「政権への忖度はなかったと思う」籾井勝人前会長が語ったNHKの現実
ガジェット通信が発表した「ネット流行語大賞」で「NHKから国民を守る党」の「NHKをぶっ壊す!」が金賞を受賞、かんぽ生命の不正販売を特集した「クローズアップ現代+」をめぐる、日本郵政からの“圧力”やガバナンスの問題、さらには大河ドラマ『いだてん』の低視聴率が取り沙汰されるなど、昨年はNHKが良い意味でも悪い意味でも注目を集めた1年だった。
そんなNHKは今年、ネット同時配信を開始する。しかし高市早苗総務大臣は「業務、受信料、ガバナンスを三位一体で改革していくことが必要であり、インターネット活用業務を含む協会の業務全体を肥大化させないことが求められる」と釘を刺している。
街頭では「問題になったことを圧力に負けないで正しいことを放送して、国民が見るものだから正当性のある公平なものを映したらいい」「面白いエンタメあるんだよっていうのは別にいらない、NHKは。ひたすらニュースやって事実だけを報道する番組がないからそれだけやってくれたらいい。国民の番組って感じがする」と、まだまだ視聴者の期待感は高い。
そこで大晦日のAbemaTV『AbemaPrime』では、前NHK会長の籾井勝人氏と、元NHK記者で大阪日日新聞論説委員の相澤冬樹氏を招き、話を聞いた。
■「会長は何でもできるが、政権への忖度はない」
任期中は発言が度々物議を醸していた籾井氏は三井物産の副社長、日本ユニシス社長などの要職を歴任後、第21代NHK会長に就任した。
相澤氏は「私は初めて籾井さんとお会いするが、1階の食堂でよく食事をしているという話が職員の間では話題になっていた。三井物産時代や日本ユニシス時代のことを知る人たちに聞いたところ、皆さん言うことが一致していた。つまり、口が悪く、すぐ怒る。すごく怖い人。だけど理由があって怒るし、終わったらすぐに忘れ、さっぱりしていると。一言でいうと、いわゆる“川筋気質”だ」と話す。
これに対し籾井氏は「少し褒めすぎじゃないか(笑)。語彙が少なく、ストレートに物を言うのが生来の性格で、相手を傷つけようとして物を言ったことはない。NHK会長時代も物議を醸そうと喋っていたわけではないが、思ったことをストレートに言っていることが多かったので、誤解を招いたとのだと思う。こういう言い方をしていいかは分からないが、楽しい3年間だった。人生を振り返ってみても、NHK会長の3年間が無ければ画竜点睛を欠くというか、大きな石が足りないような感じだったのではないかと思う。何の悔いもない良い3年の任期だったし、良い職員たちと仕事をさせてもらった。いまだに良い思い出だ。紅白は3年間、どこからも目立たないようなカメラ横の席でちっちゃくなって見ていた」と振り返る。
「ラジオ講座は聴いていたし、テレビも常に見てはいた。ただ、特別な興味があったわけではないので、会長の話が来たときは“え?”という感じだった」と振り返る籾井氏。NHK会長の権限や職務については「無いのは自分自身の罷免権と、後任を選ぶ権利だけで、やろうと思えばいろんなことができるので、権力が集中しすぎていると言ってもいいくらいだ。仕事は中のことが8割くらいを占めていて、民間企業と同じように、こうすべきだと思って一生懸命やれば組織を良くすることもできる。それを大変だからといって辞めるから何も変わらない。ただ、番組内容への介入は権限のあるなしに関わらずすべきではないと思っていた」と明かした。
また、自身の会長時代、局内に内閣への“忖度”があったのかと尋ねられると「それぞれの現場でそれなりの繋がりもあるので、そこで何が起こっていたのかは分からない。放送法には“事実に基づき公平公正、不偏不党、何人からも規律されず独立してやれ”と書いてある。会長としては会議があるたびにこのことを言っていた。そのくらい言われると頭にこびりつくものだし、皆も守ってくれたと思う。そういう意味において、忖度や上からのプレッシャーなどはなかったと思う」と断言。
相澤氏に「象徴的なのは2015年8月30日の安保法制反対デモについてだ。主催者発表で12万人が国会を取り巻いたといわれていて、ほとんどのマスコミが報道した。しかしNHKは翌朝の『おはよう日本』で取り上げることをせず、東南アジアの2万人のデモを取り上げた。こんなことは現場のニュース編集者の判断でできるはずがなく、上が“止めろ”と言わない限り起こらない。さきほど楽屋でこの話を籾井さんに伺ったら、覚えていらっしゃらなかったが、当時、最高責任者として“これを取り上げるな”と言ったことはないか」と質されると、「ない。ただ、デモに関する報道について申し上げたいのは、わーっと騒いでいるところだけ映すことによって、ものすごい影響がある。私は必ず主催者発表と警察発表の両方を報じなければならないと思う」と応じた。
■どうすれば受信料に納得感を持ってもらえる?
現在、NHKのひと月あたりの受信料は地上波契約が1260円、衛生契約を含めた場合は2230円だ。支払率と受信料収入は徐々に増加しており、2018年度の受信料は7122億円、支払率は81.2%と過去最高を記録している。
また、籾井氏は受信料について「NHKは7000億円あまり頂いている受信料の中から制作費や職員の給料などの全てを賄っている。一方、特殊法人なので税金を納めなくてよく、余ったらお返しをし、足りなくなったらまた頂くというものだと思う。今は1000億円くらいの剰余金があり、それはいくらなんでも多すぎるということで、私は会長時代に値下げの話も出した。しかし経営委員会で却下された。理由については色々説明されたが、私としては納得がいかなかった。その頃、新放送センター建設のための積立をしていて、最後の2年には200億円も積み立てていた。予定通りに積立が終わったので、200億円返すのが一番良いが、とりあえずは50億円返しましょうと言ったところで却下された。今回、総務大臣に同時配信が却下された話だって、きちんと料金を下げていれば、もっと合理化しろという話にはならなかったのではないか」とコメント。
もし受信料の値下げが可能であるなら、どれくらいの金額まで下げられるのか尋ねられると、「今も年間で200億円分は下げられるのではないかと思っている。ドイツでは税金として徴収、イギリスではテレビが映るものがあれば全て徴収するなどの決まりがあり、とりっぱぐれがない。日本のNHK受信料の場合、裁判もやりながら、8割強の方に払っていただいていて、残り2割の方が未払いという状況にまで来ている。100%の方が払ったならば、少なくとも今は8割だからこの2割は逆にお返しできる」とした。
番組には「ネットでも受信料っておかしい。見たい人だけ契約する方がいい」「契約者の受信料で紅白歌合戦なんてとんでもないエンタメはいらない」「NHKは受信料で制作したコンテンツをDVDなどで販売して子会社が利益をあげているのはどうなのか」「良い番組と視聴率は関係あるのか」「バラエティはいるのか」などのコメントが寄せられた。
籾井氏は「なかなか難しい問題だが、私の考えは“良い番組を作りましょう”ということだ。お金をいただいているのだから、お金をかけて良い番組を作るというのが私のやり方だった。予算を削ってどうでも良い番組ばかりを作っても意味がない。民放の場合、株式会社で利益をあげないといけないが、その中ではやりにくい自然の番組などはNHKがやらないといけないと思う」と話した。
この点についてカンニング竹山は「キャスティングを会社の偉い人が直接いじるということはむしろ民放でめちゃくちゃある。NHKと民放では会社の組織が違うので叩かれないだけだ。実はNHKがやばいのではなくて民放が本当にやばい。そしてバラエティに関しても、民放ではここまでの準備はできないというところまでできるのがNHK。結果的につまらなかったということもあるが、“良い番組って何ですか”、というのは個人の主観なので誰も答えられない。視聴率をものすごく取っているクソ番組もいっぱいある」、編集者・ライターの速水健朗氏は「Netflixなどがどんどん出てきている時代、その対抗軸としては民放のドラマよりもNHKの方が期待できると思う。僕が2019年に一番良かったテレビ番組は大河ドラマ『いだてん』だった。ああいうものを作ってもらえるのであれば受信料を払ってもいいと納得した部分もある」とコメントした。
また、相澤氏が「受信料を払ってくれている視聴者がお客様なので、もちろんそちらの方を見なければいけないはずだが、本当にそうなっていれば皆がハッピーで受信料も払われるだろう。ただ、そうではないと感じ、そっぽを向いた人が多かったので、“NHKをぶっ壊す”と言っている政党が躍進した。考えてみれば籾井さんが会長だった時代にはN国党は躍進していないので、この1年間でNHKの何が変わったのかが大事だと思う」と指摘、「いま、受信料を払っている視聴者がNHKに対して意思表示できるシステムがあるのかというと、ない。そして全権限を持つ会長を任命する経営委員会のメンバーは内閣総理大臣が任命する。つまり、間接的に内閣の影響が及んでいるということで、これが問題なのではないか」と指摘すると、籾井氏は「経営委員会が地方に行って人々の意見を聞く場に役員が参加して話を聞くことや放送番組審議会のあり方を見直すなど、より視聴者目線でものを考えていく仕組みが必要だ」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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フェミニズム論争が活発化した2019年、“ツイフェミ”を乗り越え建設的な議論をするには?
「女性が職場でヒールやパンプスを履く事を強制されるのはパワハラに当たる」と訴えるキャンペーンで新語・流行語大賞にもノミネートされた「#KuToo」。さらに週刊誌の「ヤレる女子大生ランキング特集」、女子ハンドボール大会のPRコピー「ハードプレイがお好きなあなたに」、献血PRポスター「宇崎ちゃんは遊びたい!」、NHKノーベル賞解説の「キズナアイ起用」、少年ジャンプに「フェミ漫画を!」など、2019年、Twitter上で“フェミニズム”と関連付けられて大きな論争になった問題は枚挙に暇がない。
もともとフェミニズムが意味するのは「女性の社会的・政治的・法律的な自己決定権を主張。性差別からの解放と両性の平等を目指す思想」。しかしTwitterを中心にフェミニズム論を戦わせるツイッター・フェミニズム。いわゆる「ツイフェミ」。Twitter上では、激しい論争が繰り広げられており、冷静で建設的な議論の場を作ろうとしてきたAbemaTV『AbemaPrime』にも、「フェミニストは男女平等じゃなくて女尊男卑を目指しているからアンチが生まれるのではないか」「フェミ問題の大部分は本人が対話しないことだろ」などの厳しい意見が寄せられている。
街で聞いてみても、「女の人がもっと立場上げようみたいな感じですよね」「飛躍したこと言ったりしてるんですよ。自分のことしか言わない人たちって印象しかない」、さらには感情的な意見の応酬に触れてしまった結果、「“髪切ったよね”ってだけでセクハラとか恐ろしくて。極力かかわらないのが大正解じゃないか。過剰な人が減ってほしい」「(男性は)肩身せまいけど、それを言うとまたさらに来るでしょ?女性の方が上乗せして。思ってるけど言わないんですよ」と、議論自体を避けようと人たちも少なくないようだ。
ネット論客の青識亜論氏はフェミニズムをめぐるTwitter上の議論について「ネガティブなところとしては、ツイフェミの皆さんが差別やハラスメントの告発などの否定しづらい“正義”の問題に安直に接合していきがちで、感情的になりがちなところ。Twitterがリミッターを外してしまい、いくらでも相手を殴っていいみたいに感じてしまう役割をはたしてしまっているのではないか。一方でポジティブなところとしては、女性にとっての素直な感情をはっきりと書け、議論ができる場所だということ。学者やメディアの方とも平場で話ができるので、良いところを引き出していければ、すごく有効なツールになるのではないかという希望もある。そもそも大手メディアが独占していた言論の場を民主化してくれた役割は非常に大きい。私みたいなネット論客はTwitterがなければ出てくることはできなかったし、そこが入口になり、このように議論しようとなった。だから次の発展に向けた入口みたいな役割を果たしているところはある」と話す。
武蔵大学の千田有紀氏教授は「キズナアイの問題に関しては、私も当事者だ。実際には言ってないことがフェイクニュースメディアで拡散されてしまい、裁判係争中だ。そういう点でTwitterでの議論は難しさがあると思っている。問題とされた私の書いた記事がTwitterでものすごく拡散して、ものすごく燃えたが、実は記事そのものは全然読まれていなかった。つまり、“こういうこと言ってんだろ!”と、言ってもないことでTwitterが爆発したということだ。やはり140字だけで文脈を切り取ってしまうし、一度ワーッと拡散してしまうと、後でいくら“違う”と言ってもかき消されてしまう。そういう意味では、議論するメディアとしては難しいと思っている」と自身の経験を元に語った。
現代美術作家で文筆家の柴田英里氏は「議論を加速させているという意味では、ハフポストみたいなメディアも同じだ。Twitterで拡散されると議論ができないという構造を分かっているにも関わらず、これは正しい、これは間違っているという結論ありきだったり、複雑な現実を単純化して伝わりやすい形で流してしまっている」と指摘。
これを受けたハフポスト日本版副編集長の泉谷由梨子氏も「ハフポストもSNS、Twitter等でたくさん読まれているメディアではあるが、やはりコメントを見ていると、明らかに中身を読んでいないと思われるものが非常に多い。メディアが燃料を投下しているように思われるかもしれないが、それはものすごくバズったところだけをご覧になっている方が多いからで、普段は本当に地道に日々のニュースを実直にやっているつもりだ。ただ、SNS上の議論については私たちも夢を見ていた部分があった。さすがにSNS上だけの議論には限界を感じているので、ハフポストブックスという本を出したり、番組を作ったり、イベントをたくさんやったり、いろんな伝え方を研究しているところだ。全部成功したとはなかなか言えないかもしれないが、徐々にメディアはそういう方向にシフトしていかなければいけない」と訴えた。
他方、泉谷氏は「フェミニズムでは今、男性学の先生方がすごく熱い」と指摘。千田氏も「最近、一番面白いと思うのは男性学だ。今までの男性学はフェミニズムのネガと言うか、“女の人も悪いことをやっていた”か“自分たちも抑圧されている”のどちらかだった。それに対して、自分たちの男性性がどういう時に自分たちを縛ってしまうのかなど、理論的な展開が出てきている。フェミニズムは、20年くらい新しいパラダイムがないと思っているが、男性学はこれからいけるのではないかとすごく思う」と期待を寄せる。
青識氏も男性の立場から、「私が発言し、討論しようと言っても、女性の専門家にはなかなか乗ってきてもらえないところもある。ここも不思議な溝があって、それをいかに埋めていくかがこれからTwitterでの議論を建設的にする1つのポイントだと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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“井上元コーチ”への独占インタビューから考える、日大アメフト部騒動とテレビの「過熱報道」
12月13日、兵庫県尼崎市。身長185cm・体重90kgという、大きな体の男が現れた。2018年5月、日大アメフト部悪質タックル問題で監督と共に謝罪会見を行った、井上奨・元コーチ(取材時30歳)だ。
会見では「“QBを潰して来い”と言ったのは真実。ただ、怪我させることを目的としては正直、言ってない」と、あくまで選手を鼓舞するために指示を行ったことは認めたが、怪我をさせる気はなかったと説明した井上元コーチ。しかし、当該選手が「コーチや監督からの指示だった」と会見で話したこと、さらに傷害容疑での刑事告訴も加わって、ワイドショーや週刊誌には“悪質タックル指示の決定的証拠を公開”“監督逮捕Xデー 日大「暗黒のブランド」”“日大監督「どす黒い男」”“殺人タックルの指令を出した監督”“鬼コーチの「私生活」”など、日大アメフト部を悪の巣窟であるかのような報道が溢れた。
「あの記者会見がほんまに全てになってしまって、やっぱり僕も何か発信しなあかんなとも考えたり、いま言ったらまた叩かれるやろなとか考えたり。でも、ずっと黙っているのは、ちょっとどこかで逃げているような感じがした」。
あれから1年7カ月、昨年11月には「嫌疑不十分」として不起訴が決定。検察は彼を罪に問えないとの判断を下した。そして今回、井上元コーチが長きにわたる沈黙を破り、AbemaTV『AbemaPrime』に騒動の真相を激白した。聞き手は、当時、ワイドショーなどで日大批判を行っていたと話すカンニング竹山だ。
■「アプローチの仕方がもっと他にあったと思う」
すべての始まりは、あのタックルからだった。日本大学と関西学院大学のアメリカンフットボール部による伝統の一戦。アメフトはボールを前に進めていくスポーツで、相手の前進を阻むため、ボールを持った選手にタックルに行くことになる。その中でメディアが問題視したのが、ボールを投げ終わり、自身はプレーにまったく関係ない状態になっていた選手に行った、あわや大怪我の悪質タックルだ。そして浮上したのは、「誰がこの悪質タックルを指示したのか」という、騒動の争点かつ最大の疑問だった。
竹山:「どんな手を使ってでもやれ」「あのQBディフェンスラインやから潰しとけよ、ちゃんと」と言ったのか。あの試合の前に何があったのか。
井上:「お前、関学のQB潰して来いよ」「どうする?試合出る?出たいの?」と言った。「潰すんやったら出てええよ」と言った。「仲良しでやってるんちゃうねんから、お前、本気にやれよ!」と「監督もそうやって言うてんぞ!」と言った。
竹山:それは本当に内田監督から聞いたのではなく、井上さんが言ったのか?
井上:そう。僕もちょっと熱が入ってしまった。多分それが最終的に、監督が言ったことになったのかなというのもあるが、「ハングリーにタックルして来い!」という意味。僕の感覚やったら、意味分かるよな、というか。勝手に思っていたのかもしれないけど。
騒動後、タックルを行った選手は1人で会見を行い、「コーチと監督から“相手選手が怪我をし、その後の試合に出られなかったら得だろう。やらなきゃ意味ないよ”と、2人の指示によって悪質タックルを行った」と語った。しかし井上氏は、選手の闘志に火を付けるため「つぶしてこい」とは言ったものの、ケガさせることを指示したわけではないと主張し、両者の答えはすれ違っている。
そして、外せないのが、井上氏と選手の関係性だ。2人の出会いは、選手がまだ高校生の頃に遡る。彼の持って生まれた体格、そして高い身体能力にほれ込んだ井上元コーチは、彼を本気で育てたいと思ったという。実際に指導をする中で、選手はメキメキと力を伸ばしてゆき、世代別の日本代表に選ばれるほどになった。当時、選手は井上元コーチのことを「つとむさん」と呼ぶほど頼りにし、互いに何でも言い合える親しい関係だったという。
井上:彼と僕の関係はほんま高校時代に遡るくらい、気持ちと気持ちがずっとあったというか…。(高校2年の時に)彼の体型を見て、身長が高くて、思いっきりディフェンスエンドの体型。「この子を最高のディフェンスエンドにしよう!」と思った。「大学ではフットボールやって欲しいねん」と言った。
1年生ながら素晴らしい才能でレギュラーとなった選手。しかし、プレーにムラがあり、ビッグプレーの反面、大きな致命的なミスをすることもあったのだという。27年ぶりに念願の学生日本一に返り咲いていた日大アメフト部で、上級生が卒業した後、彼こそチームを引っ張るリーダーになってほしいと考えていた井上元コーチ。そして2人の関係は少しずつ変わっていったという。
井上:彼に優しく接しているから、彼も甘えてるんちゃうかなって思いだしたりして、僕も変わらなあかんというか、ちょっとキツイ言葉を言ったり、怒ったりが増えた。だから彼は多分、『高校時代のつとむさんちゃうな』っていうのはどこかで持っていたと思う。何でも日本一になるのは簡単ではないけど、でも卒業して日本一になったというプライドが、どれだけ自分の糧になるかを僕らは教えたかった。ほんまにベストは(学生たちが)自分たちでやること。自主性。自分ら仲間同士で厳しくする、要は追求する。
竹山:学生同士で?
井上:学生同士。でもやっぱり、それはすごい難しい。だからある程度、こっちが発破をかけてやらないと勝てないと思う。手を出すとかではない。これは全然違う。でも、厳しく怒る。何で俺は怒ってんねんっていうのも伝えなあかん。厳しくしようとか、ガチガチにはめるってのは、今すごい否定されてるけど、でもそれを一概にパワハラって言うと、それは違うと思う。そして「(試合に)出されへん!」というのは言った。ほんまに怒った。でも、外すというのは僕の計画というか、1回外してみて、彼がどういう顔するんやろう、どういう反応するんやろうと。彼に問いたかったのは「自分どうしたいねん?」と。試合に出たいのか、練習したいのか、QBサックしたいのか、お前はどうしたいねん!?ということで、もっと来て欲しかった。
竹山:では、ラフプレーを見た時の印象は?
井上:ほんまになんていうか、(心臓が)ドキドキってなったというか、これはちゃう!って思ったけど、僕も初めて見た。もうビックリして。ほんまに何か、ほんまに何か「えっ?そこまで行く!?」という、そんな感じ。
井上元コーチも理解できなかったというあのタックル。試合後、SNSで動画が拡散され、人々に知れ渡ることになるが、井上氏はすぐに選手と話をしたという。
井上:犯罪者みたいな扱いされて、SNSでああやこうや言われて。「でもお前、悪ないからフットボール続けてくれ!」と選手には言った。「辞めて欲しない!絶対辞めるなよ!!」と言った。でも、「もう辞めます。辞めさせて下さい」と。「何で?どうするの?」と。「いや、もうあんなタックルしろって言われて、やれって言われてね、やって…」って。彼としては「やれって言われてやりました」ということ。だからもう「ええっ?」と思った。
井上元コーチはその後、もしかしたら自らが選手を追い込んでしまったのではないかと考え始める。
井上:彼に対しては、僕は多分間違っていた。彼と僕の関係だけ。
竹山:個人的な指導ということ?
井上:はい。アプローチの仕方がもっと他にあったと思う。でもそれが何かは、あの時は分からなかった。僕がプレッシャーをかけたからやってしまったというのも、どこかであったような。今でも分からないけど、彼と僕はどこで離れてしまったのかな。
■「テレビは最終的に何を伝えたいのかなと思っていた」
指示をしたのか、しなかったのか。その答えは、井上氏のインタビューを踏まえても定かではない。しかし、あのタックルをした選手は、会見後、一度は引退を決意したものの、思い直して試合に復帰。それでも今後、アメフトを続けるかは未定だという。
そして、傷害容疑で刑事告訴された監督、コーチ、選手は皆、昨年11月に不起訴という判断が司法により下された。日大を懲戒解雇された監督は、解雇の無効を求めた裁判で和解が成立した。
問題の発生から1年と7カ月、時計の針は少しずつ動いている。しかし時間が経ったが故に浮上した新たな問題が浮上した。結果として嫌疑不十分として不起訴となったものの、当時、関係者の証言や検証機関などの調査結果を元に、彼らをまるで犯罪者のように伝えていたメディアが、不起訴処分の判断について長い時間を割き報道することはなかったのだ。
例えば日大の会見を報じた時間(当日・翌日)は、NHKが2時間41分32秒、日テレが7時間47分45秒、テレ朝が8時間13分52秒、TBSが10時間23分00秒、テレ東が4分56秒、フジが11時間36分21秒で、合計40時間47分26秒に上る。これに対し、不起訴処分決定を報じた時間(当日・翌日)は、NHKが1分59秒、日テレが2分18秒、テレ朝が3分08秒、TBSが2分12秒、テレ東が0分00秒、フジが2分25秒で、合計12分02秒に過ぎない。
こうした点について井上元コーチは「監督とコーチの指示があった」「日大アメフト部の指導体制に問題」などと結論付けた日大の第三者委員会、関東学生連盟の調査はあまりにずさんなものだったとして、強い憤りを隠さない。
井上:偏った報道があって、僕らはほんまの悪者になって。多分、世間の人の印象はそのまま。そして、第三者委員会に呼ばれたのは1回だけ。もっと話すことがあるし、でも3時間と時間が決められていて。納得いかんと思っていたけど、また呼ばれると思ってた。結局、呼ばれないまま認定されてしまった。「指示した」と。それはあり得へん!と思った。学生にもアンケートみたいなのを取っていて、僕と監督の会話で、あのプレーについて「監督やりましたね」で、監督が「おう!」って。そんなん…。そんな会話いつしたん!?みたいな。それを聞いた学生がおるから、みたいな。僕は聞かれたときに「絶対に言っていない!そんな会話するわけない」と言った。(内田監督の)“独裁”というのにも、すごい違和感がある。
竹山:内田監督を頂点とする、というような感じではなかった?
井上:ない!全然違う。内田前監督は学生に対しては優しい。でも、第三者委員会も連盟もそうだけど「パワハラ(ありき)」。パワハラで、厳しい指導で、選手は怯えていると。彼のタックルに限らず、全部やらされて、恐怖に怯えながらやっていたと。
調査結果に関して何が正しかったのか、その答えは分からない。しかし、報道するということは時として、人の人生を変えてしまうことがある。結果として、彼は日大職員という職を失い、いまだに後ろ指を差される日々だ。
井上:テレビは最終的に何を伝えたいのかなと思っていた。ありもしない話が出てきたり。話がすごく偏ってる。でもそれはほんまにパワハラをなくそうとしてるのかと思う。なくそうとしてるのなら、こっちの目線もあって、こっちの目線もあってということをやって欲しい。皆が皆一緒の指導をして一緒にうまくなるんじゃない。色々な指導の仕方がある。正解はまだ見つからないと思うけど、その正解をもっと話す必要があると思う。今こそ議論するべき。
■「またここで一からやって、会社のために頑張ろう!」
2時間に及ぶインタビューの終了後、井上元コーチを側で見守っていた同級生からは「熱くなり過ぎ!」「顔が怖くなってる!」「優しいのに!」との言葉が投げかけられた。職を失った井上元コーチに「一緒に働かないか」と手を差し伸べた、大学時代のチームメイトだ。
竹山:現在は何をしているのか?指導はもうやっていない?
井上:全く違う仕事をやっている。工場や建設現場に人を手配する仕事をしている。
竹山:アメフトに関係のない、学生を指導するという仕事以外の仕事は初めて?
井上:初めて。何カ月間かは現場に出て修行していた。ヘルメット被って。
竹山:同じ現場の同僚など、一緒に働いている方に気付かれたり?
井上:体も大きいので「何やってたん?」と聞かれた。「アメフト教えてて…」と言ったら「あぁ!」と。そういうのは結構あった。(その時は)隠さないで「そう」と。(新しい職場では)皆、偏見を持たないというか、快く受け止めてくれた感じなので、その辺はほんま感謝している。
竹山:アメリカンフットボールの指導者に戻りたい?
井上:今はない。新しい仕事に就いて、またここで一からやって、会社のために頑張ろう!という気持ち。
■「蒸し返すのではなく、報じ直すのが我々の責任ではないか」
井上元コーチについて「顔が柔らかかった。一般の優しいおじさんに見えた。メディアで見た顔と違う。ちょっと色付きの眼鏡だった」と、報道時とのイメージの違いを語ったカンニング竹山に、「それが違う。もっと色付き(眼鏡を)かけていた。色が付いてたけど、色付いてたといってもチンピラみたいなやつじゃない。でも、記者会見をやる前に、“この眼鏡、ヤバいな”って。職員としてパソコンやるから、目のための色。でも、これじゃ記者会見は失礼やなと思って、急遽、透明なやつを家から持ってきた。それがあれしかなかった。それやったら眼鏡かけへん方が…。あれはマジで失敗」と会見の裏話を語った。
そして、「そういうところは話さないとやっぱり分からない。いまの話はものすごくバラエティー的な話。ものすごい面白い話だから、別に誘ってるとか出てくださいという話じゃない。バラエティーに出た時、その話すると相当ウケる話。面白いな!ってなる」と声をかけた竹山。インタビューを終え、「なぜあのタックルが起きたのかも誤解があったりする問題で、白黒はっきりつけられないところがある。ただ、メディアの報道、僕もそれに乗っかってやっていたが、伝える立場としては公平性が無いままにやってきたのかもしれないという恐怖が残っている。もしそうだとしたら、蒸し返すのではなく、キチッと報じ直すのが我々の責任ではないか」と問題提起する。
「結局、どこの番組もお金もない、でも数字を取らなければいけない。そのためにはどうするか。正義と悪の“ウルトラマン構造”はわかりやすい。そういうストーリー仕立てにして我々は流してしまう。それで実際に数字が上がる。だから明日もやろう、その次の日もやろうと、各局がやってきたツケだ。商業主義になって、本当に伝えるべき真実を我々は忘れている」。
明星大学の藤井靖准教授(臨床心理学)は「井上元コーチが告白したことにすごく敬意を表したい。話し方を見たり内容を聞いたりしていると、すごく純粋で、学生との距離がものすごく近かったのだと思う。一方で、集団の雰囲気としては、コーチも含めてかなり追い込まれていたと思うので、洗脳が起こりやすい環境でもあったと思うし、パワハラや指示の加害者同然の問題だったとも思う。学生同士で話し合わせ、主体的にやらせようとしたのが上手く行かず、そこから道を間違えたのだとすれば、そのことを今後に活かすという意味での分析や報道は不足していたと言える」と指摘した。
編集者・ライターの速水健朗氏は「検証報道が必要だと思う。インタビューの中で眼鏡の話が出てきたが、あれがどういう印象を与えたか。そのカラクリをちゃんと突っ込むと、漫才みたいな話だ。しかしそれは単に笑い話ではなく、こういうメディアの“ずらす”ような報道があったということは実際に出ている。僕らが受けた印象の理由の一つが眼鏡だったということを後からちゃんと聞くこと。これが本当の検証だと思う」と語っていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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夫の実家に行くのがツラい…“帰省ブルー”をどう乗り越える? 柴田阿弥「期待に応えなくていいと思う」
ここ数年、年末になるとネット上で共感を呼ぶ「お正月に夫の実家に行くのがツラい」という“帰省ブルー”問題。“嫁らしさ”や“妻らしさ”を求めないでほしいという女性たちの叫びについて、大晦日のAbemaTV『AbemaPrime』で議論した。
まず武蔵大学の千田有紀教授は「元々は他人だった家族のところに女の人が行くというのはすごく大変なことだと思う。どういうふうに家事や気遣いをするのかという、ある種の“テスト”みたいなものがあるし、“あなたはこの嫁役割みたいなものを受け入れるのか”というテストでもあると思う。姑世代の人たちは、そういう規範に縛られて生きてきたので、“嫁を自由にしてあげたい”という気持ちもある一方、“私ばかりが損をしている”という損得勘定もあると思う。嫁としては経済的な援助を得られないとか、“とんでもない嫁だ”と言われることなどを気にしなければいいと思うが、なかなか難しい。男性たちに対しては、“お母さんの子ども”という地位から脱して、“妻のパートナー”という立場で振舞ってくれれば、だいぶ違うと思う」と話す。
タレントの池澤あやかは「私は九州の生まれだが、家事は女性の仕事、という文化が根強く、ご飯を作ったり、それを配膳したりする時にも男性は休んでいる、という状況が実家も含めて日常的にある。“こっちも働いて帰ってきたんですけど…”と思うことはある」と明かし、同じく九州出身のカンニング竹山は「本家なんかに行くと、男だけが座敷で飲んで、母ちゃんたちは台所で食事を作りながら飲んで、新しく来た嫁の悪口を言う、みたいな感じだった。妻がうちに行くのを嫌がると悲しくなるが、僕も妻の実家に行くのは嫌でしょうがなかったし、“めんどくさい”と言うとやっぱり妻は悲しそうな顔をした。ただ、“いい嫁”というキャラクターでいることに幸せを見出しているとか、そっちの方が好きな人も中にはいると思う」とした。
これに対し、フリーアナウンサーの柴田阿弥は、「以前、習い事をしていた時に、姑さん世代の先生が“男性には掃除をさせないで”と言った。それに耐えていると女性が枠に収まらなくてはいけなくなると感じたし、私はそこで引き下がれなかった」と振り返り、千田氏の言う“テスト”についても「私は気も利かないし、求められるようなことが絶対にできないと思う。むしろ“すみません、できません”で、期待に応えなくてもいいと思うし、結婚もしちゃってるんだからそれくらいのことで離婚させられないだろうと。姑のいびりと言っても所詮は他人だし、順番で言えば先に亡くなる方だし、年イチしか会わないわけだし、喧嘩していてもいい。うちも男性が家事をしない家庭だが、そんなことでこれからの令和の時代に生きていけるのか」と毅然とコメント。
他方、ネット論客の青識亜論氏は「私は徳島に住んでいるが、長男だということもあり、“あれしろ、これしろ”というのが残っている。やはり田舎には女性だけでなく、男性にも生きづらさがあると思う」と指摘。
慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「男性が女性を縛っているというよりも、女性が世代を越えて女性を縛っている部分があると思う。僕の親戚もそうだった気がする。そして、やはり旦那がマザコンだから、母親世代の女性像を妻に対しても持ち込んでいるのだと思う」、ハフポスト日本版副編集長の泉谷由梨子氏も「いい嫁じゃないといけないと考えるのは、気のせいの部分も少しはあるかもしれないし、実際、そこまで求めていないという親もいるとは思う。やはり頑張っちゃうというのは、規範を内面化している女性が多いのではないか」との見方を示した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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「売れないのが基本でちょうどいい」野性爆弾・くっきー!ブレイクまで22年、下積み時代の“しくじり”振り返る
お笑いコンビ、野性爆弾・くっきー!の快進撃が止まらない。くっきー!といえば、白く塗った顔に有名人の顔を描いた“白塗りモノマネ”をはじめとする独特のネタが人気を博し、Instagramで大物アーティストや人気俳優が絶賛するなど、瞬く間に話題に。2019年には画家として描いたアート5作品がニューヨークで約1100万円の値がつき、ロックバンド・ジェニーハイではベースを担当するなど、今も芸人だけでなく多岐に渡るジャンルで才能を発揮しているが、約22年間、彼が売れない時期を過ごしていた事実はあまり知られていない。
過激なネタで客やスタッフから反感を買っていた過去の反省を踏まえて、今の若手芸人に贈る、くっきー!流のアドバイスとは?
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――ご自身がブレイクするまで約22年間、過激なコントや芸風でファンやスタッフの反感を買ってしまったそうですね。
くっきー!:もし芸人を大きく2つに分けるとしたら、漫才師のような正統派と、僕やリットン調査団さんのようなマニアックな芸で勝負する、2つの流派があって。僕たち野性爆弾のようなコンビって後者で、売れるまでめちゃくちゃ苦労するんです。だから、芸人になってバチバチに売れたいんだったら、後輩には「芸風はちゃんと選んだほうがええよ」って言いたいですね。
僕らの流派って「売れないのが基本」と思うくらいでちょうどいい。この芸風で売れる奴なんて「あと何十年経っても(僕ら以外に)他に出てこないかもしれない」と僕が思っているくらいです。
――くっきー!さんの持ちネタの代表作といえば白塗りモノマネですが、その中で特に印象に残っている人はいますか。
くっきー!:コブクロの黒田さんですね。黒田さんの白塗りメイクをInstagramにあげたとき、とにかく反響が大きかったんです。しかも、その画像を黒田さんが自身のInstagramのアイコンに使ってくれて。ほんまに飛び跳ねるくらいうれしかった。僕の超主観ですが「モノマネを芸として認めてもらえたのかな」っていう実感がありました。
――1月6日放送の「しくじり先生 俺みたいになるな!!」では、くっきー!さんの過去の“しくじり”を振り返っていますが、収録を終えていかがですか?
くっきー!:僕が熱い話をしているとき、オードリー・若林が目をウルッとさせながら聞いてくれていましたね。収録もすごく楽しくやらせていただいて、予想以上にスタジオが盛り上がってうれしかったです。
――今回、“生徒役”として登場した次長課長・河本準一さんとは同期なんですね。
くっきー!:河本とはNSC(吉本総合芸能学院)に入所した当初から仲は良かったんです。NSCではまずグループごとに分かれていろいろやるんですが、河本はそのとき一緒のグループで。僕らの付き合いって実は長いんです。
――くっきー!さんと河本さんのミニコント、スタジオは大ウケでした。
くっきー!:芸人同士で昔からの仲だと、お互いどうしてもふざけたくてウズウズしちゃうんでしょうね(笑)。今回はウケたからいいかもしれませんが、たまに周りを置いていきがちにしてしまうこともあるので、自分でも悪い癖だなと思います。
今日も僕らがミニコントを始めたとき、一瞬変な静寂に包まれた瞬間があったじゃないですか? あれは、けっこうキツいです(笑)。
――収録では、くっきー!さんの数々の伝説(?)を振り返りましたが、師匠である宮川大助・花子さんのコラ画像を無断で作っているときはどんな気持ちだったのでしょうか?
くっきー!:コラ画像って、画的に師匠をいじるわけじゃないですか? そこで1番アカンのって、その師匠をいじったギャグで滑ることなんですよ。だから、弟子としては超真剣で。本気で笑いを取りにいくつもりでやっていました。
実は、体のサイズ感に対して「頭のデカさはこのくらいのパーセンテージでええかな?」って綿密に計算してるんですよ。師匠のコラ画像を作っているときは、数学に近いことをやっている気持ちでしたね。他にも、オール巨人師匠にバチギレされたり、平和ラッパ師匠に大嘘の相談でバチギレされたり。大先輩であるチャッソさんをいじったりしていましたが、滑るのだけはダメだと心に決めていました。
――大先輩である師匠をいじるのって、ハードルが高くないですか?
くっきー!:世間では「先輩や目上の人をいじらないほうがいい」っていう空気がきっとどの職業にもありますよね。少し大げさな言い方になってしまうんですが、芸の中で僕が師匠をいじったことによって、ある意味新しいポジションを開拓できたんじゃないのかなって思っていて。
若手芸人と大御所芸人の間って大きな壁があるんですよ。その今まで大きな壁があったところで、架け橋のような存在になれたらいいなって。僕のような存在が新しい扉を開けて、次にいかないことには、師匠も嫌やろうなと思うんです。
――くっきー!さんが“先輩愛”に溢れているのがよく分かりました。2019年12月に宮川花子さんが多発性骨髄腫(ガン化した細胞がさまざまな症状を引き起こす病気)を公表されましたが、花子さんにはお会いしましたか?
くっきー!:この前(※取材日は2019年12月中旬)花子師匠と仕事でお会いしたとき、車いすだったんですよ。だから「師匠、大丈夫?」って聞いたら「大丈夫。首いわした(痛めた)だけやから」って元気に振る舞ってはりましたよ。
もちろんめちゃくちゃ心配ですが、師匠は前も大きな病気をして、そこから復帰した強い方。僕は花子師匠は必ず復活すると信じています。それに、後輩から見ても師匠がへこんでいるところは想像できないですから。
(Photo:岡田誠)
(Text:近藤加奈子)
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キンタロー。榎並アナと出かけた夫をGPSで検索「ずるいー!!!!!!!!」
キンタロー。公式ブログよりスクリーンショット
お笑い芸人のキンタロー。が5日に更新した自身のアメブロで、夫をGPSで検索したことを明かした。
この日、キンタロー。は「朝からゴルフで 帰宅まだかなと思い遅いので なんとなくGPSみたらアウトレットに矢が刺さっている!!!!」と、ゴルフに出かけた夫をGPSで検索したところ、アウトレットにいることが判明。「ずるいー!!!!!!!!」「私もアウトレットは行きたかった!!!!」とコメントした。
同日に夫もブログを更新しており、「妻のお許しも得てゴルフへ」と、フジテレビの榎並大二郎アナウンサーらと今年初のゴルフへ行った事を報告。その後、「クラブ、買おうかなと…」という榎並アナの言葉で、アウトレットモールへ行くことになったという。
そこで、キンタロー。から「なんでアウトレットいるの?」というメッセージが届いたそうで、「こ。怖い。。何で知ってるんだ?」とコメント。キンタロー。からお土産をリクエストされたと明かした。
この展開を読んでいたという上司が「奥さんにゴディバでも買っていく?プレゼントするよ」と言ってくれたそうで、店に向かったが大混雑。「おみやげ買えんかった」とキンタロー。に伝えたところ「絶対、食べたかった」と、スネてしまったそうで「言うんじゃなかった。。」とつづりブログを締めくくった。
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アニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」死の運命を変えるため…新編集版2話&3話あらすじ解禁
アニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」新編集版の第2話と第3話(両話とも1月8日より順次放送)のあらすじ・先行カットが解禁された。
同作は、2016年に放送されたTVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』を新たに1時間番組として再編集したもので、2018年秋に劇場上映された『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』に続く、アニメ完全新作エピソードの第2弾。ヒロインのエミリアと精霊のパックが出会い、ロズワール邸に呼ばれるまでの物語で、エリオール大森林で暮らしていたエミリアがルグニカ王国の王選に臨むまでを描いた、TVシリーズの前日譚となっている。
新編集版・第2話「再会の魔女」
【あらすじ】
一度目は何者かに襲われ、二度目はエルザに腹を切り裂かれ、三度目はチンピラにナイフで背中を刺され、 スバルは確かに命を失ったはずだった。しかし気が付くとスバルは初めて異世界へとやってきた場所に立っていた。あり得ないと思いつつも自らが置かれた状況から、死ぬ度に初期状態へと戻る死に戻りが起きてい ることを認識するスバル。サテラやフェルト、そしてロム爺に襲いかかるであろう死の運命を変えるため、 四度目となる世界を走りだす。
新編集版・第3話「ゼロから始まる異世界生活」
【あらすじ】
エルザが盗品蔵に来る前にフェルトから徽章を買い取り、サテラに返そうとするスバル。しかし交渉の途中でサテラが現れ、さらにはエルザが襲いかかってくる。応戦するパックはエルザをあと一歩のところまで追い詰めるが、途中でマナが切れてしまい消えてしまう。パックを欠いたスバルたちではエルザを倒すどころか攻撃を防ぐことすらままならない。絶体絶命の状況に追い込まれてしまったスバルは、自らの体を張ってどうにかフェルトを逃がすことに成功する。 【キャスト】ナツキ・スバル:小林裕介
エミリア:高橋李依
パック:内山夕実
レム:水瀬いのり
ラム:村川梨衣
ベアトリス:新井里美
ロズワール・L・メイザース:子安武人
フェルト:赤崎千夏 (※「崎」は正確には立つ崎の字)
ラインハルト・ヴァン・アストレア:中村悠一
クルシュ・カルステン:井口裕香
フェリックス・アーガイル:堀江由衣
ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア:堀内賢雄
アナスタシア・ホーシン:植田佳奈
ユリウス・ユークリウス:江口拓也
プリシラ・バーリエル:田村ゆかり
アルデバラン:藤原啓治
エルザ・グランヒルテ:能登麻美子
ペテルギウス・ロマネコンティ:松岡禎丞
■公式サイトURL http://re-zero-anime.jp/
■公式Twitter @Rezero_official
(C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活1製作委員会
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山田孝之、広瀬アリスと共に聖火ランナーに選出「まさか私みたいな者が」
俳優の山田孝之(36)と女優の広瀬アリス(25)が6日、都内で行なわれた「2020年 春 ジョージアブランド」戦略発表会に登場、東京2020オリンピック・パラリンピックの聖火ランナーを務めることが発表された。
聖火ランナーに選ばれた気持ちを山田は「まさか私みたいな者が、神聖な聖火を持ち、走れる日が来るとはとても驚いています」とコメント。その後、意気込みを書いたフリップと共に「がんばります!」と声高らかに宣言した。
続いて広瀬も「生きている間にこんな素晴らしい事は一生無いと思うので、びっくりしていますが、とてもワクワクしています」と笑顔を見せた。しかし、一方で「すごく緊張すると思う。緊張で記憶が飛んだらどうしよう」と不安な気持ちも吐露した。
聖火リレーは、3月26日に福島県をスタートし、121日間かけて47都道府県の様々な場所を回る。
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GENERATIONS小森隼、高校生ぶりの黒髪に照れ笑い「服を着ていないみたい(笑)」
6日、朗読劇『芸人交換日記』の公開ゲネプロが恵比寿ザ・ガーデンホールにて行われ、主演を務めるGENERATIONS from EXILE TRIBE の小森隼、お笑いコンビ・ナイツの塙宣之、森田想、脚本・演出を手がける鈴木おさむが囲み取材に応じた。
本作は、LDHが贈る新たな朗読劇「BOOK ACT」シリーズの第2弾。2011年に出版された鈴木おさむの小説「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」が原作だ。主人公は、売れない芸人コンビ・イエローハーツの田中と甲本。コンビ同士で言いたいことをすべて言い合う交換日記を始めるストーリーを通じ、芸人同士のリアルな悩みや葛藤が、楽しく、面白く、そして悲しく描かれる。
田中役を演じるのは、本作が初舞台、初主演となる小森隼。甲本役は人気芸人が公演ごとに入れ替わる形で演じ、初日はナイツの塙が小森と一日限りのイエローハーツを結成した。2日目以降は、三四郎・相田、アルコ&ピース・平子、ANZEN漫才・みやぞん、EXIT・りんたろー。が、甲本役を担当。なお、甲本の妻・久美役および、甲本の娘・黄染役を森田想が演じている。
初日を迎えるにあたり、小森は「いざお仕事になって本当にやるんだっていう時は、不安もありました」と、オファーを受けた際の心境を振り返りつつ、「おさむさんにも色々ご相談させていただきましたし、スタッフの皆さんとも話し合いながら、自分ができるチャレンジの1つとして向き合ってやってみたいなという想いが強い中、今日やっと初日を迎えるという感じですね」と、感慨深げに語った。
普段、GENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーとして数々のステージに立っている小森だが、朗読劇は全く心境が異なるとのこと。「今まで色々なステージで踊らせていただいたことあるんですけど、1回も動かないということが初めてなので、すごい緊張感のなかやらせていただいています。立っているだけで足踏みしたい自分なので、それもグッと堪えながら(笑)」とコメントした。
また、田中を演じるにあたり、この日楽屋で髪を黒に染め、トレードマークの金髪を封印した小森。鈴木から「今日からこれで行くらしいです」とイジられると、小森は「やめてください!僕、恥ずかしくてしょうがないですから」「高校生ぶりの黒なんで…。今、すごい恥ずかしい」とタジタジに。周囲から「似合っている」との声が飛ぶも、小森は「スタッフさんと会う時、服を着ていないみたいな気持ちになります。金髪を無くすと、自分がいなくなった気持ち」などと話し、慣れない黒髪に終始照れ笑いを浮かべていた。
なお、小森はGENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーとして、昨年末には「NHK紅白歌合戦」に初出場。出演後の反響について質問が飛ぶと、「母親から『泣きました』とLINEが届いたりとか、どこへ行っても『紅白見ました』って言ってくださって。応援していただいているんだなというのは、ものすごく感じていますね」と語った。
一方の塙は、芸人の苦悩や葛藤を描いた本作について「芸人がグッとくるポイントがいっぱいあるんですよ」としみじみ話し、なかでも「売れても辛い」という田中の台詞に胸を打たれたとのこと。「僕が売れていない時に、兄貴が先に売れたじゃないですか。兄貴に呼び出されて、(芸人を)やめろって言われた時あるんですよ。売れてから生活が変わって辛い。お前にそんな想いさせたくないからって言われたのを思い出すんです」と、エピソードを披露した。
また、塙は続けて「最近、刑事ドラマに2年ぐらい出ていて、ネットで演技がひどいって叩かれていて(笑)。朗読劇だから読むだけなので、まだギリギリバレていない(笑)」と自虐発言で報道陣を笑わせたが、鈴木は「めっちゃいいですよ。グッときましたよ」と、塙の演技に太鼓判を押していた。
朗読劇『芸人交換日記』は、恵比寿ザ・ガーデンホールにて、6日から8日まで上演。また、2月には東京と兵庫にて、「BOOK ACT」の第3弾として『ヒーローよ 安らかに眠れ』『もう一度君と踊りたい』『芸人交換日記』の3作品が上演される。小森は第3弾の『芸人交換日記』では、田中ではなく甲本役を演じる。
取材・テキスト・撮影:水野梨香
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試合中に親子(師弟)関係にヒビ、父の目に涙…不満爆発の息子が放った言葉に…【ATPカップ】
4カ国ずつの6グループからなるATPカップで「死のグループ」と呼ばれているのがドイツ、ギリシャ、カナダ、オーストラリアが集まったF組だ。その中でもエースにランキング7位のズベレフ、第2シングルスにランキング35位のストルフ。そして、ダブルスにクラビーツ/ミース(2019年の最終戦ダブルスに出場)を揃えたドイツは、チームのバランスが良く、優勝候補として挙げられていた。ところが第一戦のオーストラリア戦でズベレフに「ダブルフォールト病が」が起こり、シングルスの2試合とダブルスまで落とし完敗。第二戦のギリシャ戦は絶対に負けられない戦いとなった。
ドイツは、まずストルフが第1シングルスを取りズベレフにつなぐ。しかし、ズベレフのサーブはイップス状態でチチパス戦でもダブルフォールトを連発。フラストレーションを爆発させたズベレフは、声をかけた父親(コーチでもある)に怒りの表情で猛反発。愛する息子からひどい言葉を投げつけられた父親が涙を流す場面まであった。ズベレフは心を鎮めることができないままチチパスにストレート負け。そして勝負はダブルスにかかることになった。
「歴史に残る名勝負となったダブルス」
このATPカップのダブルスは40-40になったら次の一本を取った方がゲームを得るノーアドバンテージ方式で、セットオールになった場合は、10ポイントマッチタイブレークとなっている。この試合がハラハラドキドキの名勝負となったのだ。
ドイツは昨年の全仏ダブルスを制しているクラビーツ/ミース組。そしてギリシャはシングルスを戦ったばかりのチチパスがペルボララキスと組んで出場してきた。試合はチチパスが躍動する。パートナーのペルボララキスのボールまで奪うような積極的なプレイでセットオールとして、スーパータイブレークも5−0とギリシャがリード。これで決まったかに思えたが、試合はここからが本番だった。
経験豊富なドイツ組みは先行されても慌てない。徐々に追い上げスコアは9−9。ここからは2ポイントアップするまで試合は決まらない。10-10以降は一進一退の攻防が続き、ギリシャが13-12、15-14のポイントでマッチポイントを迎える。リターンするのはチチパス。「決めてやる!」と意気込むがドイツはサーブで2本のマッチポイントを凌ぐ。そして逆に迎えた15-16のマッチポイントをドイツ組みが取って試合終了。このスーパータイブレークは25分間の長い戦いとなった。これは永久保存したいダブルスの名勝負だ。
この勝利でドイツは首の皮一枚の可能性を残した。最終戦の相手は、オーストラリアに敗れ1勝1敗となったカナダ。両国にとって、絶対に負けられない戦いが続く。
文/井山夏生(元テニスジャーナル編集長)