大学入試国語、問題文の著者本人が自ら解いて気づいた「読解力」の本質

コツも教えちゃいます
堀井 憲一郎 プロフィール

その第七問は、「筆者の考えに合致しているものを、次の中から一つ選び、記号で答えなさい」というものだ。ア、イ、ウ、エ、オの5択になっている。

5つも選択肢がある場合、本文を読まなくてもすぐさまはずせるものが2つ入っている。それがセオリーである。

ここでも本文の論旨とまったく違うものが2つ入れてあった。

ア「名文とは細部まで完璧に作られた文章のことであり、、、」
イ「すぐれた文章は、知らず識らず、他人の書いた文章を引き写すことで成立するのであり、、、」

この2つは、即座にはずせる。

細部まで完璧に作られた文章、というのはそもそも存在しないし、他人の書いた文章を引き写すことですぐれた文章が成立する、なんてこともありえない。解答文を読んでるだけで違うとわかる。

〔PHOTO〕iStock
 

残りの3つは「間違い」ではないが…

あらためて、試験問題の5択というのは、この間違った選択肢の文章を考えるのがキモなのだなとおもう。作者の文章のトーンに似せながらも、作者が言ってないことを4つ作らなければならず、これはこれで大変な作業だと、いま引き写しつつ実感した。出題者としては選択肢問題より、記述式問題を作ってるほうが楽だろう。そのぶんあとが、つまり採点が大変になるんだけど。

さて残り3つの選択肢は、文章自体には破綻がない。

そこから正解を選ばないといけない。

こんな三つである。文章を要約して(少し変えて)紹介する。

ウは「プロ文章書きは、多くの人に読まれることを緊要としている」。
エは「名文を多く暗誦する人は名文を書ける可能性が高い」。
オは「よい文章を書くにはよい文章を読め、ということ自体、文章作法のパターンを踏襲している」

三つとも間違っていない。そういうようなことをこの新書のなかで私は言っている。

では、ここから正解するためにはどうすればいいか。