42:エロゲ開発者「実況なんてされたら迷惑だ!」(?)
なにやらポジティブな見出しよりも、ネガティブな見出しの方が人の関心を引くそうです。
よく雑誌やブログなどで使われている手法だそうで、真似してみました。
結論から言うと「俺はそうは思ってない」となるわけですが、とにもかくにも、今回は質問回でございます。
テーマは「実況プレイ」について。
■ふと思ったのですが、エロゲの実況プレイについてはどうお考えですか?
記事タイトルの通り「エロゲはコンシューマーの多くのゲームと違ってゲーム性がなく、シナリオやイベントCGがゲームを構成する主要素になっているから、実況でネタバレなんてされたら困る」と、嫌悪感を示すエロゲ開発者はそこそこいる。
しかしながらエロゲ実況には『タダで宣伝してもらえる』というメリットがあるから、「著作権上、表向きは否定的なスタンスを取らざるをえないけど、内心は歓迎している」という開発者もいる。
俺はというと――どちらでもない。
実況プレイに関心がないわけではなく、「実況プレイで売り上げが下がったり上がったりする? そんなに影響ある?」と思っている。
少し前に「エロゲの実況プレイが禁止されてエロゲの売り上げ低下の一因となっている」というような話をツイッターでエロゲ開発者がしていたが、禁止されていてもやる人はやるし、実際に生配信で遊んでいる人もいれば投稿だってされている。
メーカーの目をかいくぐり、削除されずに残っている動画もたくさんある。
体験版実況に限れば、それはもう大量に存在する。
では、エロゲ実況はどれくらい再生されているんだろうか。
youtubeで「エロゲ 実況」と検索してみると、かの有名なゆずソフトの「サノバウィッチ」の実況動画が上の方に出てくるが、Part1の再生数が8000ほどで、Part2からどんどんと減っているようだ。
ニコニコ動画で同様に検索してみると、ドリクラやらアマガミやらで検索結果が埋め尽くされ、エロゲの動画が見あたらない。
ニコニコでは有名な実況者が投稿している「ノラと皇女と野良猫ハート」がとんでもない再生数になっているものの、「エロゲ 実況」なんてふわっとした検索ワードではヒットしてくれない。ランキングに浮上していたり別の検索ワードで引っかかったり好きな実況者がライブ配信で取り上げた、なんてことがない限り、そのゲームに興味がない人の目に触れる機会は相当限られている。
おそらくyoutubeでも同じで、再生数の多い動画を曖昧な検索ワードでは発掘できないのだろう。
つまり、だ。現状、エロゲ実況は(人気実況者が投稿したものを除いて)そのタイトルを既に知っている人が自発的に検索をしない限り、人目に触れることが少ない。ということになる。
要するに、宣伝として機能していないし、見ている人が少ないから売り上げ低下にも繋がらない、というわけだ。
少々話がそれるが、女性向けのボイスドラマでは、「この人のレビューが売り上げに直結する」と言うくらいのカリスマ性を持ったブロガーがいるらしい。
制作者はその人の好みにあわせてドラマを作り、いいレビューを書いてもらえるように試行錯誤している。なんて話を聞いたことがある。
先に触れた「ノラとと」の動画がそれに近く、実況者はポケモン関係の動画でかなりの人気を誇る人物だ。
そういった人気者がエロゲ実況を投稿すれば宣伝になるし、エロゲ一本丸々実況なんてされてしまったら売り上げ低下にも繋がりかねない。
だが現状、そこまでの人気や女性ブロガーのようなカリスマ性を持った実況者は限られている……というか、ほぼいない。
なので、今後状況はがらりと変わるかもしれないが、少なくとも今の段階では、良くも悪くも売り上げを大きく左右するような影響力はエロゲ実況にはないのではなかろうか。
――と俺は考えている。
ただこれは「従来の実況プレイ」の話で、「SNS上に投稿される動画」となるとかなり事情が変わってくる。
ゲーム中の印象的なシーンを抜き出し、短時間の動画に編集して、アップロードする。
うまくはまると、何万回もリツイートされてどんどん拡散されていく。
バレバレだと思うがほんのり恥ずかしいのでタイトルは伏せさせてもらうが、俺が先日プレイした沢澤砂羽さんご出演のゲームのプレイ動画がツイッター上で爆発的に拡散されて、「俺も買う」「買った!」なんてリプライが飛び交い、それはもうとんでもない宣伝効果を生み出していたようだ。
実際に長期間アマゾンランキングの上位をキープしていたようなので、売り上げはそこそこ伸びたんじゃないだろうか。
やっぱすげぇよ。沢澤砂羽さんは。
こういった「おもしろいシーンだけ抜き出した短時間のプレイ動画や実況動画」は、気軽に見られることもあり、長時間の動画よりも拡散性が非常に高い。
シナリオゲーの核心なんかをアップされたらまずいが、そもそもそんなのはなかなかリツイートされないし、萌えゲーやキャラゲーはあまりネタバレなんか気にする必要もないから、「短時間の動画」はほぼメリットしかないように思える。
冒頭で述べたとおりメーカー側は「表向きは否定的なスタンスを取らざるをえない」ので、話題になりすぎると対応しないわけにもいかなくなったりするようなのだが、内心は「もっとやってくれ」と思っているんじゃないだろうか。
たびたび触れているように、個人がもたらす宣伝効果を今は決して無視できない時代である。
そして忙しくて時間がないと言われる現代において、数十秒から数分のおもしろ動画をSNSにポンとアップロードするというお手軽スタイルが、時代にとてもマッチしている。
まとめると、「動画サイトに投稿された、あるいはライブ配信されるエロゲ実況に関しては、現状そこまで需要がないようなので影響力は小さいが、SNSに投稿された短時間の実況及びプレイ動画は、拡散されることで不特定多数の目に触れるため、とてつもない宣伝効果を生むポテンシャルを秘めている」となる。
もっとまとめると、売り上げ低下の心配より宣伝効果の期待の方が大きい。となる。
なので、みんなどんどん動画投稿しちゃえばいいと思う。
消されたとしても、メーカーはたぶん怒ってない。本当は消したくないけどごめんね、とか思ってるかもしれない。俺の勝手な想像だが。
繰り返すが、個人の宣伝効果は本当に凄まじく、「俺、フォロワー10人くらいだし……」というような人でも、うまくはまれば広範囲に拡散されていくのがネットというものだ。
これはメーカー側の計算ではなかなかできない。
いつもはあくまでも俺の見解だから間違ってても許してね、なんて付け加えるところだが、今回は説得力のありすぎる前例がある。
そう、「VRカノジョ」だ。
かの『世界一VRカノジョを楽しんでいる男』によっておもしろ動画が投稿され、「VRカノジョ」の知名度は急上昇した。
開発者自身が「全体の売り上げの1割2割はhisabillyさんのおかげなんじゃないかと思います。」と語っているから、宣伝となったことは間違いないだろう。
(電ファミニコゲーマー
『VRカノジョ』はプレイヤーが“ただのVRエロゲー”から“面白いことができるVRゲーム”にシフトさせていた――開発者×プレイヤーが示した新たな可能性とは
http://news.denfaminicogamer.jp/interview/180330
から引用)
しつこく繰り返すが、今はユーザーが広報として機能する時代で、ガチでユーザーが盛り上がってくれるかどうかが売り上げに直結している。
ぜひ、あなたが起爆剤になって欲しい。
いや、こんな偉そうな言い方をするべきではないな。
どうか好きになったゲームはどんどん発信して拡散してください。
そうしてくれないと広報費を捻出できない弱小メーカーはほんと売れないんです。
実況動画大歓迎です。
開発側としてはどうしても、表向きは「や、やめてよね! そんなことされたらネタバレで売り上げ減っちゃうでしょ!」なんてツンツンしつつも胸の内では(お願い……、本当はもっと動画投稿して認知度を上げて欲しいの、お願いもっとして……)とクソめんどくさいツンデレみたいな態度にならざるをえないが、少なくとも俺個人はもっと盛り上がってくれればいいなと思っている。
ただエロシーンを無修正で投稿するようなことだけはやめてくれ。
エロ関係で面倒な人に目をつけられると、ギッチギチに規制しなくてはいけなくなってしまうかもしれない。
節度を守って、みんなで楽しもう。
それでみんなハッピーだ。