おはよう。ニンゲン諸君。
わたしの名前はくろみだうさ。
トレードはちょっと得意で、この前の月利は40%だったうさ。
趣味は段ボールハウスの中でお昼寝をすること。
好きな食べ物はチモシー3番刈りと乾燥パパイヤだうさ。
何?トレードを教えて欲しい?乾燥パパイヤをくれるなら考えるうさ!
へへっ。くろみさん、これでトレードを教えてくれるんですよね?
チッ。しゃあないうさ。うさうさに二言はないうさ。約束通りトレードを教えるうさ。まずは普段どんなトレードをしているのか言ううさ。トレードスタイルによっては何をするべきかは変ってくるうさ。
あっしがしてるのはRSIを使ったテクニカル分析ッス。色んなインフルエンサーがおすすめしてるし、実際に効いてるように見えるから使いやすいものだと思ってるッス。
具体的にはどんな風に使っているうさ?
RSIっていうのは70%以上だと買われすぎで、30%以下だと売られすぎを示す指標ッス。だから70%を超えたら売り、30%を下回ったら買いの逆張り作戦で使ってるッス。ただしそのまま使うと上手くいかないことも多いからSNSで他の人がどういうポジションを取っているのか参考にして使うか使わないかを雰囲気で判断してるッス。RSIがなんなのかはよくわかってないッス!どうッスか?あっしのトレードは?
このバカが! それはただの雰囲気トレードだうさ。
しょうがないから今からRSIとは何かからRSIがトレードに役に立つ根拠、それから具体的な使い方までをニンゲンにもわかるように解説するうさ。耳をかっぽじって聞くうさ。
RSIとは?
アメリカのテクニカル・アナリストのJ.W.ワイルダーによって開発されたテクニカル指標であり、オシレーター(振幅を測るもの)分析の一種。相場が上昇、下落のどちらの勢いが強いかを計測する。
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/so/rsi.html
具体的には、過去一定期間の上げ幅(前日比)の合計を、同じ期間の上げ幅の合計と下げ幅の合計(いずれも絶対値)を足した数値で割って、100を掛けたもので、0%から100%の範囲で推移する。上昇局面に入ると数値が50%以上で推移し、下降局面に入ると数値が50%以下で推移する。
短期的な相場分析では14日間のデータを使用し、RSIが70%以上であれば相場は買われすぎ、逆にRSIが30%以下であれば相場は売られ過ぎと判断される。
これは野村證券の用語解説集からそのままコピペしたものだうさ。RSIは日本語では相対力指数と言ううさ。この言葉からわかるように、全体の値動きに対して相対的に買われている傾向が強いか、売られている傾向が強いのかどうかを%で表したものがRSIだうさ。
これをよく見れば、70%を超えたら買われすぎ、30%を下回ったら売られすぎと画一的に判断することは乱暴でとても危険なことがわかるうさ。
そもそもなんで70%と30%に着目されているのかはわかるうさ?
…………
わかったうさ。計算式をわかりやすく解説するうさ。
RSIの計算式は?
お絵描きするうさ!
(字、きったな)
RSIには当日の値幅を含むか含まないかによって2種類の計算方法があるうさ。これは含まない計算式でオリジナルのJ・W・ワイルダーのものをカトラーという人が簡便にしたものだうさ。ワイルダー式のほうは当日の値幅を含んでいるので敏感に動き、カトラー式のほうは鈍感に動くという特性があるうさ。
RSIは、50%を中心に指定された期間中の相場が、
・上昇幅が下落幅に比べて大きいときには100%に近づく
・下落幅が上昇幅に比べて大きいときには0%に近づく
ものと言うことが言えるうさ。
これ以上でも以下でもないうさ。
70%や30%で買われすぎ売られすぎというのは視野狭窄な見方だと言えるうさ。
(視野狭窄って言葉を何気なく使ううさぎとか嫌だなあ)
おい、わかってんのかうさ。
ッス!!!完璧に理解したッス!へへっ、あざーす。
……理解度をチェックするうさ。
練習問題をやるうさ。
ッス!?!?
練習問題
Q1.
直近14日間の終値から上昇した値上がり幅の平均は1,000円、直近14日間の終値から下落した値下がり幅の平均は1,500円だった。このとき期間14日のRSIを求めよ。
これはそのまま当てはめればいいッスね。
えーと、
RSI = {A/(A+B)}×100 で、
Aは N日間の終値から上昇した値上がり幅の平均
Bは N日間の終値から下落した値下がり幅の平均
だから
RSI = {1000/(1000+1500)}×100 で……
40%ッスね!
正解。次。
Q2.
直近5日間の値動きが、+500円、-300円、+800円、+400円、-100円だったときの期間5日間のRSIを求めよ。
!?
いきなり難しくなったッス!
上昇分と下落分に分ければいいんスよね。上昇分が500+800+400で1700円。
下落分が300+100で400円。
だから、{1700/(1700+400)}×100で、81!
81%ッスね!
正解。RSIは単純な四則演算だけで計算できるシンプルなテクニカル指標だうさ。これを見てどう思ったうさ?
うーん。なんか+500円、-300円……の数字だけを見てもあんまり買われすぎだっていう感じはしないッスね。小さく下落しつつ上昇してるなぐらいにしか思わなかったッス。
わかってきたうさね。RSIは相対力指数の名前の通り、ただ単に買いと売りの勢いを表しているだけで、数値だけを見て買われすぎ売られすぎを判断することはできない指標だということだうさ。
ではなぜ70%や30%が着目されているのか?
なぜ指標が効く場面があると思われるのかの根拠を解説するうさ。
RSIが効く根拠は何?
RSIを逆張りで使う場合、トレーダーはそのときの相場の値動きが正規分布的であり平均回帰による差益を狙うということを言語化しているかはさておき行動の上では考えていることになるうさ。RSI50を中心に単振動するような値動きを想定することは非現実的で実用性があるとは言えないうさ。
ちょちょちょっと待ってほしいッス!
いきなりレベルが50ぐらい上がったッスよ!?
詳しく説明するうさ。
RSIが50であるということはRSIを計算する期間中の上昇幅と下落幅が等しいことを意味しているうさ。つまりRSIが70のときに買われすぎだと判断して逆張りし、RSIが50になったときに決済するのであれば、売り買いのバランスが1:1になることを想定したトレードということになるうさ。
またこのトレードを繰り返して利益を狙うということは、このトレードを行う期間で買いと売りの値幅をそれぞれヒストグラム化したときに、買いのグラフと売りのグラフの形が合同になることを意味するうさ。
これは非現実的な仮定であると言えるうさ。
わかるような、わからないような。。。
これだけ買われたんだから、同じぐらい売られるに違いない!
買われすぎ売られすぎの根拠はこれだけだうさ。こんなの根拠になると思ううさ?
なるほど?
えっ、じゃあ70%が買われすぎ、30%が売られすぎというのは嘘ってことッスか!?
非現実的な仮定の上に成り立っているから、まあ嘘と言ってもいいうさ。
70%や30%というのは単にわかりやすい数値だからという以上の理由はあまりない気がするうさ。ワイルダー氏もこれだけ70%30%だけがピックアップされるとは思っていなかったんじゃないかと思ううさ※1
なーんだ。RSIは結局使えないんスね。話を聞いて損したッス。それなら早くそう言って欲しかったッス。あーあ、時間を無駄にしたッス。
(ダンッ!!)※2
ヒッ!!
今なにか言ったうさ?
なんにも言ってないッス。へへ。天然パパイヤ食べます?
……RSIは常時使えるわけではないものの、使う場所を選べば使えないわけではないうさ。
結局どうやって使うのがよい?
70%や30%に根拠はないし、効いているように見えても信頼はおけないんスよね。こんなの使えなくないッスか?
ハードな前提が必要にはなるもの使えなくはないうさ。要するにトレンド期間とレンジ期間の見極めができれば使うことができるうさ。
シンプルにRSIだけを使うのであれば、レンジ期間では細かく逆張りで利益を積み重ねていき、トレンド期間になったと判断したら50を軸に順張りしたりといった使い方はできるうさ。
あとはダイバージェンスがどうこうみたいな話もあるけどここでは割愛するうさ。興味がある人は調べてみるうさ。
なんかありきたりッスねー。
ほとんどのトレードはありきたりなものだうさ。
RSIが買われすぎ売られすぎの指標であると思い込んでしまうと、その考え方に引きずられて損切が遅れたり、使用シーンを間違ってしまううさ。
RSIに限らずテクニカル指標を使う際には、その指標が何を意味しているのか、なぜ指標が効くと思われているのかを理解することが大切だうさ。
面倒くさいけどがんばるッス。
テクニカル指標を使うときにはチャートに当てはめて効いているところを目で探すのではなく、どれぐらい機能しているのかを定量的に調べてみることをおすすめするうさ。
今日はこれにて終了だうさ。お昼寝に戻るうさ。
あざッス!またよろしくお願いするッス!
まとめ
・RSIは計測期間中の上昇幅と下落幅の勢いを50を中心に比較した指標
・70%が買われすぎ、30%が売られすぎというのは根拠に欠ける
・RSIは常時使えるものではない。トレンド/レンジで使用方法を切り替えるのが吉
以上、くろみによる『世界一わかりやすいRSIの意味と使い方(ニンゲン向け)』でした。
※1 もし70%と30%という数値に定量的な根拠があったらおしえてください。
※2 うさぎは怒っているときやストレスがかかったときに後ろ足をダン!とやります。これをスタンピングと言います。(怒っているときだけでなく嬉しいときにもやります)
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