32:ブランドをわける理由
今回もやっぱり質問に答えさせていただきます。
毎日質問が届いて少々驚いております。
それだけたくさんの方に読んでいただけているということでしょう。
みなさまいつもありがとうございます。
■時折感じていた疑問なのですが、エロゲメーカーがブランドを複数に分けるのには
どんな目的・効果があるのでしょうか?
これについては気分でブランドを作りまくっているメーカーもあるが、だいたいは「ブランドイメージを統一するため」である。
一部を除き、だいたいのメーカーは複数の作品を並行して作っている。
それが同じジャンル、たとえば萌えゲーであれば同じブランドから出してもなにも問題はない。
しかし萌えゲーと陵辱ゲーだった場合、同じブランドからある意味正反対の作品を交互に出すことになる。
萌えゲーも陵辱ゲーもユーザー層が異なる。正しいターゲットにしっかりアピールするために、ブランドをわけた上で、それぞれ適切な広報を行い、販売しているわけだ。
作品の内容云々ではなく、そのブランド(あるいはそのブランドに所属するクリエイター)が好きかどうかが購入理由になることが多く、ファンが多いところが売れ、ファンが少ないところはいくら前評判がよかろうと売れない、という状況になっている。
ファンが多ければ、そのたくさんのファンが「これ期待!」と情報を拡散してくれる、その結果話題になり売れる。
ファンが少ないと、その数少ないファンがいくら「超期待!」と作品を推してくれても、情報が十分拡散されず売れない。
――というわけだ。
日本人……というくくりにしていいかはわからないが、ユーザーは話題のものに流されやすい傾向が確かにあり、「いいもの」ではなく「話題になったもの」が売れるのは間違いのない事実で、内容的にちょっとクセが強かったりしても大勢のファンが「おもしろかった」と評価すれば全体の評価もいい方向に流れる。
ちょっと極端な表現かもしれないが、ヒットするかどうかは「実際のクオリティ」ではなく「ファンの数」で決まってしまうのだ。
だから、「27:人の感情が作品に与える影響」でも述べたことだが、イメージ作りというのが本当に重要となる。
売り上げにダイレクトに響くため、どのメーカーも「売れるイメージ」を作ろうと必死になっている。
そのイメージ作りの一つが、「ブランドを分けて特色を強くすること」というわけだ。
同じ萌えゲーであっても、イチャラブ特化、アブノーマル系と細かく分類して異なるブランドで出すことがあるし、この原画家はこのブランド、この原画家はこっちと、クリエイターごとにわけることもある。
そうやって、そのジャンル、クリエイターを好むユーザーにピンポイントにアピールしている。
質問者は「作品ページを見ればわかるのに」と疑問に思っているようだが、わざわざ自分から見に来てくれる人はなかなかいないのだ。
なにかのきっかけで目にとまったときに「おっ」と思ってもらえるように、できる限り情報はわかりやすく整理しておく必要がある。ごちゃまぜの状態では興味を引くことができず、商機を逃がすかもしれない。
基本的に広報というのは、積極的に、自発的に情報を集める人を対象としていない。
まだ知らない人、受け身な人にどう伝えるかが大事なのだ。
情報が溢れた現代社会において、自分に興味を持っていない人に振り向いてもらうことは本当に難しく、どのメーカーも広報で苦労していると思う。
もし大好きなメーカー、あるいはブランドがあり、そこがあまり売れていないようなら、公式ツイートをRTしたり、ブログで紹介記事を書いてみたり、なんでもいいので情報拡散を手伝ってあげて欲しい。
決して大げさな表現ではなく、あなたの一言がヒットに繋がる可能性があるのだ。