大学入試国語、問題文の著者本人が自ら解いて気づいた「読解力」の本質

コツも教えちゃいます
堀井 憲一郎 プロフィール

この手の案内が来たら、開封したその場で書いてすぐ返信するようにしている。一度、すぐ書いたのはいいがその封筒が机上の書類にまぎれ、ずいぶんあとになってから発見したことがあった。あわてて投函して、たぶん間に合ったんだとおもう。

「赤本」の国語の問題で、ときどき第一問のあとに第二問が抜けて第三問の古典文になってることがあるが、あれはたぶん著者の許諾が得られなかった(許諾書が届かなかった)結果だとおもわれる。こんな入試にこんな使いかたをするとはけしからん、と先生が怒って許さなかったこともあるだろうが、何割かは「あ、返事だすの、忘れてた」という凡ミスもあるのでないか、とおもう(完全に勝手な推測です)。

 

自分で解いたときの感触

問題文が送られてくると、やはり気になるから自分で解いてみたりする。

自分の文章問題を自分で解くといろんなことが見えてくる。

それについてちょっと解説してみる。

「著者の考え」という言葉が設問に含まれる問題を見てみよう。

2012年のある女子大学の問題である。引用されたのはちくま新書の『いますぐ書け、の文章法』からだった。

「みんな「オリジナル」に対して過剰な信仰を持ちすぎだとおもう」から始まる文章だ。

オリジナルな作品というものは過去を踏襲したところからしか生まれないから、オリジナルの文章を書きたいなら、過去の名作、名文を暗記するほど読め、という主旨の文章である。なるほど。たしかに高校生に読んでもらいたくなる文章かもしれない。自分でいうのはどうかとおもうけど。