あなたは「ふるさと」を愛していますか。
日本という世界の端っこに浮かぶ島国に、
それでも数え切れないほどのまちはある。
”1,741”ある全ての市町村を巡っても、
僕のふるさとは数える程しか存在しない。
それはどのまちの誰かにとっても同じだ。
だから僕は、ふるさとを忘れないでおく。
使い古したスニーカーの紐を結び直して、
知らない道で、17時のチャイムが鳴る。
気づけば冬至なんてもう過ぎちゃったな、
とりとめのない日々はせせらぎのように、
ホントはいつだって美しく、流れている。
ああ、確かに僕は市町村一周の旅に出た。
”1,741”市町村全てで写真を撮ること、
通過ではなく、ちゃんとまちを歩くこと、
筋は通しつつ、ロマンを求めた旅だった。
その道のりは僕とこの手帖が保証できる。
大した旅かどうかはどうでもいいけれど、
一つだけ、胸を張れることがあるならば、
それは僕が平凡な学生ということだろう。
お金はない、経験もない、目標ならある。
だから焦りや周りのプレッシャーもなく、
ただ4年間自分の夢を追うことができた。
たくさんの人にもずっと助けてもらった。
「そんな旅は無理だ」という大人の声も、
何度も咀嚼して、甘くなるように願った。
人から貰ったエネルギーは4年間ずっと、
ガス欠にならない無敵のガソリンだった。
人生に正解がないのなら不正解もないし、
そもそも何が正解か、僕には分からない。
ただ一つ納得できることがあるとすれば、
今日を精一杯生きることが簡単で難しい。
ああ、とにかく僕は幸せ者だ。なぜなら、
あなたのふるさとを少しだけ知っている。
「出身はどちらで?」と言えば百発百中。
世界のことは反対に何も知らないけれど、
日本のことなら眼と写真が覚えてくれた。
原付に乗って旅へと飛び出した初日から、
3ヶ月の怪我で絶望しちゃった初日から、
それでも今日まで、あっという間だった。
フルマラソンはなんとか完走したけれど、
人生という駅伝は、まだまだ続いていく。
いつか来る、自分の死という瞬間までに、
一体どんなタスキを、繋いでいくだろう。
急な坂道はもちろんあるに決まっている。
できるだけ楽しく、できるだけ能天気に。
それは旅が僕に教えてくれたことだから。
旅を最後まで応援してくださった皆さん、
本当に、本当に、有り難うございました。
つらつら書きましたが正直夢のようです。
やっと迎えられた今日という日からすぐ、
りんと背筋を伸ばして過去なんて忘れて、
またひたすら前を向いて進んで行きます。
しあわせな時間に感謝してもしきれない、
たくさんの愛を、夢を、本当に有り難う!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
旅メーター
旅で訪れた都道府県の数 【47/47】
旅の期間|旅をしていた日数の合計は約1年(準備期間から今日までは約4年)
走行距離|原付は4万キロぐらい
使った費用|残りがすずめの涙ほど、金額を聞けば皆さんが苦笑いするほど
旅の辛いこと|日焼け、睡眠不足、一人ぼっち、原付のヘルメットで髪の毛がぺちゃんこになること
旅ミュージック|ハイウェイ(くるり)、とがる(カネコアヤノ)、帰っておいで(青谷明日香)、ハミング(蓮沼執太)
達成のポイント|日々の巡り合わせ、運が良いこと、人との出会い、気持ちを切らさないこと、毎日感謝の気持ちを忘れないこと
2018年3月26日から本格的にはじめた「日本市町村一周の旅」、2020年1月7日をもちまして、完結です。
今まで長きにわたる応援、本当に、本当にありがとうございました。(終わり)
仁科勝介
日本一周の旅、お疲れ様でした!私は山本裕美子と申します。仁科さんの旅の記事を読み、大変元気と勇気を貰いました。実は私は昨日、腕の怪我の手術を受けたばかりで、入院生活に嫌気がさしていたところだったのです。でも、仁科さんの記事を読んで、私は安全な病院の中にいて命の保証や寝るところ食べるものに困らないので、恵まれてるなあと思いました。ところで質問です。私のふるさとは千葉県浦安市なのですが、浦安は行かれましたか?行ったとしたらどんな感想を持ちましたか?ぜひ教えてください。