大学入試国語、問題文の著者本人が自ら解いて気づいた「読解力」の本質

コツも教えちゃいます
堀井 憲一郎 プロフィール

試験問題というのは、多くの人間が同じ問題を読んで、ルールを理解して(ルールを類推して)、そのルールに沿って解けば同じ答えにたどりつく。そういうものが作られている。

読解力の問題は、そういうルールの存在に気づいているか、自分のなかでそういうルール作りをしてきたのか、ということも問われているのだ。

 

「出題者の意図だけを考える」「書いてある本文以外を絶対に根拠にしない」というのは読解のコツだとおもう。

全神経を集中して読め!

ただ、このコツだけで解けるわけではない。その前段階の読解訓練をしていないと役に立たない。たとえば、文章を早く読もうとするクセがついていると難しい。とくに飛ばし読みをする人は完全にアウトである。一言一句を逃さないよう、すべての言葉のつながりを読み落とさないよう、全神経を集中して本文に読み切るようにしないと、このコツは使えない。

息を詰めてあらゆるものを遮断して、本文を読み、切り取られている意図を考えながら、読む。私のなかでは、息ができない水の中をゆっくり歩いてるような感覚になる(これは私個人の感覚である)。そうしないと読解スイッチが入らない。

まあ、運動部の練習のようなものである。人生の早い段階でそういう能力を持っていれば、残りの人生で少しは役に立つだろう、ということである。息を詰めて全文全語を読む訓練をしてから、のちに飛ばし読みの訓練をすれば、速読が可能である。逆はむずかしいとおもう。