2018年3月の開業以来、重賞V最大のチャンスが到来した。田中博康調教師(34)がフェアリーSに送り出すポレンティア(牝3歳、父・ハーツクライ、母・ポーレン)だ。昨年8月の札幌新馬戦から約5カ月のぶっつけになるが、休養中の体質強化に成功。一介の1勝馬のレベルを超えた馬に成長して、一気に重賞制覇を狙う。
そもそも新馬戦の段階では、厩舎は厚く期待を寄せていたというわけではなかった。馬が未完成で上積み余地を大きく残していたからだ。田中博師が言う。「体質も体の締まりもまだという段階で、テンから目いっぱいのパフォーマンスができるという状態ではありませんでした。右トモにも顕著な弱さがあった。それで思ったより強い勝ち方をしましたから、もともとの素質が高いんですね」。
得難い逸材と分かったからには大事に育てる。思い切った休養で成長を促し、年明けまで復帰戦を待った。「そのかいあって、待った分だけ良くなって帰ってきました。体重は変わらなくても体は締まっていますし、代謝が良くなって毛づやもいい。左右のバランスも良くなりました。初戦よりいい状態で出せるのは間違いありません」。実直なトレーナーが、こう断言する。
厩舎のこれまでの重賞挑戦は計8回。最高成績は18年ホープフルSのコスモカレンドゥラによる4着で、複勝圏もまだかなっていない。ここは大きなチャンス。ひとまず最大の障壁は、登録馬で4頭しかいない2勝馬を除いて行われる抽選突破だ。