「米イラン戦争」開戦で語られる最悪のシナリオ

数百万人に上る犠牲者、ISの復活…

イラン国営メディアによると、1月6日にイランの首都、テヘランで執り行われたソレイマニ司令官の葬儀には、「数百万人」が訪れた(写真:ロイター/Nazanin Tabatabaee/WANA)

アメリカがイランのナンバー2、精鋭部隊の革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を空爆により暗殺したことで、イランの最高指導者ハメネイ師は報復を宣言した。

イランが報復を実行に移す場合、アメリカとの全面的な戦争を避けるため、限定的な報復を選択する可能性が高いとみられている。だが、そこには大規模な戦争に発展しかねない危険もはらむ。

「すでに戦争状態にある」

トランプ政権が認めるか認めないかにかかわらず、アメリカはソレイマニ司令官を殺害したことで、イランと戦争状態にある――。アメリカの政治専門紙ザ・ヒルは4日、こう主張する論考を掲載した。暗殺は、アメリカ中央軍司令官を殺害したことに相当すると指摘。イランが報復するのは確実で、問題はいつ、どこでか、だとした。

アメリカとイランの関係悪化は今に始まったことではない。昨年6月、アメリカの政治リスク調査会社ユーラシア・グループのミノビCEOは、世界のリスクとして、アメリカとイランの対立を米中貿易紛争に次ぐ第2の懸念と指摘。「2020年に軍事的な紛争に発展する可能性は最大40%と見積もっている」と語っていた。

ドナルド・トランプ大統領はイランとの戦争を望まず、1979年の革命で成立したイスラム聖職者が指導する体制の展開は狙っていないとしており、全面的な戦争に突入するという見方は少ない。

が、国交のないアメリカとイランが意思疎通の欠如や失敗、情報の誤認や誤解、不測の事態から、予期せぬ形で戦争に発展するシナリオも、アメリカなどでは現実味を持って語られ始めている。

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  • 335bf87ab9c8
    アメリカが理解をしなくてはいけないのは、この件についてはトランプが加害者の単純な殺人事件であるということ。そうであれば普通だったら裁判にかけられ重い罪になる。さらにイスラエルを優遇したいためという私情が入った上での殺害なのでさらに刑は重くなるだろう。

    アメリカはあまりにも自分勝手すぎる。てめえの国は中東には全く関係ねえだろうと言いたい。世界の警察を自称しておきながら世界の戦争発起人となっている。
    多分アメリカには戦争をしたい勢力(ロスチャイルド)とかの有象無象が多いからだと思うが、一度アメリカは全世界から袋叩きにあわねばならない。安倍もトランプの犬となり続けるのはいい加減やめてくれ。反対なら反対の立場をはっきりととってこそ独立国家の首脳だろう。
    up73
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    2020/1/8 08:06
  • スマイリー51232015686c
    独自の視点もなく、新聞報道と同じ。
    読んで損をした。
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    down27
    2020/1/8 06:06
  • NIJINSKYⅡ96bb18892e19
    ほんとに料理研究家?間違いでしょ?
    今朝、ミサイルなのかロケット弾なのか打ち込んだようだが、
    イランもメンツがあるからやらざるを得なかっただけで、米国はまだ今年は大事にはしないような気がする。
    トランプが再戦したらどうなるかわからんが、今年はないだろうね。
    up0
    down1
    2020/1/8 11:52
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