阪神で臨時投手コーチを務める山本昌氏(54)が8日、新人合同自主トレ初日に自腹で兵庫・鳴尾浜を電撃訪問した。兵庫南部に暴風警報が発令される中、わざわざ名古屋から関西入り。「皆さんがそろうので、ごあいさつに来ました」。控えめな言葉と裏腹に午前10時から約2時間にわたり、ドラフト1位の西純矢投手(18)=創志学園高=らに熱視線を注いだ。
矢野監督や首脳陣もスタッフ会議を前に視察したが、臨時コーチが姿を見せるのは極めて異例。中日時代にチームメートだった井上打撃コーチが「なんで昌さん来てるの?」と驚き、同じく盟友の指揮官も「びっくりした。知らんかった。むちゃくちゃありがたい」と仰天した。新人目当てのテレビクルーも、山本氏にくぎ付けとなった。「ルーキーたちは接する日数が少ないし、イメージだけでもと思って。去年の秋に接した選手も調子良くやってくれている」。望月の投球も見守り、調整ぶりに目を細めた。
昨秋キャンプで臨時コーチを務めた山本氏は今春キャンプも約1か月にわたって帯同する。1軍だけでなく、2月7日からの第2クールは2軍の高知へ。「西君は投手らしい、いいボールを投げていた。(3位の)及川君(雅貴、18)=横浜高=も非常に力のあるボールを投げる」と次代のエース候補をべた褒めした。
この日はあいさつ程度しか交わせなかった西純は「自分もああいう偉大な方になりたい」と言い、及川も「どうやったら長く野球ができるのかを聞きたい」と早くも弟子入りを志願した。新年から話題をさらった通算219勝のレジェンドは「やっぱりボールを投げている人を見るのはいいな」と言い残し、嵐のように去っていた。(表 洋介)
◆西純うならす
西純が初日から大器の片りんをのぞかせた。キャッチボールで及川相手に、山本昌氏をうならせるノビのある球を披露した。だが最後のポール間走では次第に周囲に遅れを取り「想像していたよりもハードな練習でした」と反省。それでも「明日から切り替えて、自分が引っ張っていくつもりでやっていきたいです」と負けん気の強さを見せた。