34:ADVシナリオを書く上で大事なこと
あけましておめでとうございます。
2018年最初の更新です。
いきなりQ&Aはどーよ、っていうか現状質問はないのですが、とにかく最初の更新くらいは普通の記事を書こうと思い立ちまして、筆をとった次第であります。
今までの記事のPV数を見てみると、どうやらシナリオに関するノウハウ的なものに読者の皆様は興味がある様子。
なので今回はタイトルの通り、「アドベンチャーゲームのシナリオを書く上で大事なこと」についてお話しします。
――の前に、前置きをさせていただきますが、俺は売れないライターである。
俺が話すことはそれすなわち「売れてない奴のやり方」なので、あまり参考にしないことをおすすめする。
と、予防線をはったところで早速いってみよう。
シナリオと小説の違いはなにか。
エロゲには音声、BGM、立ち絵、背景、イベントCG、などなど、小説よりも圧倒的に情報量が多い。
小説では「○○がやってきた」と描写するところを、エロゲでは立ち絵をポンッと表示してやればいい。
音声があるうえにメッセージウィンドウの上にご丁寧に話者名が表示されているから、誰が喋っているかもすぐにわかる。
その場がどういう雰囲気なのかはBGMでわかるし、画面を揺らしたり効果音をつけたりすれば、(かなり制限はあるが)登場人物の動きも表現できる。
つまり、文字で表現する必要のないことは、バッサバッサと切り捨てて、テンポよく進められるわけだ。
そこが、シナリオと小説の最大の違いだろう。
一番わかりやすいのが、複数名で話しているシーンだろうか。
「これおいしいね」
「うまいな」
「めっちゃうまい」
「こっちもうまい」
「自分は好きじゃないな」
「お腹いっぱい」
このままだと、誰がなにを喋っているかわからない。
小説だとセリフの合間合間に誰が喋っているかを説明してあげる必要がある。
しかしシナリオだとどうだろうか。
A「これおいしいね」
B「うまいな」
C「めっちゃうまい」
B「こっちもうまい」
C「自分は好きじゃないな」
A「お腹いっぱい」
と話者名と一緒に書くから、地の文で説明する必要がないわけだ。
その気になれば一切の説明無しに、セリフだけを延々と繋げて一つのシーンを作り上げることもできる。
場面転換においても、小説では誰がどこに移動したかを描写する必要があるが、シナリオでは「ここで背景を変更」とかスクリプトの指示を書いておけばいい。
わざわざ「俺は~~へ行った」とか(もちろんそのシーンによるが)書かなくていいわけだ。
ここにシナリオライティングの極意があると、俺は思っている。
要するに、シナリオでは「無駄を一切省き、必要なことだけを書けばいい」のだ。
そこで必要になってくるのが、スクリプトの知識だ。
どういう演出が可能なのか把握できていれば、自分はなにを書く必要があってなにを書く必要がないのか、それがわかってくる。
エロゲライターになりたい人は、一度でいいから自分でスクリプトを打ってゲームを作ってみるといい。
それがシナリオライティングのスキルアップへと必ず繋がる。
演出でできることまでクドクド書いていると、ひっじょーーーにテンポの悪いシナリオになってしまう。
もちろんそれを個性にまで昇華している人もいるので一概に駄目とは言えず、シリアスなシナリオではむしろ小説的な文体の方が適していることもある。
しかし萌えゲーは軽快な日常シーンが売りになることが多いから、テンポが非常に重要になってくる。
それはエロシーンにも言えて、シリアスなシナリオだとエロシーンにも意味があることが多いから、愛を確かめ合っている様子をセリフではなくモノローグでしっかりと描く。
対して萌えゲーだととにかくヒロインの可愛さを前面に出す必要があるから、セリフをたくさん書いていっぱい喘いでもらう。
文章の無駄を省き、演出に任せる。
その上で、セリフを重視するか、地の文を重視するか判断する。
それがシナリオで書く上で大事なことだと、俺はそう思っている。
どうも小説っぽくなっちゃうぞ、という人は、そのことを意識してみるとグンとシナリオっぽくなるはずだ。
ぜひ試してみて欲しい。
もっとも、しつこいかもしれないが俺は売れないライターなので、イマイチしっくり来ない結果になっても責任はとれない。
何卒、ご了承いただきたい。
以上。
本年もよろしくお願いいたします。