手を出す? 俺にとって麗子はストライクゾーンに入らない
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つきあっている彼氏と手を切りたいんだけど、なかなか相手が首を縦に振ってくれない。だから、一緒に行って話をつけてくれないかって頼まれたこともあった。
彼女の実家は文京区白山あたりの和菓子屋だったかな。そこに彼女を迎えに行き、そのまま男が待っているという喫茶店に車を飛ばした。
ひと目見て、ちょっと悪ぶっているだけのチンピラだと分かったよ。女好きのするタイプだけど、性根が据わっているようには見えない。だから、四の五の言ってもしょうがない。俺は単刀直入に切り出したよ。
「そろそろ別れてやれよ。こいつも女優として、これから伸びる時期なんだから。本気で惚れてるんなら、売れるまで待ってもいいだろ? えっ、どうなんだ」
とくに凄んだわけでもなく、ちょっと睨みつけただけなんだけど、すぐに納得したよ。それ以上、麗子につきまとうこともなかった。まあ、当時の俺は相手の男からしたら、かなり不良っぽく見えたのかもしれない。ただ、このときは麗子が女優として伸びるなんて、これっぽっちも思ってない。嘘も方便だと思って出た言葉だった。
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