大学入試国語、問題文の著者本人が自ら解いて気づいた「読解力」の本質

コツも教えちゃいます
堀井 憲一郎 プロフィール

解答者は出題者の頭の中を類推しなければならぬ、といま、そう言語化できたのは、時間が経ったからだろうし、ものを書く仕事をしてるからだろう。なるべくシンプルに言えばどうなるのか、ということを毎日やっているからだとおもう。

これが問題文に向かう基本姿勢である。

 

もうひとつのルール

それとは別に言語化されてないもうひとつルールがある。

「問題文の文章だけを根拠にする」。

そういう明確なルールがある。それをもとにゲームが始められている。

いま見せられている文章がすべてである。そこに書いてあること以外はいっさい想像もしないし、新しい可能性を考えてもいけない。そういうルールがあるのだ(多くの人はわかってるとはおもうんだけど、いちおう)。

ウ「プロ文章書きは、多くの人に読まれることを緊要としている」。
エ「名文を多く暗誦する人は名文を書ける可能性が高い」。
オ「よい文章を書くにはよい文章を読め、ということ自体、文章作法のパターンを踏襲している」

著者の私としていえばこの三つとも、たしかにそう考えている。問題文以外のところではたしかにそう書いているのもある。

だから、著者の私としていえば、三つのどれでもかまわないことになってしまう。著者というのは入試問題の前ではずいぶんぼんやりした存在でしかない。

解答者の私は、即座にチェックに入る。

問題文をいま一度、精読する。一種の捜査である。

選択肢を踏まえたうえで、それと同じ意味の文章が本文中にあるかどうかを探す。そういうゲームだし、そういうゲームでしかない。