能」と撃墜を否定している。

 トルドー氏は、同盟国を含む複数の情報機関からの証拠に基づきイランによる誤射の可能性を発表したが、詳細は明かさなかった。米イランの対立激化のさなかに起きた墜落で、緊張を生み出した米国の責任について見解を問われたトルドー氏は、「完全で信頼性のある調査を通じ何が起きたかを明確にする必要がある」と回答を避けた。

 旅客機は8日、キエフに向けて空港を離陸直後に墜落した。この数時間前、イランは米軍によるイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官殺害への報復で、イラク駐留米軍の基地を弾道ミサイルで攻撃していた。

 ジョンソン英首相も9日、「旅客機がイランの地対空ミサイルによって撃墜されたという情報がある。意図したものではなかったかもしれない」と述べた。また、トランプ米大統領も墜落に関し、記者団に「誰かが過ちを犯したかもしれない」と語った。

 9日のニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、米当局者はロシア製の地対空ミサイル2発がイランの防空システムから発射されたと指摘。偵察衛星が発射を探知し、さらにミサイルによる航空機撃墜を確認するイラン側の通信を傍受したという。同紙は撃墜の瞬間とされる映像も報じた。

 一方、イラン民間航空当局の高官は国営メディアに対し「離陸直後に火災が起きたため、操縦士は引き返そうとした。機体は飛行中に爆発しておらず、ミサイルで撃ち落とされたという説は排除できる」と主張した。

 墜落による国籍別の犠牲者は、イランが82人で最多。カナダが63人で2番目に多かった。英国については、ウクライナ外務省が3人と発表しているものの、ジョンソン首相は4人と述べた。

 【時事通信社】

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